かつて飲まれた「虫入りビール」のレシピが公開、その効用とは?

by Alan Levine

想像力を豊かにする作用があるとも言われているビールは、古くは紀元前4000年前から作られていたという説もあります。古代ローマ帝国においては「虫を入れたビール」が飲まれていたとのことで、その効用やレシピをThe Recipes Projectが公開しています。

Wormy beer and wet nursing in the Roman Empire | The Recipes Project
http://recipes.hypotheses.org/6483

古代ローマや古代ギリシャでは、「ビールは野蛮人の飲むもの」と考えられており、基本的にビールではなくワインが好まれていました。1世紀ごろに活躍した薬理学者のディオスコリデスが残した文書によると、当時、大きく分けてビールには2種類のものがあったとのこと。

1つ目は、Zuthosと呼ばれる大麦を使ったビール。Zuthosは腎臓と腱に影響を与える、利尿作用があるもので、粘膜を傷つけるとも考えられていました。さらに、象皮病を引き起こしたり、人々が慢心したり悪いジョークを生み出すようになるとも考えられていたとのこと。

by David, Bergin, Emmett and Elliott

そしてもう1つが、Kourmiと呼ばれるビール。スペインやイギリスなどではビールは主に小麦から作られましたが、Zuthosと同じくKourmiも原料は大麦でした。Kourmiはしばしばワインの代わりに飲まれましたが、頭痛を引き起こし、神経に悪影響を与えるものとされていました。

上記のように、ビールは人に悪影響を与えるという見解が一般的だったため、主にビールは飲むためでなく、彫刻を施す角を柔らかくするために使われていたそうです。しかし、乳母だけは別でした。2世紀ごろに存在したAntyllusという内科医は、「授乳が十分にできない乳母には、断食後に10日間ビールを与えるとよい」と文書に残しています。

しかし、その際に飲むのはただのビールではなく、「泥や川から捕まえてきた5~6匹の虫をナツメやワインのおりと一緒にすりつぶし、それを加えたビール」と指定されていたそうです。この「ビールとナツメが母乳によい」という考えは現在にまで残っており、国によっては母乳のためにノンアルコールビールを飲む人もいますが、「母乳のために虫を食べる」文化は消え去ってしまった様子。

by Judy van der Velden

ただし、ナツメヤシはイタリアやギリシャで実をつけることができず、虫を取る泥や川がナイル川を指していると考えられることから、このレシピはローマ帝国ではあるものの、厳密にはエジプトで用いられていたものと考えられています。当時、エジプトのアレクサンドリアは医療の中心地として知られており、虫とビールを使ったレシピで多くの乳母を救ったわけです。

by Nick Koch Weiler

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