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究極の水冷・海中データセンター計画「Project Natick」をMicrosoftが推進中


Microsoftが「データセンターを海中に作る」という計画「Project Natick」を推し進めています。しかし、思いつきとはいってもこのアイデアには、新たな電源リソースを得られる・冷却が容易・人口密集地の近くに展開可能・センターをすぐに展開可能と、いろいろなメリットが存在しているとのこと。

Project Natick
http://natick.research.microsoft.com/


Microsoft research project puts cloud in ocean for the first time | News Center
http://news.microsoft.com/features/microsoft-research-project-puts-cloud-in-ocean-for-the-first-time/

Microsoft Plumbs Ocean’s Depths to Test Underwater Data Center - The New York Times
http://www.nytimes.com/2016/02/01/technology/microsoft-plumbs-oceans-depths-to-test-underwater-data-center.html

クラウドサービスが活用されている現在において、データセンターの果たす役目は非常に大きいのですが、高い性能を持たせるために大規模なデータセンターを作ろうと思うと、広大な土地が確保できる郊外に何年も時間をかけて作ることになります。平均して、データセンター建設には2年ほどかかり、しかも運用にはかなりの費用がかかります。


こうした諸問題を解決すべくMicrosoftが推進しているのが「Project Natick」と名付けられた、海中データセンター計画です。

Microsoft's underwater datacenter: Project Natick - YouTube


プロジェクトマネージャーのベン・カトラー氏。


Microsoftがやろうとしているのは岸に沿って海中にデータセンターを作ろうということ。しかも、最終的には「データセンターを作る」と決めてから90日で、世界中どこでも展開可能な仕組みです。


海中に作る理由としては、地上の人口の半分が海から200km圏内に住んでいるということがあります。


リサーチエンジニアのジェフ・クラマー氏は、データセンターから人の住んでいるところまでの距離を縮めることに大きな意味があると語りました。これは、通信距離が伸びることでのディレイやレイテンシが減ることを示しています。


こちらは構造技術者のエリック・ピーターソン氏。


海中データセンターで用いられるサーバーはどこのデータセンターでも見られる標準的なものですが、海中用に一部改造されています。性能はデスクトップPC300台に相当。


外側に取り付けられた冷却システム。


これらを包み込むのが鋼鉄製の円筒。直径は8フィート(約2.5m)。


まるで宇宙に打ち上げるかのような印象も受けます。


船で運ばれて……


海中へ。沈められた深さは水面下30フィート(約9m)。


技術者たちが数値をチェック。ちゃんとデータセンターが動いていることを確認して一安心。


このテストは105日間かけて行われました。データセンター内部には圧力や湿度、動きなどを測定するための100以上のセンサーが取り付けられ、決して修理員を派遣できない環境でも問題なく動作するのかがチェックされました。その結果、Microsoft Azureの商用データ処理を任せても問題ないという結論が出たとのことで、今後、この3倍の大きさのシステムが設計される予定です。

Microsoftでは100を越えるデータセンターを所有しており、その投資額は150億ドル(約1兆8000億円)以上。これまで、陸上に大規模なデータセンターを展開するには2年はかかるところでしたが、もしこの海中データセンターが大量生産できるようになれば、展開にかかる時間は90日まで短縮されることになり、費用面も大きく節約が可能。

これはエビではありませんが、動作音は「コンテナの周囲を動き回るエビの方がうるさい」というほど静かだとのこと。


エネルギーは潮力を用いるために無駄な排熱がなく、データセンターで行われる冷却用の熱交換と合わせても、コンテナ周辺での大きな海水温度の上昇はなかったそうです。やがては、大都市の海沿いにはこうした海中データセンターが設けられるようになるのでしょうか。

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in ハードウェア,   動画, Posted by logc_nt

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