危険感知システムを搭載した「インテリジェント自転車」の開発が進行中
最も原始的な乗り物の一つと言える自転車は手軽な乗り物である一方で、安全性能が高く確保されているとはいえない状況があります。そんな自転車に搭載して周囲の危険を察知する安全システムの開発がオランダで進められています。
Dutch launch 'intelligent bicycle' that warns of danger
http://phys.org/news/2014-12-dutch-intelligent-bicycle-danger.html
オランダで開発が進められている「インテリジェント自転車」の様子がこちら。荷台部分に載せられているのが危険を察知して乗っている人に警告を発するためのコンピューターを搭載したシステムで、ハンドル下に取り付けられた前方レーダーと、後輪の泥よけのあたりに取り付けられた後方カメラが周囲の状況をモニタリングするようになっています。
コンピューターが危険を察知した場合には、自転車のシートとハンドル部分に内蔵されたバイブレーターが振動し、運転者に危険が迫っていることを知らせる仕組みとなっているとのこと。開発中のシステムはケーブルやコネクターがむき出しの状態となっていますが、今後はさらに洗練された設計になると同時に、現時点でおよそ25kgあるシステムの軽量化が図られることになっています。
このシステムを開発しているのは、オランダの非政府系研究機関「TNO(Netherlands Organisation for Applied Scientific Research)」です。TNOは応用化学の研究を通じて社会や組織の競争力、そして社会全体への貢献を行うことを目的に設立された組織となっています。
TNO - innovation for life | TNO
市民の生活の足として広く使われる自転車は気軽に運転できる乗り物ですが、ついおろそかになってしまいがちなのが安全への配慮。事故を防ぐためには運転者が危険を予知して事故を避けることはもちろん、迫り来る危険をいかにして察知して安全を確保するかということが重要と言えます。
このシステムの開発には、特に高齢者による自転車事故の被害を軽減させるという目的があります。TNOの研究に携わる科学者のMaurice Kwakkernaat氏は「自転車事故は、運転者が背後を確認する際や、速いスピードで追い越される際に感じる恐怖によって引き起こされます」と、その危険性について語っています。
By Laurie Chipps
開発中のシステムは、既に自動車の安全性向上に用いられている技術を応用したものとのこと。特にヨーロッパでは電動自転車の普及率が高く、時速25km程度で走行する自転車にとって安全性を高めるものとKwakkernaat氏は語っています。
自転車による事故は日本でも増加傾向にあることが内閣府の調査でも判明しており、特に若年層による高い事故率と高齢者による死亡事故の割合の高さが問題とされています。「インテリジェント自転車」をはじめとする技術の実用化が望まれるところと言えそうです。
(PDFファイル) わが国の自転車交通を取り巻く事故概況と課題の概要
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