サイエンス

世界を変えた17の方程式

By David

テクノロジーの背後には必ず「数学」の存在があり、数学の発展なくして現代の高度な社会は実現することはなかったと言っても過言ではありません。紀元前以来、生み出されてきた数々の定理・方程式の中から、数学者のイアン・スチュアート氏が著書「In Pursuit of the Unknown: 17 Equations That Changed the World 」の中で「世界を変えた」とされる17の方程式を厳選しています。

Mathematical equations: 17 that changed the world.
http://www.slate.com/blogs/business_insider/2014/03/12/mathematical_equations_17_that_changed_the_world.html

01:ピタゴラスの定理(三平方の定理)

「直角三角形の斜辺の2乗はその他の辺の2乗の和に等しい」という、幾何学の基礎を支える「ピタゴラスの定理」の存在によって、測量や航海技術が発達しました。

02:対数における真数の積と対数の和


指数と逆関数の関係にある「対数」は、巨大な数同士の積を身近な数で計算できるため、天体の軌道計算や計算尺など科学の急発展に貢献しました。

03:微分・積分


ニュートンによって確立された「微分積分学」は数学における解析学として一つの分野を与えられる存在ですが、ニュートンは、科学史上最高の論文と称される「プリンキピア」で「運動の法則」を解説するツールとして用いました。

04:万有引力


1687年、ニュートンはケプラーの法則運動方程式を適用して「万有引力の法則」を公表しました。この法則を使えば、地球の質量も簡単に測定可能です。

05:複素数(虚数単位)


2乗すると「-1」になるという虚数単位iの考案によって実数概念を拡張する「複素数」が誕生、これにより今日の電磁気学・量子力学の発展が導かれました。

06:オイラーの多面体定理


多面体における頂点(V)・辺(E)・面(F)の関係について、「V-E+F=2」という関係(オイラーの多面体定理)をオイラーが発見。この発見が位相幾何学の始まりとされます。

07:正規分布(確率密度関数)


確率論や統計学で欠かせない「正規分布」は19世紀最大の数学者ガウスによって考案されました。

08:波動方程式


波動を理論的に取り扱うために、数学的な表現を与えるのが「波動方程式」で、波動方程式を解くために開発された解法は、他の微分方程式の理解への扉を開きました。

09:フーリエ変換


波動を正弦波などのよく知られる波形に分解・変換できるのが「フーリエ変換」で、身近なところでは、音楽CDにおける耳に聞こえない高周波音のカットや、CTスキャンなどの医療機器にも応用されています。

10:ナビエ-ストークス方程式


流体の運動を記述する「ナビエ-ストークス方程式(NS方程式)」は、流体力学で用いられる方程式です。なお、NS方程式は流体の運動など多くの現象を決定できると考えられますが、NS方程式を解くこと自体極めて難解なため解けるように条件を簡単化して得た近似解を代替して決定するのが一般的です。NS方程式の解法を見いだした人もしくは方程式が解けないことを証明した人にはクレイ数学研究所から100万ドルの賞金が与えられます。

11:マクスウェルの方程式


ニュートンの運動の法則・万有引力の法則が古典力学の基礎方程式と呼ばれるのに対して、古典電磁気学の基礎方程式と呼ばれるのが「マクスウェルの方程式」です。電場・磁場・磁束密度・電流密度の関係を4つの方程式で表しています。

12:熱力学第二法則(エントロピー増大則)


熱力学第二法則」によって、エネルギーの移動方向とエネルギーの質が記述されることで、第二種永久機関が実現不可能であることが確定し、その後、熱力学が大きく発展することになりました。

13:特殊相対性理論(質量とエネルギーの等価性)


アインシュタインによって、エネルギーが質量と光の速度の2乗の積と等しいという「質量とエネルギーの等価性」が発見されました。この発見は、原子爆弾の開発に応用され、晩年、アインシュタインを悩ませることになります。

14:シュレディンガー方程式


シュレディンガー方程式」は、量子力学(波動力学)における基礎方程式です。ミクロの世界を記述するシュレディンガー方程式は、半導体・レーザー・原子力発電などの技術に不可欠となっています。

15:情報理論


「起こる確率の小さい事象が起こったときに得られる情報量は大きい」という概念は直感的な情報概念と矛盾しません。例えば、「横綱・白鵬が負けた」という情報は、「白鵬が勝った」という情報よりも「情報量が多い」というのは理解しやすいところです。シャノンはこのような直感的な概念を数学的に表現する「情報理論」を考案して、平均情報量を熱力学にならって「エントロピー」と名付け情報源の不確かさを定量化しました。情報理論は、データ圧縮技術やネットワーク通信技術に応用されています。

16:カオス理論


「ブラジルでチョウが羽ばたくとテキサスで竜巻が起こる」というバタフライ効果は、極めて小さな差が無視できないほど大きな結果の差を生み出す現象を指す言葉ですが、このような予測できない複雑な現象を取り扱う理論は「カオス理論」として、気象予測や金融工学で応用されています。

17:ブラック-ショールズ方程式


ブラック-ショールズ方程式」は、金融派生商品のヨーロピアン・オプションのプレミアムを計算できる理論として、現代金融工学の先駆けとなった方程式です。考案者の一人であるマイロン・ショールズ博士やFRBの元副議長デビット・マリンズ氏らが取締役として参加したヘッジファンドLong-Term Capital Management(LTCM)は、設立当初から12億5000万ドル(約1300億円)という史上最高額の資金を集め華々しく運用をスタートさせ、当初4年で投下資金を4倍増にし平均年間利回り40%を突破するなどの快進撃を続けましたが、ロシアのデフォルトに端を発する金融大混乱の中、1998年に破綻しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
数学を学ぶには計算ドリルではなく「高度な数学」から学び始める方が効果的なわけとは? - GIGAZINE

「数学が苦手」は生まれつきではなく努力によって克服可能 - GIGAZINE

女子高生は数学が不得意であるという偏見を教師は持ちやすい - GIGAZINE

300年以上かかって解かれた数学の難問を16歳の少年が自力で解を導き出す - GIGAZINE

数学好きが位相幾何学を応用してベーグルをカットするとこうなる - GIGAZINE

何もかもが間違っている数学の回答 - GIGAZINE

コンピュータを進化させてきた偉大なるアルゴリズムまとめ - GIGAZINE

in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.