1泊2食付き約6500円で宿泊可能な修道院に一晩の宿を求めて行ってみたよレポ
旅行の最中の宿泊方法としてはホテルや民宿・ドミトリーなどが一般的ですが、別の手段として「修道院に泊まる」ことも可能です。旅人のためのウェブサイトでは「なぜ修道院に泊まらないのか?」という記事が書かれており、ヨーロッパの方では比較的よくある宿泊方法のようなのですが、日本ではあまり聞かないので、「そもそもどうやって予約するのか?」というところから「修道院とはどういうところなのか?」ということまで確かめてきました。
宿泊可能な修道院は色んな国・都市に存在するのですが、今回はフランス南部のルルドという街にある修道院に宿泊することに。ホテルのように予約サイトがあるわけではないので、以下の修道院のウェブサイトに記載してあるアドレスからメールを送って連絡を取りました。数日後に申し込み用のPDFファイルが送られてきたので、内容を記入したものをメールで送り返せば予約が完了。
Center of the Assumption | Lourdes
南フランスの街・ルルドはパリから高速鉄道のTGVで6時間半ぐらいの場所。
小さな街なので修道院まで歩いていけると踏んでいたのですが、道のりの詳細が分からなかったのでとりあえず駅のインフォメーションへ。
街の地図をもらいました。黄色いマーカーでなぞってあるのが修道院への道で、歩くと大体20分ぐらい。バスはないのでタクシーか歩きかの二択でした。
小雨が降っていましたが、20分程度なら問題ないということでてくてく歩いていきます……が、この後どんどん雨が強くなり、しかも道はゆるやかな山道だったので、荷物が重いとなかなかハードな道のりでした。
どう見てもハリー・ポッターの世界な、霧に包まれた要塞などを眺めつつ山道を歩き……
修道院に到着。
修道院という響きからこぢんまりした場所を想像していたのですが、かなり立派な建物です。
中に入るとすぐにゲートが目に入ります。
ここが受付のような感じになっており、写真には写っていませんが、シスターや職員の人が対応してくれます。
廊下の様子。受付の前にはベンチがあり、しばらく待つとシスターがやってきて宿泊方法や部屋の説明などを行ってくれるのですが、フランス語オンリーだったので、地方の修道院に泊まる時は少し注意した方がよさそう。今回は身振り手振りで何とか理解することができました。
修道院の小さなパンフレットと2つの鍵、コードの書かれた小さなメモをもらいました。鍵の1つは部屋を開けるためのもので、もう1つは裏道を通って教会に行くときに使う裏口の鍵。コードは、修道院の正面口を開ける時のものでした。
部屋は3階。エレベーターのない建物が多いフランスですが、修道院にはエレベーターがあったのでほっと一息。エレベーターの隣に飾ってある写真に写っているのはベルナデッタ・スビルーという聖女。1858年にベルナデットはルルドで聖母マリアに出会ったと言われており、それ以来ルルドはカトリック最大の巡礼地として知られるようになりました。
こんな感じの廊下を抜けて部屋に入ると……
中はこんな感じ。
修道院の部屋の中の様子は以下のムービーから確認可能です。
ルルドの修道院で泊まった部屋の様子 - YouTube
宿泊人数一人で予約したのですが、ベッドは2つ。
枕元にはライトとコンセントがありました。
コンセントの上にはライトのスイッチがついています。
その隣には十字架。
ベッドはふかふかです。
クローゼットには予備の毛布やハンガーなどが入っていました。
ベッドの前には引き出し付きの机とチェストがあります。
窓辺にはイス。窓からは教会や街の美しい風景が見下ろせるようになっているので、ここでのんびり本を読むのもよさげ。テレビも電話もないので日常の雑音から離れた非常に静かな空間を満喫できます。
バスルームはこんな感じ。
かなり広々とした空間にトイレと……
シャワー室
タオル2つとコップの置かれた洗面台
その隣にはビデがありました。聖地という場所柄、体の不自由な人もやってくるためか、バスルームはかなり大きく余裕のある空間でした。
部屋で少し休んだところで、街に出かけます。駅から修道院へは山をぐる~っと遠回りする形で向かう必要があったのですが、修道院から教会のある街へはすとんと山を下りるだけですぐアクセスできました。修道院の建物を出て、ジブリの世界のような小道を抜けていきます。
矢印が書かれた看板が立っているので、矢印に従って進みます。
受付でシスターに受け取った鍵を使ってガチャリと扉を開け……
さらに小道を進むと小さなトンネルがありました。
トンネルをくぐり、階段を下りるとまた扉。しかし、これは私有地への扉だったので、スルーして角を右に曲がって……
最後に以下の小さな扉を鍵を使って開ければ道へと出られるわけです。
山を下りて振り返ると、丘の上に修道院が見えました。
そしてこれが聖母マリアの「ここに聖堂を建てなさい」という言葉をもとに建てられた「無原罪の御宿り大聖堂」。ルルドでは4月~10月の間、ここでろうそくを持った人々が列をなし祈りを捧げるという「ろうそく行列」が行われます。ろうそく行列の様子はまた後でレポートするのでお楽しみに。
修道院での食事は19時からなので、19時前に修道院の食堂に戻り。4人がけのテーブルに他の宿泊者と一緒について、わきあいあいと食事します。食堂は以下のような感じ。
この日のメニューはジャガイモとニンジンのスープから始まり……
バゲット
テーブルにはワインボトルが1本ドンと置いてあるので、他の宿泊者と分け合いながら飲みます。
熱々のピザ
サラダ
デザートは果物でした。
この時はたまたま日本から3人のシスターがやってきていたので、シスターたちが研修で回っていたフランス各地の様子の話を聞いたり、そもそもなぜシスターになろうと決めたのか?というような話を聞きつつもぐもぐ。修道院にはフランス人やアフリカ系の人など、さまざまな人が集っており、厳かな雰囲気で食事が行われるのかと思いきや、皆わいわいとおしゃべりをしながら食堂のお姉さんのてきぱきしたサーブのもと夕食を取っていました。
なお、朝食も同じく食堂で食べます。夕食の開始時間は7時からでしたが、朝食は7時半から9時までと時間の幅があるので、好きな時間に向かえばOK。
コーンフレークやビスケット、ティーパック、各種ジャムなどが置いてありました。
朝食はこんな感じ。オレンジジュースなどはグラスに、カフェオレはボウルに入れてもらう仕様で、テーブルに置かれているバケットを好きなだけ自分でカットして食べるようになっていました。
ハチミツも置いてあったので、ハチミツバターでもぐもぐ。フルーツなどもありました。
このほか、修道院の中には談話室のようなところや……
書斎。
教会ももちろんあるので、静かに一人で瞑想することも可能。
修道院によってはルールや門限があることもあり、ホテルではないので、その点を踏まえる必要がありますが、宿泊費はホテルなどよりもずっと低く、とてもシンプルかつ静かな空間で一日を過ごせます。また場所によってはバスルームが共用だったり共同キッチンがあったりするとのこと。たいていの場合は現地支払いですが、クレジットカードが使えないことが多いことにも注意が必要です。
なお、その他に宿泊可能なフランス修道院の一例は以下のウェブサイトから確認可能。イタリアには修道院専門の検索サイトもあるので、ヨーロッパを旅する時の宿泊方法の1つとして頭に入れておいて損はないです。
修道院に泊まって黙想を・・ | フランス観光 公式サイト
http://jp.rendezvousenfrance.com/ja/information/24367
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