わずか60秒でフル充電できる「アルミニウムバッテリー」の開発に成功
リチウムイオンバッテリーはスマートフォンやタブレットのようなモバイル端末から電気自動車に至るまで世界中で使用されていますが、サイズ・重量の問題や発火・爆発の危険性をはらんでいます。世界中の研究者はリチウムイオンバッテリーの有効的な代替手段を模索していますが、スタンフォード大学の研究チームが既存のリチウムバッテリーよりも充電速度・耐久力・製造コスト・安全性に優れた「アルミニウムバッテリー(アルミイオン電池)」の開発に成功しました。
Aluminum battery from Stanford offers safe alternative to conventional batteries
https://news.stanford.edu/news/2015/march/aluminum-ion-battery-033115.html
Flexible aluminum battery charges fast, stable for over 7,000 cycles | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2015/04/flexible-aluminum-battery-charges-fast-stable-for-over-7000-cycles/
アルミニウムバッテリーを使ってLEDライトの点灯や、スマートフォンの充電を行っているところは以下のムービーから見ることができます。
New aluminium-ion battery from Stanford - YouTube
以下の写真に写っている銀色のシート状のものがアルミニウムバッテリーで、アルミ製の陽極とグラファイト製の陰極で構成されています。開発に成功したスタンフォード大学のHongjie Dai教授率いる研究チームは、アルミニウムバッテリーが既存のリチウムイオンバッテリーやアルカリ電池に置き換え可能であると発表しています。
電解液にイオン液体が使われたフレキシブルなバッテリーで、通電中にぐにゃっと曲げても発火する危険性はありません。たびたび発火や爆発を引き起こすスマートフォンのリチウムイオンバッテリーの安全な解決策となり得ます。
スマートフォンにつないで給電したところ、問題なく充電を開始。リチウムイオンバッテリーは約1000回の充放電サイクルで劣化が始まりますが、アルミニウムバッテリーは約7500回充放電しても電気容量の縮小などが起こらなかったとのこと。
安全性のテストとして通電中のアルミニウムバッテリーにドリルで穴を開ける実験なども行われていますが、バッテリーの温度が急上昇することはなく、優れた安全性が実証されています。現段階ではアルミニウムバッテリー1つ当たりの許容量は乾電池1本程度ですが、60秒程度でフル充電が可能。製造コストを非常に安価に抑えられるため、今後実用化が進めば、リチウムイオンバッテリーに置き換わる可能性があり、例えば「ぐにぐに曲げられるスマートフォン」も実現できるとのことです。
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