取材

エヴァ新幹線と駅弁のコラボ「エヴァンゲリオン駅弁」が生みだされる現場に潜入してきました


新幹線とアニメ「エヴァンゲリオン」がコラボレーションした特装車両「500 TYPE EVA」の運行が2015年11月7日(土)に開始され、さまざまなグッズが登場していることを知っている人も多いハズ。そんな中において、兵庫県神戸市で駅弁・弁当の製造販売を手がける淡路屋は「エヴァ新幹線」にちなんだ完全オリジナルの弁当を数量限定で発売しています。今回はその製造風景を見学できる機会があったので、エヴァ駅弁が建造されるその現場を見てくることにしました。

新幹線:エヴァンゲリオンプロジェクト弁当


お弁当の淡路屋
http://www.awajiya.co.jp/

◆エヴァ駅弁「500 TYPE EVA オリジナル弁当」とは
山陽新幹線の開業40周年とアニメ「エヴァンゲリオン」のTV放送開始20周年を記念したコラボ車両「500 TYPE EVA」をベースに作り上げられたお弁当が「エヴァンゲリオンプロジェクト弁当」(エヴァ駅弁)です。500 TYPE EVAのベースになった500系新幹線の流麗なボディラインを再現した器に、エヴァ初号機のイメージでデザインが施されています。容器は陶器製なので、食べ終わったあとも保管してコレクションに追加できるのもファンにはたまらないところ。価格は税込1500円です。


駅弁の中身は、使徒のコアを現すイクラと焼き鮭の切り身が盛り付けられており、エヴァ作品で重要なテーマとなっている親子関係を表現する「鮭のはらこめし」になっているのも、原作を知る人にはニヤリとさせられる部分です。


◆エヴァ駅弁を生みだしている工場を訪ねた
こんなエヴァ駅弁を作っている工場を訪ねてきました。訪れたのは、兵庫県神戸市にある淡路屋の本社工場です。


ちなみに、冬休みの短期アルバイトが募集中だったので、ひょっとしたらエヴァ駅弁を自分の手で量産できるチャンスに巡り会えるかもしれません。


本社の入り口には、淡路屋が手がけるお弁当の数々がズラリ。


「温かくなるお弁当」で一世を風靡した加熱機能つきの駅弁は、淡路屋が最初に手がけたものだとか。側面のヒモを引っ張ると、容器の底にある水と石灰が反応して熱を出し、お弁当全体を温めるという仕組みです。


世にも珍しい、釜飯のカットモデル。


虎ファンにはたまらない、阪神タイガースのマークがデザインされたお弁当も。


JR西日本のICカード「ICOCA」のキャラクター、カモノハシのイコちゃんをかたどったお弁当も。売り出したところ、ものすごい勢いで売れた商品だそうです。右にあるのは、国宝・姫路城を模したお弁当。両方とも陶器製で、イコちゃんは首から上を、姫路城は天守閣をパカリと開いてお弁当を食べるようになっています。


そんな淡路屋の売れ筋商品が、たこつぼ風の容器の中にタコとアナゴ、季節の野菜を盛り付けた「ひっぱりだこ飯」(税込1000円)だとのこと。


ひっぱりだこ飯は、コミック「GTOパラダイス・ロスト」の作中にも登場したことがあるそうです。

ここからは工場へと潜入。工場に入る前に、ゴミやホコリを工場内に持ち込まないように専用の衣装に着替えます。写真はブーツを履いた状態ですが、もちろん工場内に入る際には上履きに履き替えます。


水と石けん、消毒液が順番に出る手洗い台でキレイに洗浄。


最後に強力な風で体じゅうのホコリを飛ばします。


工場に潜入。奥のラインで弁当が作られているようです。


◆エヴァ駅弁ができるまで
それではエヴァ駅弁が作られる様子を順番で見てみます。この手をあげて点呼を取っているような風景は「衛生チェックオッケーですかー?」「オッケーですー」と、製造前にホコリなどがないかチェックしている風景。


製造ラインの先頭には空の容器がズラリと並べられており、中身を詰められるのを待っている状態。一部は裏返しになっていますが、これは保管時に異物の混入を防ぐための工夫とのこと。


