男性用ピルの実現が最新研究によって現実味を帯びる

By Thought Catalog

避妊の手段の一つとして用いられる経口避妊薬(ピル)は、一般的に女性用が服用するものとされています。男性用の避妊薬はこれまでも研究・開発されてきましたが、2016年に有用性が確認されたホルモン注射は「うつ病や性欲低下などの有害な副作用」を引き起こすことがあるなど、実現にはほど遠いものでした。しかし、今回研究で発表された新薬には、深刻な副作用がないことが確認されており、安全で効果的な男性用ピルが誕生する可能性があるとのことです。

Pharmacokinetic And Pharmacodynamic Effects of 28 Days of Oral Dimethandrolone Undecanoate in Healthy Men: A Prototype Male Pill
http://www.abstractsonline.com/pp8/#!/4482/presentation/6619

Male birth control pill one step closer to reality, researchers say - CNN
https://edition.cnn.com/2018/03/20/health/male-birth-control-pill-study/index.html

この研究結果は、2018年3月18日にシカゴで開催された内分泌学会で発表されました。ワシントン大学の内分泌学者ステファニー・ページ博士らの研究チームによると、ジメタンドロロンウンデシル酸(DMAU)と呼ばれるホルモン剤で、男性ホルモン内にある精子を生成するために必要なテストステロンやその他のホルモンレベルを、重大な副作用なしに減少させることに成功したそうです。

ページ博士は「現在、女性に用意されている避妊方法は『ピル』『注射』『子宮内器具の利用』など、数多く存在します。しかし男性用の避妊方法は非常に少なく、『精管切除』または『コンドームの使用』、『膣外射精法』のみです。妊娠の約40%は予定外であるという現実を考えると、男性用の避妊方法に選べるオプションが少ないのは問題です」と語っています。なお、膣外射精法にはほとんど効果がないことがわかっています。

By Male Infertility Expert and Treatment

研究では、18歳から50歳までの83名の男性を3つのグループに分け、それぞれにDMAUを1日あたり「100mg」「200mg」「400mg」ずつ、28日間にわたって投与し続けました。その後、血中のテストステロン値を調査すると、3つのグループ全てで去勢レベル(50ng/dl以下)に低下したことを確認できたそうです。

本研究に関わっていないニューヨーク大学ランゴンヘルスの泌尿器科学の助教セス・コーエン博士によると「男性の正常なテストステロンは350ng/dl~1100ng/dlです。この研究では13ng/dlまで下げることに成功しています」と話しています。メイヨー・クリニックによると、このテストステロン値は、通常思春期前の男児と女児にしか見られない数値とのことです。

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コーエン博士は「研究で調査が行われた男性被験者の数は非常に少数であることから、DMAUの副作用を正しく評価するにはまだまだ研究が必要です。研究結果では、83人中9人の被験者に性欲低下の症状が見られたと報告されています。この数字は少ない値ではなく、数百万人に投与したことを考えると、かなり大きな影響があることを示しています」と語っています。

ページ博士によると、2018年4月から行われる研究で、DMAUを投与後のテストステロン値の減少により実際に精子の生成が抑制されるのかが調査されるとのこと。男性用ピルの実現には長期的な研究が必要であるとページ博士は話しており、副作用についての詳細な調査も実施される予定となっています。

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