ハードウェア

人の手と機械によって作りあげられるドイツ伝統の機械式時計ができるまで


高度な発達を続けるコンピューターテクノロジーにより、いまやコンピューターは腕時計ほどのサイズに収まるほどになりました。体調の変化を記録するウェアラブルデバイスとして健康管理にも役立つという機能を与えられてる腕時計ですが、やはりその基本はゼンマイを動力にした昔ながらの機械式腕時計です。そんな伝統的な腕時計を今でも手作業と機械を使って作っているドイツ・グラスヒュッテ地方の工房の様子が、YouTubeのムービーで公開されています。

Look over the watchmakers' shoulders - YouTube


冒頭に登場するシャフトとバネでできた謎の機械。ある種の幾何学的な美しさを感じさせます。


静かな山あいの町に建てられた社屋。多くの工房が居を構えるドイツ東部の町グラスヒュッテに位置しています。


金属製のパーツが機械に取り付けられると……


上から刃物のようなものが押し当てられ、次々に溝が作られていきます。


加工が終わったパーツ。そのサイズはというと……


ピンセットでつかむほどのサイズ。


人の手の大きさと比べると、その小ささがよく分かります。この機械は、鉄のパーツに溝を掘ってギヤに加工する「ホブ盤」と呼ばれる金属加工機でした。


おびただしい数のギヤが削り出されていきます。


こちらはプレートに加工を施す機械。ロボットによりパーツが加工台にセットされ……


上からドリルのような刃物をセットした機械が降りてきて、すごい勢いでプレートを切削していきます。このあたりの工程はコンピューター制御のNC加工により自動化が導入されている模様。


わずか数秒で加工は完了しました。


そのプレートに掘られた小さな穴に、直径数ミリほどの赤い小さな宝石のようなパーツをセット。ピンセットを使った非常に細かな作業です。


上からスタンパーを押し当て、プレートに密着。


この赤いパーツは、時計の中にセットされる歯車を固定するための軸受けとして使われるもの。一日中休みなく時を刻む時計は常に内部のパーツが回転している状態で、秒針の軸で1日に1440回転、動力を生みだすゼンマイを支える軸だと50万回以上回転することになるため、金属ではすぐに摩耗してしまいます。そのため、時計の軸受けには摩耗に強い人工ルビーなどの素材がベアリングとして用いられています。


旋盤でパーツを支える機構であるチャックに装着されるギヤ。


回転しながら研磨用の棒が押し当てられます。


この加工により生まれる、渦巻き状の模様。


息をすることもためらうほどの細かな手作業を繰り返し……


プレートが取り付けられました。


手巻き時計の心臓部、ヒゲゼンマイなどのパーツがセットされ、時を刻み始める時計。「17 STEINE」と刻まれており、この時計には17石のルビーが使われている模様。


長針・短針も手作業でセット。上からそっとシリンダーを押し当て、優しく固定します。


秒針もピンセットではめ込まれていきます。


鈍く輝く金属パーツが加工機にセットされると……


レーザーがすごい勢いで文字を掘っていきます。


わずか数秒で、時計のケース部分の文字加工が完了しました。


組立が完了した腕時計は……


冒頭に登場した謎の機械にセットされ、ぐるぐると回転を与えられます。これは自動巻き式の時計を巻き上げるためのワインダーと呼ばれる機械。


このようにして、人間の手と最新の機械によって、伝統的な機械式時計が作り上げられました。


このムービーは、ドイツ・ザクセン州のグラスヒュッテ地方に1992年に設立されたNOMOS Glashütte(ノモス・グラスヒュッテ)社が作成したもの。同社は高度な技術を必要とされる機構「トゥールビヨン」の製造も手がけるメーカーで、昔ながらの技術と最新のテクノロジーを取り入れた製品作りを行っています。

高級腕時計メーカーのロレックスとスマートウォッチが融合した「iRolex」のイメージが作成されるなど、腕時計とデジタル技術の融合が進んでいますが、昔ながらに時だけを刻み続ける腕時計にも他のモデルにはない魅力が息づいているものです。

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in ハードウェア,   動画,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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