日本政府がGoogleマップを「最も優れたデザインとは認めがたい」と判断、投票数1位なのにグッドデザイン大賞は「該当なし」に
1位の投票数を得た「Googleマップ」を「グッドデザイン大賞」の候補として政府に連絡をしたところ、なんと「最も優れたデザインとは認めがたい」との判断が下されてしまい、2013年度のグッドデザイン大賞は「該当なし」になってしまいました。
グローバルデザイン2013選出過程 | 2013年度 | グッドデザイン賞受賞概要 | これまでの活動 | Good Design Award
http://www.g-mark.org/activity/2013/nominate.html
まず、投票結果は以下のようになっています。
1位:2752票、Google マップ(グーグル株式会社)
2位:2232票、ロケット [イプシロン](独立行政法人宇宙航空研究開発機構)
3位:1277票、軽自動車 [ダイハツ タント](ダイハツ工業株式会社)
4位:1120票、ジャンクション [大橋ジャンクション](首都高速道路株式会社)
5位:1080票、照明器具 [陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE](株式会社三宅デザイン事務所)
6位:1024票、Curved OLED TV [EA9800](LG Electronics Inc.)
7位:905票、電波望遠鏡 [アルマ望遠鏡モリタアレイ](自然科学研究機構国立天文台)
8位:728票、自動車 [フォルクスワーゲン ゴルフ](フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社)
9位:617票、椅子 [HIROSHIMA フォールディングチェア](株式会社マルニ木工)
10位:460票、自転車 [ノイズ カーゴ](株式会社NOiS)
常識的に考えれば、1位のGoogleマップがそのままグッドデザイン大賞になるのですが、以下のような経緯によって大賞にはなれませんでした。
投票結果は上記となり、最多の票を得た「Google マップ」を「グッドデザイン大賞」の候補として政府に連絡をしたところ、「最も優れたデザインとは認めがたい」との判断されました。この結果、2013年度のグッドデザイン大賞は該当なしとなりました。
ただし、いくらなんでもこれはめちゃくちゃすぎるということなのか、一応、以下のように、大賞の代わりに「特別賞」を贈ることでお茶を濁すことにしているようです。
「Google マップ」は、選出過程において高く評価され、生活者からも多くの支持を得たので、「グローバルデザイン2013」という特別賞を設置し、日本デザイン振興会会長賞として贈賞することにしました。
Googleマップが事実上のグッドデザイン大賞であるにもかかわらず、政府が却下した最大の理由としては、以下が原因だと考えられています。
政府がグーグルマップ「禁止」 領土表記を問題視 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201309/CN2013092801001165.html
実際に国土交通省地理院からも大学のページなどでGoogleマップを埋め込むことを禁止しており、以下のような通達が出されています。
大学公式ページでのGoogleMap禁止令と彩雲 : 5号館のつぶやき
http://shinka3.exblog.jp/20690859/
これはどういうことかというと、日本向けに提供しているGoogleマップでは「日本海」と単独表記されていても、グローバル仕様になっている「標準版」のGoogleマップでは「東海」が併記されており、竹島も「リアンクール岩礁」と表記されているため。
なお、グッドデザイン大賞の「Google マップ」のページでは審査委員の評価として以下のように書かれています。
Google マップ [Google マップ] | 受賞対象一覧 | Good Design Award
http://www.g-mark.org/award/describe/40459
広く普及している地図アプリケーションであるが、ナビゲーションや検索のユーザインタフェースが大幅に改善されるなど着実に進化している。携帯電話の画面という限られた領域を効果的に使うための工夫が成されており、地図と情報を同時にみる際などの利便性が向上している。国ごとのこまかなカスタマイズがなされている。細部までよく吟味されユーザ視点に立った優れたインタラクションデザインである。
そもそもグッドデザイン大賞は別名が「内閣総理大臣賞」であり、グッドデザイン金賞は別名が「経済産業大臣賞」、グッドデザイン・ものづくりデザイン賞は別名が「中小企業長官賞」、グッドデザイン・地域づくりデザイン賞は別名が「日本商工会議所会頭賞」、グッドデザイン・未来づくりデザイン賞は別名が「経済産業省商務情報局長賞」というような感じなので、政府の反感を得てしまうと受賞できないのは当然と言えば当然、ということのようです。
なお、経済産業省クリエイティブ産業課デザイン政策室の説明によると「グーグルマップは他の候補とそれほど得票数の差がなく、『極めて顕著な功績』という総理大臣表彰の要件に当てはまらないため、官邸と相談の上で表彰を見送った」としています。
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