秘密研究施設「Google X Lab」がゼロから人間の幼児レベルまでニューラルネットワークを発達させる技術を開発、画像検索の精度が格段に向上へ
By Thomas Hawk
Googleによって運営される秘密施設Google X Lab(これまでも自動運転車や装着者の目の前にデータをリアルタイムでストリーミングできるメガネ「Project Glass」を開発)が新しいニューラルネットワーク(人工神経回路網)を開発したのですが、これは人間が監督することなしに物を識別・分類することが可能で、さらに全くのゼロから人間の幼児程度まで人工視覚野を発達させることができるそうです。このシステムは全く白紙の状態から、何百万もの未分類のイメージを分析し、「これはネコ」「これは人の顔である」と分類してゆきます。
Google and Stanford create a digital brain that, like an infant, learns to identify a human face from scratch | ExtremeTech
Jeff Deanさん率いるGoogleのチームはスタンフォード大学のAndrew NgさんやQuoc Leさんと協力し、低解像度の人工視覚野を効率的に作りだしました。トータルで1万6000のプロセッサコアを含む1000のコンピューターを搭載したこのシステムは、YouTubeから取り込んだ200×200の画像1000万枚を分析します。そしてこのシステムソフトウェアは3日以上かけて何百というニューロンと、何千(あるいは何百万)ものシナプスから構成されるネットワークを作り出し、その結果、システムは色や線、角や丸みといった物の特徴を識別するようになり、それらの特徴から物を分類することが可能になるというわけです。
By Tricia Wang 王圣捷
興味深いのは、このシステムにおける特定の電子ニューロンが写真を見た時にまるで人間の脳のように活動することです。その動作はまるでMRIスキャンのようになっており、以下における左の写真では数多くの人物の顔がありますが、「人間の顔」とニューロンが情報を伝達するとちょうど右の写真のように認識されます。
これまで機械は通常、人間が管理することによって学習を行いました。つまり、操作する人間が初めに「これはネコである」といった見た目に関する情報をコンピューターに教えていたのであって、Googleとスタンフォード大学が作ったこのシステムは、ゼロから始まって、自分の分類能力を信じられない正確性とスピードをもって発達させることができる点が驚くべきポイントです。このシステムはまったくの白紙状態から周囲の状況を把握して学び、やがて人工視覚野は人間の幼児程度には発達します。
By Jason Hargrove
Andrew Ngさんは「これが私たちの求めるアルゴリズムで、このシステムをさらに大きくしていけたら理想的なのですが、私はこれがまだ絶対的に正しいアルゴリズムではないことを直観しています」と語りました。
しかし、しかし、例えそうであってもGoogleはさらに大きなスケールでこのシステムを利用するはずであり、The New York Timesによれば、Google X Labは現在検索チームへと移転しており、スケールアップしたこのシステムがGoogleの画像検索を改良すると予想されます。
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