猫はどうしていつも足から着地することができるのか
猫が高い場所から落下しているところをハイスピードカメラで撮影してスローモーションで見てみると、一体どのような原理で足からの着地が行われているかが、よくわかります。
High Speed Video of Flipping Cats | Smarter Every Day 58 (Cute Cat vs Physics) - YouTube
身近な科学をわかりやすく解説している「Smarter Every Day」が今回挑むのは「猫はどうしていつも足から着地するのか」という疑問で、ハイスピードカメラを使って猫が着地する様子をとらえ、スローモーションで見ることにより明らかにしようというものです。
実は……
スタント猫に来てもらっています。
ジジです。
撮影はこのハイスピードカメラで行います。
撮影された映像のスローモーションがこちら。まずは猫の足をつかんで顔の高さまで持ち上げ、手を離します。
落下しつつ、猫が徐々に体勢を立て直していき……
腰のあたりまで落下した頃には、足が地面に向いています。
地面に近づく頃には、ほぼ完全に着地の体勢。
どん。
何事も無かったようにピューンとどこかへ。
猫は最初にどの方向が上なのか、目や耳のジャイロセンサーを使って把握します。しかし、猫が方向を把握する方法はわかっても、いかに体を回転する体勢にするのかについては、この段階では詳しくわかりません。
別の角度から見てみます。
猫はまず上半身をひねって……
続いて、下半身をひねっています。これで両足が地面を向きました。
そのまま着地の体勢に入り……
どーん。
「おもしろいことがわかりました、猫は落下する初期段階では体を回転させていないのです。落下する途中になって、やっと体を回転させはじめます。そして落下の最終段階ではその回転をなんとかして止めているのです。ニュートンの運動の第一法則(慣性の法則)によると、静止した物体は外力の作用が無い限り静止したままのはず。猫には外力が何も作用していないはずなのに、どうしてこうなるのでしょうか?全く意味がわかりません」
猫は尾を回転させることで体を回転させているように考えられますが、実はそうではありません。なぜなら、尾の無い猫もちゃんと着地できるからです。
それは、例えば無重力の状態では猫は尾を回転させてもうまく体を回転させられていないことからも分かります。つまり、尾の回転では説明できないのです。
実は尾では無く背中がポイント。猫は背中を曲げることで体を回転させていて、最初に体の半分だけを回転させるようにしているのです。
では、詳しく見てみましょう。まずは地面がどちらなのかを視覚的に、もしくは耳のジャイロセンサー機能を使って把握します。
上半身の慣性と、下半身の慣性にわけて見ていきます。最初は前足は縮めた状態、後ろ足は伸ばした状態を作り出します。
上半身の回転方向を正回転とすると、下半身は逆側の負回転方向に慣性が働くのですが、前足は縮めた状態のため慣性モーメントは小さく、逆に後ろ足は伸ばしていることによって慣性モーメントが大きくなっています。これによって、上半身を大きく回転させても、下半身の反対方向への回転は少なくなっています。
後ろ足を中心の軸に向かって整列。
ここで、前足を伸ばした状態とし、後ろ足を素早く回転。
後ろ足を体の中に折り込んだ状態にすると、今度は上半身の慣性モーメントは大きくなり、逆に下半身の慣性モーメントは小さくなります。このため、下半身を大きく回転させても、上半身の戻りは小さくなるのです。
これで体の回転は終わり、あとは着地に向けて前足を伸ばし、後ろ足と尾も伸ばします。
着地の準備が整いました。
そして、着地の瞬間に4本の足を使って衝撃を吸収します。
要するに体を曲げて慣性モーメントを変えることで回転を生じさせているというわけで、これを「猫ひねり」と呼ぶらしいです。恐るべし猫のチカラ。
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