事故から歩行者や自転車を守るために車に取り付けられるエアバッグシステム
オランダは国中に自転車用レーンが張り巡らされているほどの自転車大国ですが、自転車人口が多いだけに事故も多いという現状があり、交通事故で死亡する人の3分の1が歩行者や自転車運転者となっています。そこでTNOが開発したのが自動車の外側に取り付け、歩行者や自転車運転者を衝撃から守るエアバッグです。
TNO - New airbag protects vulnerable road users
http://www.tno.nl/content.cfm?content=prop_case&context=thema&item_id=1199&laag1=894&laag2=914&laag3=104
実際に行われたデモの様子は以下のムービーから見ることができます。
Succesvolle demonstratie fietsersairbag - YouTube
車に対し非常に無防備な歩行者や自転車運転者は事故の被害にあいやすく、現在では身につけるタイプのユニークな自転車用エアバッグなども販売されています。
そこで、車に乗車している人だけでなく、車の外にいる人の体を守ろうという発想から生まれたのがTNOの開発した新しいエアバッグ。
2年にわたる開発を経て、2012年11月に完成し、マネキンを使った衝突実験が行われました。
コンピューターの解析では、自転車に乗った人間が車に衝突するとフロントガラスで頭をぶつけてしまう、という結果になっています。
体がボンネットの上に放り出され、倒れた反動で頭がぶつかってしまうのです。
この衝撃を車の外側に設置したエアバッグでやわらげるという仕組みです。
以下はエアバッグを搭載していない通常の車が時速40kmでマネキンにぶつかった時の様子。
ボンネットの方に体が倒れ……
フロントガラスに衝突。
フロントガラスには大きくヒビが入っており、ぶつかった人が受けた衝撃を物語っています。
これが本当に人間だったら……と考えると恐ろしい事態です。
TNOはエアバッグを効果的に機能させるため、前を歩いている人間を察知するためのシステムも開発。
車にはカメラが取り付けてあり、歩行者や自転車が一定範囲内に入ってくると、システムは警告モードに切り替わります。
そしてバンパーに取り付けられたセンサーが物体との接触を感知すると、エアバッグは瞬時に展開するように設計されているのです。
ということで、実際にエアバッグを取り付けた車で先ほどと同様の実験を行っていきます。
時速40kmの車が自転車に衝突。
瞬間的にエアバッグが開きました。
車内から見ると、エアバッグによって、自転車運転者の頭部がフロントガラスとの衝突から守られているのがわかります。
横から見た様子。
ボフンとエアバッグの中に頭が沈んでいます。
TNOとは別の技術を使った歩行者用のエアバッグが2012年に発売されたボルボV40でも搭載されており、今後同様の機能を搭載した車も増えてきそうです。
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