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時を刻む機械「時計」を手に入れたことで一変した人々の生活の様子とは?

By Don Urban

1日が24時間であるというのは誰もが疑いようのない事実であり、多くの人、そして社会がその仕組みの上に成り立っています。そんな社会を支えるのが「時計」の存在であり、時計なくして生活は成り立たないといえるもの。古くは太陽の作る影で時刻を知っていた人類が、機械による正確な時間の概念を手にしたことで起こった変化はどのようなものだったのでしょうか。

A Briefer History of Time: How technology changes us in unexpected ways - YouTube


多くの人は毎日、たとえば「6時45分に起き、7時30分の電車に乗り、9時ちょうどに仕事を始める」というふうに、正確に時を刻む時計にそって行動しています。


しかしこのような正確な「時間」が刻まれるようになる前は、どのような暮らしだったのでしょうか。


「太陽とともに目覚め、腹が減ったら飯を食べ、暗くなったら寝る」と言ってしまうと少しおおざっぱですが、人類は現代ほど精密な時間の計り方を持ち合わせていなかったといえます。


そんな時間の概念は、1657年に大きな転換点を迎えます。


1657年は、コーヒーが初めてパリに伝わった年であったり……


チョコレートが初めてロンドンで食べられるようになった年。


そしてこの年、オランダの科学者クリスティアーン・ホイヘンスは「振り子」を利用した最初の「振り子時計」を完成させ、それまで以上に正確な時を刻む時計を発明しました。

By Petko Bossakov

そんな振り子時計をさらに高精度化させることになったのが、この鉄の板を渦巻き状に巻いたバネと、それにとりつけられた車輪のようなもの。


このバネは「ひげぜんまい」と呼ばれ、イギリスの科学者ロバート・フックが研究していたもの。ホイヘンスはひげぜんまいの動きと振り子の動きに共通の特徴を見いだし、1675年にひげぜんまいを用いた懐中時計を完成させました。この時計は「世界初の実用的な機械式時計」と言われています。


ひげぜんまいに車輪を取り付け、力を加えると……


車輪は行ったり来たりの回転運動を行うようになります。機械式時計は、この正確な動きを利用して時を刻むというわけです。この車輪は「テンプ」と呼ばれ、機械式時計の心臓部ともいえる非常に重要な部品です。


このテンプに大小の歯車を組み合わせることで、人類は初めて機械的に時間を測るすべを手に入れました。


それまでは、太陽時計や砂時計、水時計などで大まかにしか知ることができなかった時間を、正確に測れるということに人類は気付きました。


この「気付き」がその後の科学の発展に大きな影響を与えます。「時間が測れるのなら、他の物も測れるのではないか」と考えた人類は、測定と観察という科学的な手法をとるようになります。


その結果、計算機のようなものが発明されたり……


複雑な機構を持つ、鳩時計が生まれ……


ピアノも、正確な技術が可能にした機械の一つ。


反射式望遠鏡が開発されたのも、この時代のことでした。


時計の大きさが、振り子時計から懐中時計にサイズダウンされたことで、大きなメリットが生まれています。


それは、船に乗せて航海することが容易になったということ。航海術は当時の最先端科学であり、そこからさまざまな技術や知識が生みだされます。


そんな科学の発展の結果、人類はついに地上から宇宙へと到達するに至りました。


時計から始まった科学はその後、コンピューターを生みだし、ネットワークを生みだし、携帯電話・スマートフォンを生みだして私たちの生活を現在のような形に変化させました。それらは全て、この「ひげぜんまいとテンプ」から始まったと行っても過言ではないのです。


そして、もう一つ興味深い変化が、同じ1657年から始まっているといえます。


歯車の組み合わせによって時間を細かく「分割できる」と知った人類は、「時間が分割できるのなら、他の物も分割できるのではないか」と考えたのです。


時間を正確に分割するためには、目に見える何らかの尺度が必要。時計の発明は時間を歯車の数で表すことで「機械化」し、それまでは抽象的だった時間の概念を客観的なものに置き換えることを可能にしたのです。


そしてその機械化は、私たちの生活の捉え方にも変化を及ぼすことになります。


時計が人々の暮らしに浸透することで、人類はそれまでにない正確な時間の概念に触れることになりました。


時計を付けた女性と、ボタンとレバーの巨大な計算機。いずれも機械による社会を物語るような光景です。


そしてコンピューターが全盛の時代、私たちの身の回りの至る所に時計は存在しています。


もはや「太陽が出たら起きる、起きたら仕事に行く」という時代は終わり、「アラームが鳴ったから起きる、○○時から仕事を始める」というふうに時刻によって人々の生活は制御されるようになったのです。


時計の発明は、世界の捉え方を一気に近代化させることになりました。


現代は高度に発達した技術により、メカニカルに動く社会に変化しています。


そしてそれは「社会」だけでなく、わたしたち「人類」が生活を捉える概念をもメカニカルなものにしたといえるのかもしれません。

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