取材

藤子不二雄マンガの第1話を生原稿で読める贅沢過ぎる展示室


藤子・F・不二雄ミュージアムの2階では、藤子不二雄作品の第1話が、それぞれの原画で展示されていました。

川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム

2階の展示室の扉はどこでもドアのようなデザインです。


◆オバケのQ太郎

「オバケのQ太郎」の第一話は「Qちゃん誕生」。初出は1964年6号の週刊サンデーです。 ※藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐの共著


オバケのQ太郎の第一話は、大原正太が忍者ごっこをして遊んでいるところに、突然オバケのQ太郎が現れるところから始まります。Q太郎といえば「頭のてっぺんに毛が3本」ですが、当初はもうちょっと多かったようです。


ことごとく忍法を破られて劣勢の正太。


Q太郎はそんな正太を見かねて助けに回りますが、正太はQ太郎に助けられるのを快く思いません。


一度は正太のもとを離れるQ太郎ですが、正太の助けを呼ぶ声に応えます。


こうして二人は友達になった、というのが第一話の内容でした。


展示室には1/2サイズのQ太郎のキスマークが展示されています。


◆ドラえもん

ドラえもんの第一話は読んだことがある人も多いかも知れません。「未来の国からはるばると」は、初出が1970年1月号の「小学四年生」でした。


お正月、自室で寝転ぶのび太は、机の中から声がするのを聞きます。


ドラえもんが机の引き出しから登場。30分後にのび太が首をつり、40分後には火あぶりになるだろうと予言します。


言いたいことを言って、ドラえもんは部屋に置いてあったお餅を食べて帰ってしまいます。意外にも最初に食べた現代の食べ物はどら焼きではありませんでした。


続いてのび太をおじいさんと呼ぶ少年セワシが現れます。


彼らは未来からやってきたと言い、のび太が将来ジャイ子と結婚すると予言します。


その事実を受け止められず、のび太はドラえもんとセワシを追い返します。


しかしドラえもんの予言通り、首つりをするはめに。


ドラえもんたちを信じざるを得なくなったのび太は、彼らが持ってきたアルバムを見て絶望。


悲惨な未来を回避するために、ドラえもんがつきっきりで面倒を見てくれることに。


しかし、必ずしもドラえもんが万能ではないことを暗示しつつ、第一話は終了。


◆パーマン

パーマンの第一話は「パーマン誕生」。初出は「週刊少年サンデー」1967年2号でした。


主人公の須羽満夫は、遠い星からやってきたと語るバードマンと遭遇、間に合わせでパーマンになるよう促されます。


マスクやマントをつければ普段の6600倍の力が出せると知っても、満夫はあまり乗り気ではありません。


コピーロボットも第一話で登場します。


服を汚したので、ママに代わりに怒られてくるよう、コピーロボットに指示する満夫。


パーマンになって空を散歩します。すると、飛行機があわや墜落の事態に遭遇。


飛行機を担いで海に不時着させます。


パーマンとして正義のために生きることを決意します。しかし、正体がばれると動物にされてしまうため、周囲には自分がパーマンであるという事実を隠しておかなくてはなりません。


こうして満夫はパーマンとしての役割を担いつつ、その正体を隠して須羽満夫としての生活を続けることになります。


展示室にはパーマンバッヂ型のソファーが設置されていました。


◆てぶくろてっちゃん

てぶくろてっちゃんは、初出が「たのしい一年生」1960年5月号別冊付録という、極めて初期の作品です。


てっちゃんが着けたてぶくろで作ったものは、なんでも動き出すという設定。


この作品に関しては第一話ではありませんが、後のドラえもんなどのシリーズに通じる原型としてのアイデアを見ることができます。例えば紙で作った動物が動き出すというイメージ。


ドラえもんでも、「ロボットペーパー」という道具で、このイメージが活かされています。


おもちゃの兵隊に攻撃されるシーン。


これもドラえもんに活かされています。


並べて見ると、よく似たシチュエーションだということが分かります。


◆のび太の恐竜

「ドラえもん のび太の恐竜」は、「大長編ドラえもんシリーズ」の第一作で、この作品をもとに映画化が成されました。もともと短編作品でしたが、長編に改稿しての初出は「コロコロコミック」1980年1月号です。


タイムふろしきを使って首長竜の卵を孵化させたのび太が、孵化した首長竜のピー助を白亜紀の世界へ帰してやるというのが大筋の物語です。


タイムマシンの故障から、一行は白亜紀の世界を旅することになります。


映画は観客動員数320万人を記録し、当時の金額で15億6000万円の配給収入となりました。


当時のチケットとパンフレット。


藤子さんが参考にしたという恐竜の図鑑。


当時の絵コンテも展示されていました。


タケコプターの不調によって遅れるのび太を責めるジャイアンとスネ夫の掛け合い。


しずかが「そんなこと言うもんじゃないわ」と応じます。


しずかとドラえもんに助けられながら進むのび太。


そこにプテラノドンの影が迫ります。


これは当時の台本。


◆肉筆回覧誌「少太陽」

1950年、藤子さんが高校時代に安孫子素雄さんと手作りで刊行した回覧誌。まんがや物語、広告までが折り込まれていたとのこと。


◆未発表作「ベン・ハー」

1952年、18歳のとき、手塚治虫宅を訪問する際に持参したまんが。歴史小説のまんが化という野心的な作品です。


◆SF短編「みどりの守り神」

「みどりの守り神」は「月刊マンガ少年」の1976年9月号に掲載されたSF短編で、従来の藤子漫画より、やや上の年齢層をターゲットにした作品です。


ジャングルで遭難する男女。


しかし、そこは実はジャングルと化した東京だったというストーリー。


生物兵器として開発された細菌によって、人類が絶滅してしまったということを突き止めます。


このあとは、藤子・F・不二雄ミュージアムの開設に尽力した藤子プロや、原稿を散逸させることなく長年保管し、各種資料を提供した藤子・F・不二雄さんの妻である藤本正子さんらのコメントなどをお伝えします。

<続き>
細かい部分まで凝りに凝った藤子・F・不二雄ミュージアムの写真いろいろ

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in 取材,   マンガ, Posted by darkhorse_log

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