開通直前の高速道路を自転車で走れるイベントで極上のサイクリング体験を堪能してきました
大阪から和歌山を通り、紀伊半島をぐるっと周回して三重へとつながる近畿自動車道 紀勢線(通称:紀勢自動車道)の建設が進められており、2015年7月12日(日)には南紀田辺ICから南紀白浜IC間が新しく開通し、大阪と関西が誇る海水浴場などを擁する白浜が高速道路でつながることになりました。
開通を1週間後に控えた7月5日(日)には、一台の自動車も走っていない高速道路を自転車で走ったりウォーキングできるイベントが開催されたので、どんな道になっているのか自転車で走ってみたら、実は高速道路は極上のサイクリングロードでもあったことがわかりました。
和歌山県白浜町公式ウェブサイト「紀勢自動車道 田辺~すさみ間 開通記念プレイベント開催について」
http://www.town.shirahama.wakayama.jp/event/highway_preev150705.html
今回新たに開通するのは、近畿自動車道 紀勢線のうち、南紀田辺ICから南紀白浜ICまでの全長38kmの区間。和歌山県では2015年9月に「わかやま国体」の開催を控えており、高速道路の整備が急ピッチで進められてきました。
近畿自動車道 紀勢線(田辺ーすさみ)|道路ナビ|紀南ポータル|紀南河川国道事務所
そして今回のイベントでは、38kmのうち28kmの区間を自転車で走れるようになっていました。
そんなイベント当日、サイクリングのスタート地点である「道の駅 くちくまの(口熊野)」に到着しました。当日はあいにくの雨模様でしたが、15時の走行開始時間までに雨は小降りになり、無事に(?)イベントは開催されることに。
本線脇には参加者が持ち込んだ自転車がズラリと並べられています。会場には開通を祝う看板も掲げられ、7月12日の開通に向けた雰囲気が漂っています。
あいにくの雨模様をものともせず、多くの人が参加していました。カッパを着て完全防備の人がほとんどでしたが、普段着のままの人やバリバリのサイクルジャージに身を固めた人まで、それぞれ思い通りのスタイルでイベントに臨んでいました。
エリア内には、のどの渇きを潤してくれる給水所や……
万が一の事故やケガにも対応してくれる救護所が設けられていたので安心。
15時のスタートが近づき、参加者がスタート位置にスタンバイ。
スタートに先立ち、上富田町長と白浜町長によるあいさつが行われます。
そしてついに走行スタートの瞬間。参加者全員によるカウントダウンを行い、2時間にわたるサイクリングイベントがスタートしました。
カウントダウンから走行スタートの様子はこんな感じでした。
「紀勢自動車道 田辺~すさみ間 開通記念プレイベント 高速道路サイクリング大会」のスタート風景はこんな感じ - YouTube
本線に出てみると、参加者は思い思いにイベントを楽しんでいる様子。普段だとまず不可能な本線上での記念写真を楽しんだり……
近所に住む参加者でしょうか、本線からの風景をカメラに収める人の姿もありました。
スタート位置である「道の駅 くちくまの」をスタートした集団は、まずは北上して約9km先の南紀田辺ICを目指します。とはいえ、この区間は上下線に分離帯がない対面通行区間なので、反対車線に出て逆方向に走るのも自由。北向き車線は通行量が非常に多かったため、特にロードバイクに乗るやる気マンマンの人たちを中心に、すぐさまUターンして南向きに走り出す人も多く見られました。
この区間の制限時速は70km。しかし今日に限っては違反する人はまずいないハズ。
しばらく走行すると、トンネルにさしかかりました。長さ400メートルの上万呂(かみまろ)トンネル。
できたてホヤホヤのトンネルということで、こちらも走り心地はサイコー。特にトンネル内は雨を逃れることができるため、ホッとひと息つける瞬間でもありました。
自動車なら一瞬で通り過ぎてしまう案内表示も、すぐ横に立つ人と比べると巨大であることがわかります。
集団に紛れてゆったり走ること約45分、北向きの折り返し地点である南紀田辺ICが近づいてきました。
折り返し地点は記念写真や休憩をとる人で大混雑。
下から見上げると、高速道路は実に大きな作りであることを実感します。
南紀田辺ICで折り返していく参加者の皆さん。
しかしここでよく考えると、全長約28kmのコースを完走するにはペースが遅いことに気がつきました。2時間で全行程を走破するためには1時間あたりの平均速度を時速14km以上にする必要がありますが、ここまでの実績はおよそ時速12kmと完走ペースには少し及んでいない状態。
というわけで、ペースを上げて残る道のりを急ぎます。それにしても走りやすい路面には思わずため息が漏れるほど。高速道路規格の路面に自転車しか走っていないということで、これほどぜいたくな環境はこの手のイベントでしか味わえないものといえます。
折り返し地点から戻り、スタート地点である「道の駅 くちくまの」まで戻って来ました。ここまでの走行距離は9+9=18kmということで、あとは10kmの往復路を残すのみ。天候は相変わらず小雨が降ったりやんだりする状態ですが、気温が20度前後あったために意外とコンディションは悪くありません。
関西のトロピカルビーチ・白良浜(しららはま)海水浴場や、日本でも有数のパンダ飼育数を誇る動物園・アドベンチャーワールドなどがある白浜町に入りました。
後半の往路・5kmを走るとすぐに南側の折り返し地点が見えてきました。
ここではテントが建てられ、無料ドリンクコーナーが設けられていたのがありがたいところ。
折り返し地点の向こうには、南紀白浜ICの出口が見えていました。海水浴場やアドベンチャーワールドがある白浜まで大阪圏から高速道路が直結されることになるので、行楽シーズンには多くの人が訪れることになるのかもしれません。
折り返し地点を後にして、ゴール地点の「道の駅 くちくまの」までラストスパート。
そしてついに、「道の駅 くちくまの」の看板が見えてきました。
左へそれる道を進むと、ゴールはすぐそこ。
ついに全行程を完走。快適な高速道路でのサイクリングを堪能することができました。当日は制限時間内であればいくらでも走ってよかったので、1周だけでは飽き足りずに2周目に突入する人の姿も見られたほどでした。
最後は大会を記念したカーグッズやうちわをゲットしてイベントは終了。間違いなく2度と走ることができない高速道路でのイベントということで、貴重な体験をすることができました。
普段だと自動車で一瞬で通り過ぎてしまう沿道の光景を眺めつつ、快適なコースを走るのは実に気持ちの良いもの。今後もこのような開通イベントがある場合は可能な限り参加したいと思ってしまうイベントとなっていました。
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