サイエンス

がん治療のためのデータをリアルタイムで取得できる小型の生化学センサー


世界中で1年間に800万人が亡くなる「がん」の対抗手段としては化学療法・放射線療法などがありますが、いったいがん治療がどれぐらい効果的にできているかをリアルタイムに測定可能なセンサーをMITのコッホ研究所が開発しました。

Real-time data for cancer therapy | MIT News
http://newsoffice.mit.edu/2015/real-time-data-for-cancer-therapy-0804

これがその生化学センサーのイメージ図。


実物はピンセットの先でつまめるぐらいのサイズ。


がん治療において、MRI(磁気共鳴画像)やその他のスキャン技術を用いることで「腫瘍のサイズが現在どれぐらいなのか」を確認することは今でもできますが、治療がどの程度うまくいっているのかを知るには生検に大きく頼っているのが現状。化学療法・放射線療法とも「これぐらいで効く」という最小量がわからないため、確実に効くレベルの治療をすると、大きな副作用が出ることになってしまいます。

そこで役に立つのが、この小型の生化学センサーです。初回の生体組織検査(生検)時に体内に埋め込むことで、患者のデータをリアルタイムでモニタリングできるようになり、化学療法や放射線療法でそれぞれの状況に応じた適切な治療をすることができるようになるので、副作用も最小限に抑えることができます。


なお、主としてがん治療に用いられることが想定されていますが、例えば池や湖で異なる場所のpH値や溶存酸素量を調べるなどの環境モニタリングにも使える、と開発に携わったマイケル・シーマ教授は語っています。

ちなみにシーマ教授はMIT発のベンチャーであるマイクロチップス・バイオテックの共同設立者でもあります。マイクロチップス・バイオテックでは、数百種類の薬を金属の膜の中に収めたマイクロチップを開発。このチップは電気制御で膜を開放することができ、体内に埋め込んでおけば最高で16年は注射や投薬をしなくても薬を取り込むことができます。

Major step for implantable drug-delivery device | MIT News
http://newsoffice.mit.edu/2015/implantable-drug-delivery-microchip-device-0629

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by logc_nt

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