サイエンス

12コアの光ファイバ1本で毎秒1ペタビットもの高速大容量伝送実験に成功

By aleske

2011年3月に光ファイバーで109Tbps(テラビット毎秒)の伝送に成功したというニュースがありましたが、その10倍である1Pbps(ペタビット毎秒)の伝送実験が成功しました。伝送距離は50km強で、これは2時間のハイビジョン映画5000本を1秒で伝送可能な速度に相当します。

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NTT、フジクラ、北海道大学、デンマーク工科大学(DTU)は、12コアの光ファイバ1本を用いて、毎秒1ペタビットの大容量データを52.4km伝送することに成功しました。

研究の背景としては、近年の通信トラフィック増加が挙げられています。これまでは光ファイバの基本構造を変えることなく、光通信システム装置を大容量化することでサービスを支えてきましたが、現在の増加率から考えて、将来のトラフィックに対する長期的対応が課題となっていました。

そんな中で、DTUの盛岡敏夫教授は1本の光ファイバに複数のコアを持たせたマルチコア光ファイバなどを含む、新しい空間的構造を持つ光ファイバを用いた空間多重光通信技術の研究開発を提唱。この提案の有効性の確認のため、NTT、フジクラ、北大、DTUは研究を進めてきました。


今回の実験では、コアをほぼ同心円状に配置した新しい構造の12コア-マルチ光ファイバ、および入出力デバイスを開発。それぞれのコアには高密度に波長多重可能なデジタルコヒーレント光伝送技術を適用し、これまで課題となっていたコア間での光信号の漏れ(クロストーク)を低減しました。

従来のマルチコア光ファイバは六方最密構造(7コア、19コア)。今回は非六方最密構造の12コアで、同心円状に配置することで隣接コア数が減って、クロストークが低減されています。


また、通常はONとOFFという2つの強度状態に信号の0と1を対応させて送る強度変調技術が一般的ですが、光の波の性質である位相と偏波を利用して多数の信号伝送を可能とする偏波多重32値QAMデジタルコヒーレント技術を使用し、コアあたりの伝送効率を、従来のマルチコア光ファイバ伝送に比べて4倍以上に高密度化しました。

この結果、1コアあたり毎秒84.5テラビット伝送容量(1波長あたり380Gbps容量×222波長チャネル)を実現。12コアのマルチ光ファイバ1本で、84.5テラビット×12の毎秒1.01ペタビットの信号を52.4kmにわたって伝送可能であることを実証しました。これは従来の世界記録である毎秒305テラビット(伝送距離10km)を更新するもの。

シングルコア光ファイバは伝送距離が100km以上あるが、伝送容量が小さめでした。今後はさらに伝送距離、伝送容量を伸ばしていくのが目標。


今回の実験を通じて、現在実用化されている光ファイバーの商用技術を1000倍以上に高める、革新的な光通信システムを実現するためのキーとなる要素技術が開発されたというわけです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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