ラインが流れ始めました。まずは炊き込みごはんを手に取り、棒のような形に丸めてから容器に投入。このとき、あまりギュッと押しつけずにフワッと盛り付けるのが難しいのだとか。ちなみに、弁当容器の横に置かれているのはお弁当の内容を示した仕様書のようなもので、生産するお弁当が切り替わるたびに流されて中身の確認に使われているそうです。


次にコア……じゃなくて、いくらを投入。ラインは写真で見て右から左に流れており、新幹線はバックしている状態で進みます。


次に待ち構えているのは、焼き鮭の切り身。


手作業で次々に詰められて行きます。なお、この切り身は食べやすさを考え、事前に皮の部分が手作業で一つずつ取り除かれています。


先端にもコアを投入。当初は「イクラ(=コア)の数は作品に出てくる使徒の数と一緒にしよう!」という話しもあったのですが、「誰が数えて入れんねん」と製造工程に難があったためやむなく断念とのこと。とはいえ、イクラはたくさん入っている方がありがたいので現状でも問題はないはず。


最後に、彩りの青のりを入れて盛り付けは完了。


食材の上には、菌の繁殖を押さえるためにワサビの成分を練り込んだシートが乗せられます。


ラインの後端には、最後にかぶせるフタがズラリ。


カパッとふたを閉めてエヴァ駅弁が完成です。


あとは箱に詰めて……


異物の混入を検査する金属探知機を通り……


出荷を待つ状態となりました。


作る側の目線で見るとこんな感じ。ご飯を詰め……


コアを投入。


焼き鮭の切り身


海苔をのせ……


シートとフタを閉めて完成です。


このようにして次々とエヴァ駅弁は製造され、1日50個の限定で販売されているというわけです。


なお、工場内では他にもさまざまなお弁当が製造されていました。これはリラックマと新幹線区間の検査用車両「ドクターイエロー」がコラボした「リラックマごゆるりランチ」(税込1200円)


まさに「駅弁」といえるオーソドックスな商品も。こちらは有馬から六甲山を経て瀬戸内までをイメージして、容器の左から右へ各地の具材を盛りつけた季節限定「六甲山もみじ弁当」(税込880円)。海と山の幸を1度に楽しんで、六甲の自然を感じられるというジオラマ的お弁当になっているそうです。


◆エヴァ駅弁を食べて親子関係を味わってみた
このようにして次々に送り出されたお弁当を食べてみました。容器は500系新幹線の流れるようなフォルムをうまくデフォルメした形状になっています。


側面に入れられた「500 TYPE EVA」の文字も再現。


容器の大きさは、iPhone 6と比べるとこのぐらいの感じ。


手に持つと、陶器製ということもあってずっしりとした重みを感じます。


パカッと開けてさっそく味わってみました。


しょうゆで味付けられたご飯とイクラの塩みと甘みが合わさって本格的な味わいになっており、決して外観だけのお弁当でないことがわかります。プチプチとはじけるイクラの食感も心地よく。


焼き鮭は鮭本来の風味が味わえる塩控えめな味わいになっています。身は「ホロッとくずれる」というよりも「ギュッ」と締まった歯ごたえになっているので、「これもゲンドウの人となりを現しているのだ」と解釈するのも場合によってはアリかもしれません。皮が取り除かれているので、鮭の皮が苦手な人でもそのまま食べることができました。


500系新幹線の形状を再現した特殊な容器だけあって、やや食べにくいのが玉にキズですが、これも500系ならではのナローな車体を再現しているものと思えば納得して楽しむことができそう(?)。食べ終わったあとの容器はそのまま保存して使うこともできるので、ファンなら思わず欲しくなってしまいそうな駅弁となっていました。


エヴァンゲリオンプロジェクト弁当は、新神戸駅、西明石駅の淡路屋店舗で1日限定50個で販売中。遠方のためになかなか手に入れられないと嘆く人も多そうですが、今後は何らかの展開も考えられているようなので、原作ファンの人は楽しみにしておいてもよさそうです。

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in 取材,   アニメ,   デザイン,   , Posted by darkhorse_log

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