ブラックホールの誕生から消滅までをムービーで分かりやすく説明する「Black Holes Explained – From Birth to Death」

By Steve Jurvetson
SF作品やゲーム・アニメなど様々な分野に登場するのが「ブラックホール」ですが、その成り立ちや「実際にどんな影響を周りに及ぼすのか?」を知らずにいる人も多いはず。ブラックホールについて詳しく説明するには物理学やその他の専門的な知識が必要となりますが、ポップなイラストでブラックホールについて解説するムービー「Black Holes Explained – From Birth to Death」がとても分かりやすいです。
Black Holes Explained – From Birth to Death - YouTube
ブラックホールは特殊な存在で、多くが謎に包まれています。この中に入ってしまうとどうなるのでしょうか?

星は水素の巨大な集まりであり……

ガスが重力で固まったものです。

その中心では水素がヘリウムへと融合し、大量のエネルギーを放出しています。

この時に生成される放射線と重力の力がバランスを取って星を形成します。

融合している限り星の核は安定するのですが、星が太陽よりも重い場合……

星の中心で順番に重い元素が作られていき、最後に鉄ができます。

他の元素とは異なり、鉄だけは融合時にエネルギーを放出しません。

核で鉄が極限まで作られると……

それまで安定していた放射と重力のバランスが崩れ……

核が壊れて星は一瞬で収縮していきます。

この瞬間に他の重い元素が作られて……

光の4分の1の速さで核に質量が集まります。

そして「星の死」である超新星爆発が起きます。

超新星爆発のあと、星の中心部には超高温超高密度の「中性子星」が残ります。この中性子星が十分に重ければ……

ブラックホールが生まれます。

ただし、実際に見えるのはブラックホールではなく「事象の地平面」と呼ばれるもの。

ここを通るには光より速く進む必要があるので……

実質不可能です。

この事象の地平面は何の光も発さないので真っ暗。名前の通り「ブラック」です。

それでは「ブラックホール」の「ホール」とは何でしょうか?

これはブラックホールの奥深くにある特異点を示しています。

特異点の実体は不明ですが、密度が無限大で1点にすべての質量が集まっていると考えられています。

ただし、すべてが未解明なので0で割るようなものです。

ブラックホールは掃除機のように何でもかんでも吸い込むというわけではないので……

太陽をブラックホールに変えたとしても……


地球は凍るだけで、他に変化はないそうです。

それではブラックホールに入るとどうなるのでしょうか?

ブラックホールの中では時間の流れが違うので……

中に入った場合……

徐々にゆっくりと落ちていき、ある時点で止まり、最後は赤くなって消えます。


この時、中に入った方からは世界が早送りで見えるそうです。

その先には2つの道が考えられます。

ひとつは即死。

ブラックホールが空間を曲げすぎて方角がなくなり……

事象の地平面の中では一方向にしか進めなくなります。

これは閉じていく狭い道のようなものだそうです。

さらに、質量の一点集中により……

数センチの幅でも何万倍も違う重力が働くようになり……

細胞同士は引っ張られて裂け……

原子レベルに分解されてしまいます。

もうひとつの道が「超即死」。

事象の地平面を超えた瞬間に……

壁にぶつかって死ぬ、というもの。

死ぬ速さはそれぞれの質量によって異なり……

質量が小さい場合は事象の地平面の前で死んでしまいますが……

大きい場合は中を旅することが可能。

特異点から距離がある分生きられるということだそうです。

ブラックホールのサイズにはさまざまなものがあり、太陽よりも質量が小さいものから小惑星大のものまでさまざま。

超巨大ブラックホールはどの銀河の中心部でも何億年と成長しており……

現在観測されている中で最大のものは……

「S5 0014+81」と呼ばれるもの。これは太陽の400億倍の質量を持ち……

直径は2367億キロメートルと、太陽から冥王星までの距離の47倍です。

ブラックホールはその強さからホーキング放射で蒸発します。

空の空間を見てみると……

ここでは二対の仮想粒子が生成消滅しています。

しかし、ブラックホールの端ではこの生成消滅するはずだった仮想粒子の一方が吸い込まれてしまい、もう片方は外に逃げていきます。これにより、エネルギーが失われてしまいます。

ブラックホールの質量が小さくなるほどこの速度は速くなるので……

小惑星ほどの質量で室温ほどの放出があるのに対して……

山ほどの質量だと太陽ほどの熱を出します。

そして、最後の瞬間には……

核爆発の数十億倍規模で大爆発。

ただし、この過程はゆるやかで最大だと蒸発に1グーゴル年かかる模様。

これはあまりにも長すぎるので、蒸発する頃には生命は存在できないので誰も見られないだろう、とのこと。

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