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孫が水浴びしている写真をパソコンの中に保存したおじいさん、児童ポルノ単純所持の罪で警察に捕まり起訴される

by Todd

イギリスでは児童ポルノ写真を所持しているだけではなくウェブサイトを閲覧しただけでも罪に問われるのですが、男性が孫の写真を所持しているだけで逮捕されることもあるようです。弁護士の妻であるbarristerswifeさんはイギリスの司法に関する記事を投稿しているのですが、孫が水浴びしている写真を持っていた男性Aさんの身に何が起こり、どのように逮捕され、どんな結果を迎えたのかという流れを自身のブログ内に書いています。なお、以下のストーリーは実際に起こった出来事ですが、当人のプライバシーを保護するため、一部変更を加えているとのとこと。

Exhibit A – the “child pornographer” | a barrister's wife
http://abarristerswife.wordpress.com/2013/05/05/exhibit-a-the-child-pornographer/

Aさんは仕事を引退した70代前半の男性で、妻とは40年の結婚生活を共にし、これまで警察沙汰の問題を起こしたことは一度もありませんでした。ノートPCを使ってインターネットを行ったり、趣味に打ち込んだり、家族や友人と連絡をとったりしており、テクノロジーの発達にも遅れを取っていない男性です。


ある日PCが動作しなくなっため、Aさんは修理のお店に持って行きました。そしてギークな従業員は仕事の最中にそのPCに裸の子ども写真が多く保存されているのを発見。彼らは法律に従い、警察に連絡しました。連絡を受けた警察は写真を確認すると、AさんのノートPCを押収し、それぞれの写真内容について記述しました。そしてAさんはわけもわからないまま逮捕され、取り調べを受けることになったのです。

取り調べの最中の会話は記録されており、それによると内容は以下のようなものでした。

警察:あなたは児童ポルノ写真をノートPC上に持っていましたね。

Aさん:いいえ、持っていません!

警察:子どもを裸にして、挑発的なポーズを取らせた写真を持っていましたね。

Aさん:いいえ、持っていません。あなたが話していることの意味がわからないのですが。

警察の記述した写真内容についての書面は公訴局へと渡されたのですが、それによればAさんはレベル1の児童ポルノ法違反にあたりました。レベル1は児童ポルノの中でも最も低いレベルの犯罪で、実際に性的な行動を起こしてはいないものの、挑発的なポーズや性的なポーズを取らせた写真を所持しているとこれにあたります。Aさんはこれまでの人生で問題を起こしたことがなく、危険だとは思われなかったので、1人で子どもと接触しないという条件で保釈。家に帰ることができました。

by Andy Wilson

Aさんは自分が無実であることを知っていました。しかし同時に多くの人々が「無実が証明されるまでは有罪である」と考えていることも認識していました。彼は友人たちや近隣住民がこの事実を見つけだし、彼を追放することを恐れました。自分ひとりで子どもたちと会うことができず、また何があったかを話すこともできないため、彼はでたらめな話を多くでっちあげたとのこと。

Aさんの身に災難が降りかかってから数カ月後のある日、弁護士の妻であるbarristerswifeさんはキッチンで陶芸を行っていました。するとキッチンに弁護士である夫が入ってきて、「バケツに対して挑発的とは何だ!」と怒りだしたそうです。説明を求めると、barristerswifeさんの夫がAさんの弁護にあたっていることがわかりました。barristerswifeさんの夫は警察が書き控訴局へと渡った記述を読んでいたのですが、記述には間違いなく悪意があり、矛盾していました。何かがおかしいと思い、barristerswifeさんの夫は「写真を見る必要がある」として法務官に連絡したのですが、写真へのアクセスはうまく行かず、数週間にわたってリクエストを送り続けることとなりました。

そして公判の日、Aさんを有罪にするよう求めた検察官に対し、barristerswifeさんの夫はこう発言しました。「それは私の見た写真ではありません!」。結局のところ、警察による記述は事実を改変していたのです。

Aさんを弁護するにあたってbarristerswifeさんの夫はクライアントの元に出向き、実際に写真がどんなものだったのかを尋ねたのです。悪意あるニュアンスを抜きに、正当に写真を記述してもらったところ、それは「子どもに挑発的なポーズをさせた写真」ではなく、夏の暑い日にホースやバケツ、水鉄砲を使って子どもが庭で遊んでいる写真だったのです。子どもたちは走り回り、水を飛び散らせ、笑い、楽しい時間を過ごしていました。子どもたちはみな裸です。「このような写真を知っていますか?」とAさんに尋ねたところ、その時初めてAさんは「ええ、それは孫たちですよ!」と答えました。

by mauryd

つまり、警察の書いた記述はAさんが自分の写真だとは気づかないほど現実とはかけ離れたものだったのです。真実はこうでした。ある夏の日、孫たちがAさん夫妻の元を訪ねたのですが、非常に暑い日で、子どもたちは庭で水遊びを始めました。彼らは水着を持っていませんでした。だから裸だったのです。

この1件からbarristerswifeさんは、Aさんの悪夢は誰かが警察に連絡したことから始まっており、今日、児童ポルノに限らず、このようなことはいつでも誰の身にも起こりえると指摘します。また例え故意ではなくとも、警察と控訴局に不備はあります。私たちは熱心すぎたり、あるいはついてない1日をすごしたり、再確認を忘れたりで、判断ミスに見舞われます。それらは多くの場合、重大な結果を招きませんが、Aさんの場合は刑務所に入れられる可能性もあったのです。そして、このような無意味な事例によって警察、控訴局、裁判所の時間を無駄にし、市民が納めた税金を無駄にしているのも事実。Aさん本人自身も肉体・精神的健康を損なっており、家族の絆さえも犠牲にしているのです。

by sean dreilinger

なお、barristerswifeさんはメディアや政治家によって作られた「私利私欲にまみれた弁護士」と「卑劣な犯罪者」という2つのイメージを払拭し、イギリスの裁判制度の欠点を改善するために記事を書いており、事例は必ずしも日本の法制度に合致するものではありませんが、アメリカでは性的なメールを送ったティーンエイジャー3人が起訴され、日本でも児童ポルノ禁止法改定案が出されるなど、世界的にも児童ポルノに関する法律の変化は注目されているところです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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