人間は宇宙のどこまで到達できるのか?アニメーションでわかりやすく解説するとこうなる
by Cliff Howard
映画「インターステラー」では惑星間を移動し地球に代わる第二の惑星を見つけるための旅に出ますが、この宇宙において人間が到達できるのはどこまでの範囲なのか、広大すぎる話をアニメーションでわかりやすく解説しているのが「How Far Can We Go? Limits of Humanity.」です。
How Far Can We Go? Limits of Humanity. - YouTube
私たち人間にとって「決して到達できない場所」というものは存在するのか?という問いに端的に答えるなら「ある」とのこと。それこそ、現在は実現されていないSFのような技術を使ったとしても到達できないところはあります。では一体それはどこで、どのくらい遠い場所にあるものでしょうか?
まず始めに、私たちは直径10万光年という平均的なサイズの天の川銀河の中に存在しています。
天の川銀河の中には惑星やブラックホール、ガス雲、ダークマター、中性子星など、数え切れないほどの物質が存在します。
そして銀河の中心には信じられないほどに巨大なブラックホールが位置しているとのこと。
遠くから見ると銀河の密度は非常に高いように見えますが……
実際のところは、星と星の間の平均的な距離は47兆キロメートルで、むちゃくちゃ距離があります。
現在の技術では、人間を送るのに何千年もかかる星も。
しかも、銀河は複数存在します。アンドロメダ銀河や矮小銀河などが直径1000万光年の範囲内に存在する「ローカルグループ」としてまとめられています。
さらに、このローカルグループはラニアケア超銀河団の中に何百と存在します。
そしてラニアケア超銀河団は知覚可能な宇宙の中に何百万と存在する超銀河系のうちの1つです。
仮に、人類が幸運にも地球だけでなく銀河全体からエネルギーを得られるようになり、かつエイリアンに駆逐されることもなく、現在の物理学を基礎として惑星間旅行を実現させたとします。
この場合、人間はどのくらい遠くまで行くことができるのでしょうか?
その答えは、先ほどの「ローカルグループ」まで。
ローカルグループは、知覚可能な宇宙のうち0.00000000001%でしかありません。
私たちが旅するには宇宙はあまりにも巨大で、考えると恐怖さえ覚えるほどです。
では、なぜ私たちが達することができない場所が宇宙にあるのでしょうか?このことを理解するには「無」というものの性質を理解する必要があります。例えば空箱が存在するとき、実際には箱の中は空ではなく、エネルギーに満たされています。いわゆる「量子ゆらぎ」と呼ばれるものです。
より小さな規模で見てみると、粒子や反粒子が常に動き回り、現れたり消えたりしています。
つまり、量子論における真空は密度が異なる箇所があるわけです。
今から138億年前、宇宙では「ビッグバン」と呼ばれる大爆発が起こったあと……
宇宙は急膨張(インフレーション)を引き起こしたと言われています。
短時間で急激に宇宙が膨張することによって、量子的ゆらぎにも影響がありました。真空が引き延ばされることで密度の差があるままの状態で亜原子同士の距離が銀河規模にまで離れてしまったのです。
この時、密度の高い部分が、私たちのよく暮らす銀河のローカルグループとなりました。
では、なぜローカルグループの1つから隣にあるローカルグループにまで行けないのでしょうか?
それには暗黒エネルギーが関係してきます。暗黒エネルギーは宇宙全体に浸透し宇宙の拡張を加速させていると考えられているエネルギーで、科学者たちは「暗黒エネルギーとは一体何なのか」ということをまだ解明していませんが、その影響を観測しています。
初期の宇宙において、ローカルグループの中には他よりも冷たい大きな場所が存在しました。
この場所が、集団化して何千という銀河になります。
グループはいくつも生まれますが……
グループの外側にあるものは、グループの内側にあるものに対して重力的な干渉がありませんでした。
そのため、宇宙が拡張すればするほど、引き合う力がないグループ同士の距離は離れていくわけです。
宇宙の拡張こそが、私たちが「決してたどり着けない場所」を作っているということ。
既に、我々が存在するローカルグループの隣にあるローカルグループまでの距離は数百万光年もあり、しかもその距離は信じられないスピードで大きくなっています。
ゆえに、もし私たちが自分のローカルグループを離れても、別のグループに到達することは不可能。どこにもたどり着けずに宇宙をさまようことに。
一方で、銀河系とアンドロメダ銀河は約40億年以内に衝突すると見られています。
衝突によって形成された銀河はミルコメダと渾名されています。
銀河系とアンドロメダ銀河が衝突しても、星々は互いに離れていることから星同士が衝突する確率はほとんどないとのこと。ただし、重力的な混乱が起こり、太陽系内の位置関係が変化する可能性はあります。また、フォトンの波動が変わることで光が検知できなくなり、ローカルグループの外側で起こった情報は何1つ届かなくなります。宇宙から「視界」が消えるわけです。
闇に包まれ、方向さえなくした空っぽの宇宙に生まれた人は、真っ暗闇の向こうに宇宙マイクロ波背景放射を見ることもなく、ビッグバンについて新たに学ぶこともできません。宇宙を観測することで、我々が今知っている知識を得ることができないのです。
そのような世界に生まれた人は、「宇宙は静的で永遠だ」と思うはず、とのこと。
ミルコメダは闇の中でゆっくり光を失っていく1つの「島」となるそうです。
とは言っても、何兆もの星が存在するローカルグループだけでも、人間にとっては広いもの。私たちは太陽系を離れる方法さえまだ編み出せておらず、ミルコメダが生まれるまでには40億年も残っています。
私たちは未来と過去をどちらも見据えることができる、非常に幸運な時に生きているということをしっかり胸に刻んでおきましょう。
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in サイエンス, 動画, Posted by darkhorse_log
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