仕事と家庭を両立させるために、日々忙しく働く人たちが行うべきこととは？

By Evil Erin

「仕事と家庭を両立させる」というのはなかなか難しいことのようで、家庭を顧みない夫に不満を持つ奥さんも世の中には多くいます。企業の最高経営責任者(CEO)からベンチャーキャピタリストに転身したScott Weissさんは、仕事に追われがちな人がなりがちな「仕事は成功、家庭は失敗」という状況に陥らないための方法を、自身の経験談を交えてまとめています。

Success at Work, Failure at Home | Scott Weiss
http://scott.a16z.com/2014/01/17/success-at-work-failure-at-home/

Cisco Systemsに買収されたIronPortでCEOを務めていたScottさん、当時の彼は端から見ればビジネスマンとして輝かしい日々を過ごしていましたが、実は家庭では最もつらい時期を過ごしていたそうです。彼は仕事においては集中し、モチベーションにあふれ、明瞭で決然としていた一方で、家庭では思いやりがなく、何事にもうわの空で、自己中心的かつ怠け者だったそうです。

ScottさんがCEO時代に抱えていた「家庭に対する苦難や悩み」は他の人も抱く共通のものである、とベンチャーキャピタリストになり、多くの企業のCEOと出会うことで気づいたとのこと。

By Giuseppe Savo

「初めてCEOになった時、私は何をすればいいのかまったく分かりませんでした」とScottさんは記述しています。Scottさんは企業のCEOになるまでにビジネススクールに通い、多くの大企業で働き、さらに成功したスタートアップ企業でも経験を積んできたそうです。それでもスタートアップ企業を指揮することでかかってくる途方もないストレスやプレッシャーに対する準備は全くできていなかった、とScottさんは振り返ります。

By Pierre Metivier

Scottさんは自身の周りに良き助言者や役員会のメンバー、さらにチャレンジ精神あふれるとても賢い経営陣チームをそろえ、自身も一緒に毎日がむしゃらに仕事をし、7年間もの間に渡ってIronPortを成功に導きます。当時の彼は、家族との関係が悪くなるたびに、より仕事に打ち込むようにしていたとのことで、「もしも家庭でふんぞり返っていたならば、より有能なリーダーになれただろう」とも言います。

By meddie / aka Gramps

この成功の影で、Scottさんの奥さんは夫が出張に行く際は全ての家事を担当し、第三子を産み専業主婦になるまでは自分の仕事もこなしていたそうです。それでもScottさんは、「自分は無理して働いているんだから、家に居るときくらいはのんびりさせろ」といつも思っていたと言います。

Scottさんが自身の過ちに気づいたのはIronPortを売却した後の約18か月を、家族の食事を準備したり、子どもの送り迎えをしたりといった作業の一部を受け持つようになってから。これらの影響でScottさんの考えは変わり、もう1度定職に就くようになった現在でも家庭のことはおろそかにしないように努めているといいます。そして、世の中の忙しく働く人たちのために、仕事と家庭のバランスをうまくとるために必要なことを以下のようにまとめています。

◆仕事から離れて家庭とつながりをもつ
今のScottさんにとっては簡単なことでも、企業のCEOを務めていた際には、「仕事から完全に離れる」というのは非常に難しかったそうです。仕事から離れて家庭とのつながりを持つには考え方を変える必要があったと言います。

By alex:

考えを改めるきっかけとなったのは、Scottさんが自分の奥さんからの信頼を失っている、と気づいたため。しかし、それに気づいてもなお仕事に対して強い愛着があったと話します。しかし、ゆっくりと家庭に対する自身の姿勢を変えていき、例えば家事に集中したり、食事を作ったり、奥さんと将来についての話し合いをしたりすることで家族とよりつながりを持つようにしていったそうです。

By Ewan McIntosh

最初は心ここにあらずな状態になったりして奥さんに叱られたりもしたそうですが、仕事のプレッシャーから解放されるのは、自分の考え方を切り替えるのにも良い、とScottさんは言います。

◆家庭に加わる
そして本当のパートナーになるには、実際に家庭に加わる必要があります。Scottさんは「世界一忙しいCEOですら、家族の食事の準備をしたり、車を運転したり、ランチを詰めたり、子どもの宿題を手伝ってあげたりするべき」と主張しています。それは毎週家族と関わりを持つことが、家族との関係を保つ唯一の方法であり、これは外部委託できるものではないから。どれだけ疲労していようとも、家庭では「怠惰であるべからず」、とScottさんは指摘します。また、家事を分担すれば、家庭内の関係はフラットなものになり、自身の立場を上げることにもつながるようです。

By Toms Bauģis

もしも家庭と深く関わりを持てているならば、日々に抑揚ができ、コミュニケーションも劇的に改善される、とScottさんは断言します。

◆コミュニケーションをとる
ScottさんがIronPortで働いていた際、出張で何日も家を開けても、全く連絡を取らずにいたそうです。しかし、現在ではカレンダーに家族の予定を書き込み、「この日は○○のあと、▽▽を乗せて帰る」といった風に日々の細かなスケジュールまで家族と共有しているとのこと。

By
Jackal of all trades

この様に細かなコミュニケーションを取り合うことが、家庭内での負担を分担し、信頼を築く機会になり得ます。

◆計画と優先度
毎週奥さんとデートをし、息子さんとはFantasy Premier Leagueを一緒にプレー、そして娘さんとは一緒に料理を作るというScottさん。これらの時間のほとんどは、時間の変更ができない約束とのこと。

Scottさんの場合、水曜日と金曜日の朝9時には会議ができません。なぜならその時間は家族の朝ご飯を作り、子どもを車で学校に送ってあげなければいけないため。彼のように、あらかじめ予定されているプライベートの時間は、たとえ大事な仕事があっても優先する必要があるとのことで、もしもどうしても仕事のために時間を作りたい場合は、家族での食事を早めに切り上げて会議に戻ったりだとか、会議の開始を少しだけ遅らせてもらったり、という工夫が必要とのこと。

By Leslee Lazar

実生活で誰もが仕事と家庭のバランスに悪戦苦闘するものですが、このバランスが崩れればストレスや判断力に影響し、最も大切にしたいことさえも不安定になってまうものです。しかし、会社やチームのリーダーが仕事と家庭のバランスをうまく保てていれば、それはその他のメンバーにとってとても良い例になるし、それこそCEOが率先して行うべきことでもあるとのことです。