鶏肉によってなめたけの底力をあげてきた「鶏なめたけ」試食レビュー
ご飯のおともとして活躍している「なめたけ」に斬新にも鶏もも肉を配合した商品があります。なめたけに梅やにんにくで一味工夫を加えたものはありますが、鶏肉が加えられているとはなかなか珍しいのではないでしょうか。そもそも「なめたけ」とはナメタケ(滑茸)というキノコの名ですが、エノキタケをみりん等で煮詰めた食品も「なめたけ」と呼びます。今回紹介するのは後者の「なめたけ」に鶏肉が加わったものということです。
なめたけといえばとろみのついたえのきたけの食感が持ち味ですが、鶏肉を加えることでどんな味わいになっているのか、いろいろななめたけと共に早速試してみました。
鶏なめたけ|峠の鶏小屋本店
http://www.tamagoyaki.jp/
瓶を正面から見たところ。160gで630円、原材料はえのき茸(国産)、鶏もも肉(北海道産)、しょう油、糖類(砂糖、ぶどう糖果糖液糖)、発酵調味料、香辛料、調味料(アミノ酸等)などとなっています。
一般的ななめたけの瓶は丸型のものが多いですが、こちらの商品は六角形をしているのが特徴。丸型と比べてこちらの方が形状としては持ちやすく感じます。
鶏は北海道産の知床どりを使用。植物性飼料を与えているため、臭みが少ないとのこと。
眺めていてもはじまらないので、早速開封。なめたけは開封時に甘ったるい調味料の香りがするのが特徴ですが、この商品は鶏の匂いを強く感じました。かと言ってそれは、臭みのある匂いではなく、焼き鳥の缶詰を開けたときの匂いに近いです。ということで香りの面では鶏らしさが感じられたので、味にも期待が持てます。
瓶から出してみました。具はえのきたけも鶏肉も小さく切ってあります。とろみはあるのですが、割とさらさらとした感じでスプーンの上を滑らかにすべっていきます。
早速パクリと食べたいところですが、まずは他のメーカーのなめたけから食べてみます。準備したのは「コマツなめ茸80%」「ナガノトマト特選なめ茸うす塩味」「生活良好信州なめ茸」「TOPVALUなめ茸」「セブン&アイ国産なめ茸」。
こちらは「コマツなめ茸80%」(オープン価格)。なお、近くのスーパーでは税込198円で入手。
一番オーソドックスな食べ方であるご飯に乗せて食べてみました。濃い色からも想像できますが、しょう油やみりんの強めの匂いで、例えるなら佃煮のような匂いです。なめたけには「固形分」という表現があり、内容量全体の何%が具の固形分かを表していますが、こちらは固形分が80%でほとんど水分が無くぎっしりとえのきたけが詰まっています。そのため、「これでもか」とえのきたけのシャキシャキとした食感が味わえます。味は調味料の味がきつく匂いの通り佃煮のような感じ。
「ナガノトマト特選なめ茸うす塩味」(税込298円)にもチャレンジです。
匂いはあまり強くありません、鼻を近付けると「ちょっとしょう油のような香りがするかな」という程度。こちらも固形分は80%で確かにえのきたけのぎっしり感はあるのですが、シャキシャキした食感は若干弱め。うす塩な分、甘みが前面に出てきてはいますが、全体的には割とあっさり目の味付けなので、食べやすいです。
今度は「生活良好信州なめ茸」(税込138円)。
近付くと濃い調味料の匂いが鼻孔をつきます。食欲を誘うというよりは、むしろ「食欲を減退させるのが目的では?」と思うほどに胸のむかつきを誘う匂いです。食べた感触は、化学調味料がなめたけのとろみに乗っかり、舌にべっとりとつく感じ。後味にもしつこく残り続けるので、単体で食べるのにはちょっときつくご飯で中和しながらなんとか食べられる味。なお、固形分は60%で上記の2品よりは若干水分が多いです。
「TOPVALUなめ茸」(税込98円)。
匂いは他の商品と比べると弱めです。えのきたけの食感はしっかりと感じられます。味は全体的に薄めですが、酸味が若干感じられるのでサラダに盛り付けるといいかも。こちらも固形分は60%です。
「セブン&アイ国産なめ茸」(税込98円)。
香りは薄めで、調味料の味ばかりが感じられ旨みやコクといったものは感じられません。調味料に頼り過ぎている印象を受けました。固形分は60%で水分が多くとろりとしています。
最後に「鶏なめたけ」をご飯にかけてみました。こうして見ると、他の5つよりも色は薄めです。気になる固形分は70%以上とのこと。比較に使用した5つのなめたけは調味料の味が濃く感じられるのですが、こちらの商品はダシの風味が感じられるため他の商品とは違った味わいです。鶏肉の風味も感じられて確かに味は調味料一辺倒の味ではなく深みが増しています。また鶏肉を小さくしてあるのはえのきたけの食感を保つためかも知れませんが、そうであるならばえのきたけの大きさをもう少し長めに切って欲しいかも。なお「刻みネギを乗せるのがおススメ」とのことなのでチャレンジしてみたところ、ネギのさっぱりした味わいが良いアクセントに感じられました。
一般的ななめたけは、なめたけの主役であるえのきたけ自体は味が薄く食感を与える程度で、味の核となっているのは調味料です。なので味はどうしても調味料の味が強調されてしまうわけなのですが、「鶏なめたけ」はそこに一石を投じ鶏の旨みによって味の主導権を調味料から奪還しようとした努力が見えます。結果として他のなめたけよりも調味料の味は薄くなってはいますが、1個630円という値段を考えるとちょっと手が出にくいかも。なんとかワンコインで収まらないものでしょうか……。
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