スマホのバッテリーで天気予報の精度を向上させるアプリ「WeatherSignal」
ある化学メーカーの研究員が強力な接着剤の研究をしていたが、粘着力が弱いものができてしまって大失敗……こんなに弱い接着剤など失敗作だ!と思っていたときに同僚が「この適度に接着できて、剥がすときはきれいに剥がれるという特性は、何かに使えるのではないか……!」とひらめいたことから大ヒット商品になったのが、3M社の「ポスト・イット」というのは有名な逸話ですが、このように偶然起こったできごとから全く別の価値を見いだす能力のことを「セレンディピティ」(偶察力)と呼んでいます。この「セレンディピティ」を発揮して、スマートフォンのバッテリーを天気予報精度の向上に役立てようという、とんでもない研究が進められています。
Mobile meteorology: smartphone batteries will change the way we measure the weather - OpenSignal
http://opensignal.com/reports/battery-temperature-weather/
2010年に設立された「OpenSignal」社はイギリスのロンドンに本部を置き、携帯電波のカバーエリアを調査することを主な業務としています。調査には、一般ユーザーのスマートフォンにインストールされた同社のアプリ「OpenSignal」が使われており、定期的に位置情報や電波状況、バッテリー電圧などを匿名化された形でサーバに送ってもらうことで、データを収集・蓄積しています。
ウェブサイトでは以下のような画面が表示され、青から赤になるにつれて電波が強くなることを示しています。
3G and 4G LTE Cell Coverage Map - OpenSignal
http://opensignal.com/
さて、ここからが本題なのですが、そのユーザーから送られてくる情報の中に「バッテリー温度」のデータがありました。あるスタッフがこのデータと気温データに相互関係があることに気づいたのです。
そして研究の結果、複数台の携帯端末のバッテリー平均温度から、端末のあるエリアの気温を計算で算出するということが可能になりました。それまではほとんど関係性を見いだせていなかった「バッテリー温度」と「気温」が突然結びついたというわけです。この手法を使うと、いままでは地域ごとの観測装置に頼るしかなかった気温や気候のデータが、街中にあふれているスマートフォンから流れ込んでくることになります。そして、多くの端末から集められる膨大な「ビッグデータ」を活用し、より精密な天気予報に役立てることができるかもしれないのです。
ということで、早速アプリが開発されていたので、実際にGalaxy S4にダウンロードして使ってみることにしました。
◆インストール
「WeatherSignal」で検索するとヒットするので、それをタップ。あるいは、このページに直接移動します。
「インストール」をタップ。
「同意する」をタップ。
インストールが完了したら「開く」をタップ。
「Welcome」画面が表示されるので、「OK」をタップ。
メイン画面が表示されました。サングラス姿のキャラクターの名前は「Atmos」といい、各種センサーの情報から、いまユーザーがどのような状況なのか(歩いている・自転車に乗っている・屋外にいる、など)を感知しています。また、画面下部の左上から「Temperature(気温)」「Humidity(湿度)」「Mag.flux(地磁気)」、右には「Light(光量)」と「Pressure(気圧)」が表示されています。
左上の「Temperature」をタップすると、このような線グラフが表示されます。白線はデータの値の変化を示しています。
また、上部の「Hour」や「10 min」をタップすることで、10分ごとから1か月単位のグラフに変更することも可能です。「10 min」だとこんな感じ。気温が32.3℃あたりから33.3℃あたりまで変化していることがわかります。
こうしてとられたデータを送信してみましょう。メニュー画面の「REPORT」をタップ。
「天候をシェアして、アルゴリズムの向上にご協力ください」というメッセージが書かれており、上から順に「コメント」「屋内か屋外か」「今の天候」を記入・選択し、「Submit report!」をタップ。
「Saved observation!」(データを保存しました)と表示されて送信が完了しました。
また、メニュー画面の「MAP」をタップすると、集められたデータの位置と内容が表示されるようになっています。
アプリ自体はまだ動作が不安定な時もあり今後の改善に期待したいところですが、こうして集められたデータを元に研究が進められることで、今後の天気予報の改善に役立っていくようです。
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