サイエンス

どんな夢を見ているのか睡眠中の脳活動を解析して高い精度での解読に成功

By Visual Artist Frank Bonilla

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の脳情報研究所・神経情報学研究室の研究チームが、睡眠中の人がどんな夢を見ているのか、脳活動の解析によって内容が解読できることを明らかにしました。

睡眠中の脳活動パターンから見ている夢の内容の解読に成功
(PDFファイル)http://www.atr.jp/topics/press_pdf/20130405_Science_130405.pdf



Neural Decoding of Visual Imagery During Sleep
http://www.sciencemag.org/content/early/2013/04/03/science.1234330



夢の内容 高精度で解読に成功 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130405/k10013690171000.html



この研究はATR脳情報研究所・神経情報学研究室の堀川友慈研究員、玉置應子研究員、宮脇陽一研究員、神谷之康室長によるもので、現地時間4月4日発行のScience Expressに掲載されています。

研究では、3人の被験者に脳波計をつけた状態でfMRI装置の中で寝てもらい、リアルタイムで脳活動を計測して睡眠状態を判定。夢を見ている状態と関連があるとわかっている睡眠脳波パターンが出たタイミングで被験者を起こし、直前に見ていた夢の内容を言葉で報告してもらう、という作業を繰り返し、各被験者について約200回の夢報告データを取得。報告に出てくる単語を抽出して言語データベースを用いて解析し、内容に主要な物体カテゴリー(「本」や「クルマ」などの約20カテゴリ)が含まれているかどうかを予測するパターン認識アルゴリズム(デコーダ)を構築しました。

実験の概要を図にしたもの。「夢を見ている」とわかったら被験者を起こして内容を約30秒程度で報告してもらい、終わったらまた寝てもらって、夢を見たら再び起こし……という作業。


このデコーダを用いて睡眠中の脳活動を解析することで、夢に現れる物体カテゴリーの情報を解読することに成功した、というわけです。

ある被験者の試行パターンの一例。このとき、被験者は文字が現れる夢を見ていて、デコーダでも脳活動のカテゴリが「character(文字)」であるというスコアが高くなっています。


夢内容の予測には、起きていて画像を見たときに活動する脳部位のパターンが有効で、夢を見ている時も共通する脳活動パターンが生じていることが分かりました。今のところ、夢の中の「色」や「形」といった画像情報を解読できるかはわからないものの、今後、アプローチを応用・発展させていくことでより多様な夢内容の解読が可能かを検証していく予定だとのこと。

また、この方法を夢内容だけではなく想像や幻覚などの解読に用いることで、ブレイン-マシン・インターフェースや心理状態の可視化への応用、精神疾患の診断への貢献が期待されています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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