世界中で麻薬やたばこを紀元前から使用していた証拠が発見される

By Fábio Alves

幻覚作用を持つマジックマッシュルームやアヘンは世界の多くの国で規制の対象になっており、所持や使用すると厳しい罰則を受けますが、スペインのバリャドリッド大学のElisa Guerra-Doce准教授の研究によると、有史以前のユーラシア大陸では広く向精神物質などの嗜好品の使用が確認されています。

Prehistoric High Times: Early Humans Used Magic Mushrooms, Opium
http://www.livescience.com/49666-prehistoric-humans-psychoactive-drugs.html

◆キンマ
Guerra-Doce准教授の調査によると、フィリピンのパラワン島の洞窟からは人の赤い歯が発見されているのですが、これは紀元前2660年の人がキンマと呼ばれる植物の葉を使っていたためと考えられています。ベトナムでも同様に紀元前2400年頃と思われるキンマに染まった赤い歯が見つかったとのことですが、ベトナムの例は快楽や儀式としての使用ではなく、ファッションとして歯を赤くしていた可能性も考えられるようです。

By Dick Culbert

◆サンペドロサボテン
ペルー北部では、幻覚作用を起こす「サンペドロサボテン」といわれる麻薬が、Callejón de Huaylasという場所で使われた証拠が確認されています。調査では、紀元前8600年から5600年に人が住んでいた洞穴でサンペドロサボテンの花粉が発見されており、さらに違う調査からは紀元前8600年から5600年頃にも使われていたことを示す証拠も発見されているとのこと。

By Márcio Cabral de Moura

◆マジックマッシュルーム
紀元前500年から西暦900年の間に作られたと思われるマッシュルームの形をした石の彫刻が、中央アメリカのグアテマラ・メキシコ・ホンジュラス・エルサルバドルなどの多くの遺跡で発見されていることから、これらの地域で実際にマジックマッシュルームが使われていたのではないかと推測されています。Guerra-Doce准教授によると、「アフリカやヨーロッパでどのようにマジックマッシュルームが使われていたかはわかりませんが、スペインの ビジャール・デル・ウモの壁画にもマジックマッシュルームの絵文字があり、なんらかの形で使われていたと推測される」とのこと。

By TOMOYOSHI

◆ケシ
ケシは、イタリアにある新石器時代の遺跡「La Marmotta」で紀元前6000年代中頃に使われていた痕跡が発見されています。Guerra-Doce准教授によると「ケシは食用とされていた可能性も考えられますが、幻覚剤として用いられていたことを示す明確な証拠が存在しています」とのこと。スペインのバルセロナにある採掘現場では、紀元前4000年ごろに埋葬された男性の歯からケシの実の「さや」が発見されているほか、別の男性の骨からも幻覚剤を使用した痕跡が確認されています。

By Doug Belshaw

◆タバコ
人間がいつタバコを吸い始めたかは明確には分かりませんが、最初に栽培が行われたのは南アメリカだと考えられています。アルゼンチン北西部にある紀元前2200年頃の遺跡では、喫煙を行うためのパイプが発見されています。ニコチンは南アメリカをスペインが征服する以前のミイラから確認されており、北アメリカでは紀元前2200年頃のものと思われる喫煙パイプが見つかっています。

By Roberto Arnaiz

一部の麻薬は精神世界と交流するために使われていたようで、宗教とも密接な関わりがあったと考えられているとのことです。