パシフィック・リムの香港での大迫力バトルはどのようにして作られたのか?
超巨大人型ロボット「イェーガー」と巨大モンスター「Kaiju」の壮絶なバトルを描いた「パシフィック・リム」は、何といっても世界各地で繰り広げられた数々の圧倒的なバトルシーンが脳裏に焼き付くほど印象的です。数あるバトルシーンの中でも、過去最大級であるカテゴリー4の怪獣2体とのバトルが展開された香港でのシーンについて、パシフィック・リムの視覚効果を担当したIndustrial Light & Magic(ILM)が、その驚きの撮影方法を公開しています。
Behind the Magic: "Pacific Rim" Hong Kong Battle
「香港でのバトルシーンのほぼ全てはCGで作成されたものなんです。ですので、香港のシーンは僕たちにとって大きな挑戦でした」と説明するのはILMのDavid Fogler氏。
3Dモデリングで作成された香港でKaijuとアメリカのイェーガー「ジプシー・デンジャー」が向き合います。
一番奥にあるビルから手前に向かって色づけ。
香港の高層ビル群が再現されていきます。
ビルから発せられる光を追加。
Kaijuとジプシー・デンジャーに色を付け雨を追加すると、高層ビルが立ち並ぶ香港が完成。
香港でKaijuを探しているジプシー・デンジャー。
突然Kaijuがビルから出てきてジプシー・デンジャーを攻撃します。
このシーンでは画面前方のビルが破壊され粉々になるのを表現するのに、ライティング・パイプラインを構成したとのこと。
夜の風景に……
CGで作成されたビルが追加されていきます。
CGで作成されたビルは内部にいたるまで、細かく再現されているとのことです。
そして登場するジプシー・デンジャー。
VFX主任のJohn Knoll氏は「香港でのバトルシーンは、論理的に考えて不可能だと思っていました。劇場のような臨場感を出しつつ、多くのビルを破壊するようにギレルモ・デル・トロ監督から言われてましたから」と語っています。
Kaijuがビルに当たって……
ビルが豪快に破壊されるシーンにはギレルモ・デル・トロ監督の大きなこだわりがこめられているのです。
香港でのバトルシーンでは雨が降っていたため、ジプシー・デンジャーの動きに合わせて飛び散る水しぶきが再現されています。
水しぶきの他にも、ジプシー・デンジャーが動くことによって舞い上がるチリなどの細かい部分も丁寧に作成。
さらに、光などを加工していくと、質感のある映像が完成するというわけです。
ジプシー・デンジャーを照らし出す光は、香港の町のあちこちにある色とりどりのネオンから発せられているもの。
こちらはジプシー・デンジャーがコンテナを右腕でつかむシーン。
色付けされると全く別物に変化。
つかんだコンテナでKaijuをぶん殴るジプシー・デンジャー。
映画内では、両手に持ったコンテナで……
顔面を挟み込むようにしてKaijuを攻撃。
攻撃されたKaijuが加工される前はこんな感じですが……
飛び散るコンテナや水しぶきなどさまざまな要素を加えると、迫力満点の映像に生まれ変わります。
映画にはジプシー・デンジャーがビルにパンチして……
拳がビルの中にめり込むというシーンがありました。
こちらのシーンでは、小さなミニチュアの机や椅子などを作成して撮影。
作成したミニチュアでセットを組み立てます。
組み立てたセットを実際に破壊して撮影。
撮影した映像をPCに取り込んで……
さらに、細かい要素を追加していくと、拳がビルの中を突き進むシーンが完成します。
ほぼ全てがCGで作成された香港でのバトルシーンは、その難易度から一番最後に撮影されたとのこと。なお、ギレルモ・デル・トロ監督はパシフィック・リム2の脚本を執筆中であることをIGNのインタビューで明かしており、大迫力の映像を再度楽しめると期待してよさそうです。
・関連記事
「パシフィック・リム」のギレルモ監督が子ども時代に見た夢を映画化した「SHHH」 - GIGAZINE
パシフィック・リムの映像がVFX加工で作成されていく様子を集めたムービー「Pacific Rim ‘Before & Afters’」 - GIGAZINE
映画「パシフィック・リム」ギレルモ・デル・トロ監督のすさまじいスケッチ集 - GIGAZINE
「パシフィック・リム 東宝ゴジラ的予告編」がとんでもないクオリティであまりにもそれっぽい完成度 - GIGAZINE
15kgのパイロットスーツを着て1日16時間動き回ったと「パシフィック・リム」イェーガーのパイロット2名が語る - GIGAZINE
超巨大怪獣の内臓などから薬を生成・販売する闇組織「KAIJUREMEDIES」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