大麻の受動喫煙で軽度の中毒症状を起こす研究結果を発表
by Andrea Kirkby
日本ではタバコの受動喫煙が問題視され分煙が一気に進みましたが、密閉された空間での大麻の受動喫煙により、軽度の中毒症状を引き起こす研究結果をジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームが発表しました。
‘Extreme’ Exposure to Secondhand Cannabis Smoke Causes Mild Intoxication - 05/13/2015
http://www.hopkinsmedicine.org/news/media/releases/extreme_exposure_to_secondhand_cannabis_smoke_causes_mild_intoxication
'Extreme' exposure to secondhand cannabis smoke causes mild intoxication | EurekAlert! Science News
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-05/jhm-et051215.php
大麻は世界で最も広く使用されているドラッグの一種で、「多くの人が大麻の受動喫煙にさらされている」と精神医学の研究者のエバン・ハーマン氏は語っています。研究によると、風通しが悪い部屋や閉めきった車内などで大麻の煙を間接的に非喫煙者が吸うことで、最初の数時間は軽い中毒症状の感覚と認識能力の低下があり、尿検査で大麻の陽性反応が出る可能性があることが分かりました。
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実験の実施にあたり、大麻を少なくとも1週間に2度吸い、大麻の活性成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)が検出され、かつ他のドラッグが検出されない18歳から45歳までの7人を集め、また、大麻を過去6ヶ月吸ったことがなく、他のドラッグの成分が検出されない18歳から45歳までの12人も実験の参加者として集めました。参加者の中に妊婦は含まれず、非喫煙者は1回の実験だけの参加になっています。
実験を行った環境は、閉めきった3m×4mの部屋で、喫煙者がTHCを多く含んでいる大麻を吸い、6人の喫煙者と6人の非喫煙者が1時間同じ空間で過ごすというもの。さらに「換気する部屋」と「換気しない部屋」を用意し2つの実験を行いました。
実験完了後、参加者全員の血液・尿・唾液・髪の毛を一定間隔で検査。結果、換気されない密閉空間にいた非喫煙者の尿と血液からTHCが検出されました。
血中のTHCは実験開始から実験終了から3時間後まで持続して検出されました。一方、実験が終了してから4時間後、尿1mg当たり50ng(ナノグラム)のTHCが検出されると陽性反応を示すの薬物検査キットで検査したところ、1人の非喫煙者が陽性を示しました。また、実験完了2時間後から22時間後までの間に、尿1mg中に20ngのTHCが含まれていると陽性反応を示す検査キットで検査すると、6人中4人が陽性反応を示しました。
一方で、ファンで換気された環境にいた場合、精度が高い検査でも、非喫煙者からTHCは検出されませんでした。なお、適度に換気を行った部屋では非喫煙者に大麻の副作用である空腹感が確認されたものの、それ以外の大きな反応はなかったとのこと。
by Andreas Andrews
また、実験後に非喫煙者の行動と認識能力を測るテストが行われましたが、ミスが目立ったものの、実験前に行ったテストのときよりも回答するスピードが速くなったそうです。多少の変化は認められた一方で、実験前後に行ったテストの結果からは「受動喫煙による行動と認識能力への影響は少ない」と結論づけられています。
大麻の受動喫煙による中毒症状を調べる今回の研究は、医薬品業界と自動車業界に影響を及ぼすと、共同執筆者のエドワード・コーン氏は言います。なお、実験は薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)に支援され、実験で使用された大麻は国立薬物乱用研究所(NIDA)から提供されたとのことです。
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