iPhoneは2017年にも真の「ワイヤレス充電」へ、Appleが遠隔でも充電可能なワイヤレス給電技術を開発中と報じられる
By Kārlis Dambrāns
Android端末の中にワイヤレス給電に対応するモデルがラインナップされ、Apple Watchも非接触式の磁気充電ケーブル/ドックを採用している中、iPhoneシリーズはこれまで従来どおりケーブルを使った充電方式を採用してきました。しかし、Bloomberg Businessが報じたところによると、Appleはサプライヤーとの開発を進めており、2017年ごろにはついにワイヤレス給電をiPhoneに搭載する可能性があるとのことです。
Apple Developing Wireless-Charged iPhone for as Soon as 2017 - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-01-29/apple-said-developing-wireless-charged-phone-for-as-soon-as-2017-ijz3i4si
Ukrainian startup XE claims to have solved long-range wireless charging | Ars Technica UK
http://arstechnica.co.uk/information-technology/2015/12/ukrainian-startup-xe-claims-to-have-solved-wireless-charging/
Bloomberg Businessが事情をよく知る人物から得たという情報によると、Appleはアメリカや中国のサプライヤーとワイヤレス給電システムを開発中とのこと。また、ワイヤレス給電そのものは決して最新の技術ではないのですが、Appleが開発する技術はどうやらその一歩先を行くものとなるようです。
一般的なワイヤレス給電は、専用の台の上に端末を置き、充電中は持ち上げたりすることなく置きっ放しにする必要があります。これは、距離が遠くなると電力の伝送効率が落ちて充電時間が長くなってしまうという技術的限界によるものなのですが、Appleが実用化を目指している技術は一定の距離があっても十分な電力を送ることができるものになるとみられます。
事実、Appleのフィル・シラー上級副社長は2012年、AllThingsDによるインタビューに対して「ワイヤレス充電システムは、それでも壁のコンセントに接続する必要があるので、ユーザーにとってどれほど便利であるのかがハッキリしない」と語っていました。
Phil Schiller on New iPhone Connector, Lack of NFC, Wireless Charging - Ina Fried - Mobile - AllThingsD
http://allthingsd.com/20120912/interview-phil-schiller-on-why-the-iphone-5-has-a-new-connector-but-not-nfc-or-wireless-charging/
Appleとしては、「ワイヤレス」と言いながらも、結局は充電用ケーブルを端末に装着するのと等しい状況で使わなければならないというところに疑問があり、答えとして、今回開発が報じられた中距離型のワイヤレス給電システムを提示した、ということなのかもしれません。
また、Appleが描く将来のワイヤレス充電システムの答えは、2010年に出願し2015年7月に取得した特許技術にある可能性があります。「Wireless Power Utilization in a Local Computing Environment(特定の場所のコンピューター環境におけるワイヤレス電力利用)」と題された特許技術では、iMacなどのコンピューターをワイヤレス充電システムの「ハブ」として用い、周囲1メートル程度の範囲に電力を送ることが描かれています。電力の伝送には、Apple Watchと同様の近距離電磁共鳴が用いられるとしています。
Patent Images
なお、まだまだ技術的ハードルも少なくないと見える中距離型のワイヤレス給電システムですが、ウクライナのスタートアップ「XE」は、「鉱石ラジオ」と同じ原理を用いて十分な給電能力を実現しています。XEは独自の技術を投じることでアンテナの小型化に成功し、iPhoneのような小型の端末内に内蔵できるシステムを開発したと述べています。
Ukrainian startup XE claims to have solved long-range wireless charging | Ars Technica UK
また、アメリカのスタートアップ「Ossia」が開発した「Cota」と呼ばれる技術も実用化に向けた開発が進められている段階とみられます。
街中どこでも充電が可能になる無線電力伝送技術「Cota」が実用間近に - GIGAZINE
実現までにはまだ少し時間がかかるようですが、iPhoneでもワイヤレス充電が可能になり、さらにはケーブルの煩わしさに悩まされずに済むということになると、ユーザーにも大きな利益となりそう。Bloomberg Businessの記者は「これはゲームチェンジャーになる」と高く評価しています。
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