なぜApple Watchは生まれたのか、その「真の理由」が語られる
By LWYang
Apple初のスマートウォッチであるApple Watchは、2016年4月には発売から一周年を迎えました。iPhoneなどと連携することでさまざまな機能が使えるようになるApple Watchですが、その一方でユーザーからは「なくても生きていける」という声が挙がったり、販売実績が低調と伝えられることも事実。そんなApple Watchが一体なぜ開発されることになったのか、その理由がAppleの幹部によって明らかにされています。
The Real Reason Apple Made the Apple Watch | TIME
http://time.com/4323318/apple-watch-steve-jobs-health/
コンピューター関連の業界に詳しいTim Bajarin氏は、Apple Watchの開発に携わったという幹部からその開発の理由について詳しく聞く機会があったそうです。Apple Watchを開発するモチベーションが何だったのか、そう尋ねられたある幹部は、今は亡き故・スティーブ・ジョブズ氏の存在が大きな原動力になったと語っています。
ジョブズ氏は2003年、自身の膵臓がガンに冒されていることを知らされました。それから9か月後の2004年8月、ごく近しい人以外には知らせることなく、摘出手術を受けています。まだこの時にはジョブズ氏の状況を知る人はほとんどいなかったのですが、手術以来ジョブズ氏は多くの時間をガンとの戦いに費やすようになったとのこと。
そしてこの時、ジョブズ氏は医療のおかれた状況に触れて大きな衝撃を受けることになります。病院で使われているヘルスケアのシステムがまったく整えられていないことを知ったジョブズ氏は、患者自身とその健康データ、そして医療関係者をつないでデジタル的に共有する手法の開発の必要性を強く意識するようになったとのこと。そして、その当時存在していたフィットネス系のトラッキングデバイスではジョブズ氏とApple幹部の求めるモノにはならないという結論に達し、Appleは健康に関するデータをモニタリングして記録・トラッキングするというApple Watchの開発に乗り出すこととなります。
By Bram Hilgersom
その後の2011年10月5日、ジョブズ氏は56歳という若さでこの世を去ります。生前のジョブズ氏がApple Watchの存在を知っていたかどうかは明らかにされていませんが、Bajarin氏は「Apple Watchのモニタリング・トラッキング性能とユーザーのモチベーションを駆り立てる機能を目にしたら、ジョブズ氏はきっと喜んだだろう」と語っています。
Bajarin氏によると、Appleはユーザーの健康に関してApple Watchが大きな役割を果たすと強く信じているとのこと。運動や健康に関する研究施設を訪れたBajarin氏は、その施設の中でさまざまな体形、健康状態、あらゆる人種のAppleの従業員が1日12時間・週6日にわたって運動を行い、最新式の機器でモニタリングしている現場を目撃したとのこと。また、Appleには7名の看護師が常駐していることや、ありとあらゆる環境を再現できる施設でユーザーがどのような健康状態になるのかをモニタリングするなど、健康に関する研究が活発に進められている状況を語っています。
これらの施設を使い、AppleはiPhoneやApple Watchに搭載されたセンサーや電波機器、モニタリング手法についての調整を進めているとのこと。2016年6月に開催されるAppleの開発者イベント「WWDC 2016」の場で発表が噂される次世代のApple Watchはモバイル通信に対応してiPhoneがなくても単体動作が可能とも報じられていますが、ヘルスケア関連でどのような機能が搭載されるのかも気になるところです。
By raneko
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