Pbps(ペタビット毎秒)の超高速通信を可能にする「白色レーザー」を出力する半導体の開発に成功
異なる波長のレーザーを結集させて作る「白色レーザー」は、高効率な照明や超高速通信に活用できると期待されています。その白色レーザーを単一の半導体で発生させるデモに、世界で始めてアメリカの研究者が成功しています。
(PDFファイル)A moolithic white laser - nature nanotechnology
ASU researchers demonstrate the world's first white lasers
https://asunews.asu.edu/20150728-worlds-first-white-laser
極めて指向性の高い光(電磁波)である「レーザー」は医療機器や光学機器や通信用光源などさまざまな分野に活用されていますが、異なる波長のレーザーを合わせてできる白色レーザーは、LEDよりも高効率な照明やディスプレイバックライトや現在の約1000倍の通信速度であるペタビット通信を可能にすることから、白色レーザーを作り出せる光源の開発が進められています。
これまで、異なる波長、すなわち異なる色のレーザーを結集させて白色レーザーを作り出すさまざまな手法が開発されてきましたが、複数の光源を用いることなく単一の半導体で白色レーザーを作り出すことは、白色レーザー技術の応用・普及にとって不可欠な課題と考えられています。
そんな中、アリゾナ州立大学の研究者が、世界で初めて単一のレーザー半導体によって白色レーザーを作り出すことに成功し、その成果を科学誌Nature nanotechnologyで発表しています。
アリゾナ州立大学の甯存政教授らの研究チームは、CVDを用いて髪の毛の1000分の1の薄さの層を持つ特殊なナノシートを利用した赤色、緑色、青色のレーザーを出力する3つのレーザー半導体を平行にヘテロ接合させました。
赤色レーザー光源(T3)、青色レーザー光源(T1)、緑色レーザー光源(T2)を組み合わせることで、下のグラフの「P3123」という周波数の白色レーザーを作り出すことに成功したとのこと。なお、レーザー光の波長は調整可能で、すでに一般的なディスプレイに用いられている波長の70%を作り出すことにも成功しています。
ただし、甯教授らが作成した白色レーザー半導体は白色レーザーを出力するために、半導体内に電子を励起させるために照射する別のレーザー光源が必要であるため、白色レーザー光源の実用化に向けて、最終的には追加のレーザーなしに電力のみで白色レーザーを生み出せる半導体の開発を目指しているとのことです。
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