モーツァルトを聴かせても子どもの知能は上がらないことが研究で判明

By sean dreilinger

幼い頃から音楽を聞かせたり、ピアノを習わせることで子どもの知能に良い影響が出る、という考えのことを「モーツァルト効果」と呼び、10人のアメリカ人のうち8人はこの効果を信じているという統計結果が出ています。この「モーツァルト効果」についてハーバード大学教育学研究科の学生であるサミュエル・メヘルさんが研究を行い、「音楽を聞かせることは子どもの知能に影響を与えない」ということが判明しています。

PLOS ONE: Two Randomized Trials Provide No Consistent Evidence for Nonmusical Cognitive Benefits of Brief Preschool Music Enrichment
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0082007

サミュエル・メヘルさんの研究結果を報告するムービーは以下から確認できます。

Study Finds No Evidence for Cognitive Benefits of Music Ed - YouTube


音楽教育の子どもの知能に対する影響を研究したサミュエル・メヘルさん。1993年のネイチャーの論文からも「モーツァルト効果」という言葉は使用されており、10年ほど前から「音楽が知能に良い影響を与える」という説が存在しているとのこと。


長年の経験からメヘルさんは、「音楽教育が子どもの認識能力を強化するか?」ということに対して疑問を持っていました。


メヘルさんによると、成人したアメリカ人の内の80%は音楽教育が認識能力に良い影響を及ぼすと考えているとのこと。


そこでメヘルさんは2つの実験の実施しました。1つ目の実験は、もともとの特性(ボキャブラリー・感受性・家族の所得など)に差が出ないように4歳の子どもを29人集め、ランダムに音楽または視覚芸術のクラスに割り当て、週に45分のレッスンを6週間受けさせるというもの。そして6週間後に子どもたちの4つの特定分野をテストして結果を見るというもの。この時IQテストが使用されなかったのは子どもの認識能力をより正確に判断するためです。


4つの特定分野のテストとは「ボキャブラリー」「数字識別」「視覚分析」「空間把握」に関するもの。29人の子どもたちのテストの結果では、音楽クラスの子どもたちには地図を使った「空間把握」のテストで他に比べて上昇が見られましたが、全体的には認識能力に著しい影響を与えているという相関性は表れませんでした。


2つ目の実験では、1つ目の実験と同様に特性や性能に差が出ないように集めた子どもたちを7~8人ずつ、「音楽」「視覚芸術」クラスに加えて「クラス無し」の3グループに割当てました。


6週間のクラスの後に、子どもたちに同じ4つのテストを受けさせたところ、どの分野においても1つ目の実験と同様に、6週間の音楽レッスンが認識能力に対して影響を及ぼしているという結果は表れませんでした。


この実験の結果から、メヘルさんは、「モーツァルト効果」の知能への影響に対する1つ目の結論として、「実証された証拠に基づいた説ではない」と話しており……


2つ目の結論として、「知能への影響はない」と断言。少なくとも、子どもの知能を伸ばしたいと希望する親は、無理に音楽教育を受けさせても、知能が磨かれることはないとのこと。


しかし、メヘルさんは3つ目の結論として、「音楽教育が、本質的かつ外面的に正当化される」と話しています。音楽教育を受けさせることは、人間の感情や、異文化を学ぶ良いツールであり、感性を伸ばすことは間違いないようです。

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