メモ

取りつかれたように文章を書きまくる「ハイパーグラフィア」がよくわかる実例


世の中には文章を書くことが嫌いだったり苦手だったりする人がいる一方で、文章を書くのが好きで得意な人もいますが、これはあくまで得手不得手の枠の中の話。こういったものとは別個に、とにかく文章を書いていないと落ち着かないので、体の内側からわき起こる衝動を爆発させるかのように書きまくる「ハイパーグラフィア」という症状があります。いったいどういう症状なのか、統合失調症を患いハイパーグラフィアを発症した母親を持つ人が、母親が書きまくった大量のメモを公開していて、その一端を知ることができます。

This is Schizophrenia. - Imgur
http://imgur.com/a/KLpxV

ハイパーグラフィアの症状や原因については、自らがハイパーグラフィアであり、医者でもあるアリス・W・フラハティ氏が著わした書籍「書きたがる脳 言語と創造性の科学」に詳しく書かれています。

書きたがる脳 言語と創造性の科学: アリス・W・フラハティ, 茂木 健一郎, 吉田 利子: 本


「書きたがる脳 言語と創造性の科学」によると、ハイパーグラフィアの特徴は「同時代の人に比べて大量の文章を書く」「外部の影響よりも内的衝動に駆られて書く」「書いた文章が本人にとって哲学的・宗教的・自伝的意味を持っている」「書いた本人にとって意味があり、文章が優れている必要はない」とされています。つまり、ハイパーグラフィアの人が書く文章は、文字数が異常なほどに多く、他人には意味不明であっても当人には何らかの意味を持っているということ。この特徴がよくわかるのが、ハイパーグラフィアの母を持つTommygun27さんが公開した下記の画像です。

自身が12歳の時から17年間母親の世話をしているというTommygun27さん。母親が書き殴ったというメモは、一見何かを乱雑に書き留めたものに見えますが、書かれている用紙のサイズは750×450mm(A2より大きくA1より一回り小さいぐらい)で、いかに大量の文字が書き込まれているのかがわかります。


こちらは母親の状態が特に悪いときに書かれたメモ。文字の上に文字を書き重ねて、何が書かれているかは判読不能。


母親が書く内容は陰謀についてがほとんど。母親は書いたメモが世界を救うと信じているとのこと。


母親は書き記したおびただしい量のメモを全て保存。


しかしながら、全てのメモを保管しておくわけにはいかず、Tommygun27さんは母親に内緒でメモを定期的に捨てています。メモは母親にとって聖なるモノで、捨てていることがばれてしまうと大変な騒ぎになるとのこと。


こちらは、精神状態が落ち着いている日に書かれたモノで、文字からも精神状態が伝わってきます。


ただし、精神状態が悪い日は大きな紙一杯に書きまくることも。


大きいサイズの紙が小さい文字で埋められているのを見ると、鬼気迫る様子が伝わってくるようです。


「他人にとって意味をなさない文章であっても母親にとって重要である」というのは「書きたがる脳 言語と創造性の科学」で定義されているハイパーグラフィアの特徴にぴったり当てはまります。


母親が書きためた9カ月分のメモは、ノート約110冊分で約2万2000ページにも及びます。


ハイパーグラフィアが精神病の症状の一種と捉えられている一方で、「書きたがる脳 言語と創造性の科学」の著者であるフラハティ氏は、書くという創造活動を心から楽しむことを病気と表現するのはいかかがなものか、と同書籍内で疑問を投げてかけています。自分の耳を切る事件を起こしたフィンセント・ファン・ゴッホや数々の奇人エピソードを持つサルバドール・ダリなど、「天才と狂気は紙一重」を体現してきた芸術家がいたこともあり、ハイパーグラフィアが持つ創造活動の可能性を病気として否定するのは軽率かもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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