サイエンス

女性がデートで「だまされない」ために使う5つの戦略とは?


デートでは相手が経歴や意図を誇張したり自身に都合の良い形でごまかしたりする「性的な欺き」が起こり得ます。こうした欺きは相手の利益のために自分が損をする形になりやすいという意味で「搾取」として扱われることもあります。心理学系メディアのPsyPostは女性がデート相手の欺きを見抜く、あるいは相手に欺きを起こされにくくするために用いる行動が「5つの戦略」にまとまるとする研究を取り上げました。

Women’s Anti-Deception Tactics in Mating: A Preliminary Investigation | Evolutionary Psychological Science
https://link.springer.com/article/10.1007/s40806-025-00454-2

New study identifies five strategies women use to detect deception in dating | PsyPost
https://www.psypost.org/new-study-identifies-five-strategies-women-use-to-detect-deception-in-dating/


PsyPostはこの研究の背景として「妊娠や授乳といったコストを背負う可能性がある女性は欺きによって被る損失が大きくなり得る」と説明しています。さらに、デート相手による欺きが起きるなら欺きを見破る側にも対抗策が発達し、相手側も対抗策への対抗策を発達させるという軍拡競争のような構図が生まれる可能性があるとのこと。この研究を進めたイラン・シャムズ高等教育研究所のペイマン・サイヤド氏もPsyPostに対し「搾取と対抗策のせめぎ合いという枠組みが研究の核」だと述べています。

サイヤド氏らは、女性がデートで欺きを避けたり見破ったりする行動を整理するために2つの調査を実施しました。まず1つ目の調査として、アメリカ南東部の大規模公立大学に所属する女子学部生147人から「女性がデートでだまされないためにすること/避けること」などの質問を行い自由記述の回答を集めました。回答には「友人に確認する」といった内容もあれば「親密になるのを急がない」といった内容もありましたが、研究者と大学院生が回答を別々に分析して曖昧な内容や重複を整理した結果「43の行動」が抽出されました。


次に、2つ目の調査として同じ大学の別の女子学部生249人に対して、1つ目の調査で抽出した「43の行動」を提示して「自分ならどの程度その行動を取りそうか」を段階評価してもらいました。なお、研究者は個人差を見るために自己評価の魅力度・短期的関係への志向・愛着スタイル・神経症傾向も測定しています。これらの回答を因子分析した結果「43の行動」は大きく5つの領域に分かれたとのことで、この5領域をPsyPostは「5つの戦略」としています。

1つ目の戦略はIntegration(統合・身内の関与)です。これは「相手を家族に紹介する」「相手の家族に会う」など身内の目をチェック機構として取り込む戦略のこと。背景や意図を第三者が確認しやすくなるため、本人同士の会話だけでは見えにくい情報が出てくることもあります。


2つ目の戦略はReticence(慎重さ)です。これは相手との関係の進行を急がず親密さを前倒ししない戦略のこと。距離を保つことで時間をかけて相手の振る舞いを観察でき、熱中して赤信号を見落とすリスクを減らせる可能性があるそうです。

3つ目の戦略はSocial Media(ソーシャルメディア)です。これは相手や相手の友人のSNSを調べ、本人の発言とデジタル上の痕跡が一致しているかを見るという戦略。プロフィール・過去の投稿・交友関係など対面で知ることが難しい手がかりが集まります。


4つ目の戦略はReligion Matching(宗教的一致)です。これは相手と宗教観が一致しているか、信仰を実践しているかを確かめるという戦略。PsyPostは「宗教的な人は誠実さや忠実さに関する道徳規範に従うかもしれない」という経験則に基づく戦略だと説明しています。

5つ目の戦略はDistrust(不信)です。これは相手の話をうのみにせず質問して確かめるという戦略。PsyPostは「自分が答えを知っている質問をぶつけて相手の反応を見る」という例を挙げています。


論文によると、5つの戦略の中で「統合・身内の関与」が最も実行されやすく、「不信」が最も実行されにくかったとのこと。

個人差の分析では短期的関係に前向きな傾向が強い人ほど「統合・身内の関与」と「宗教的一致」を使いにくい傾向が示されました。PsyPostは、短期志向では家族が関与したり宗教のことを聞いたりと深く確認することが「不要な障害」だと見なされやすい可能性を挙げています。


また、親密になりすぎるのが苦手で距離を取りたくなる回避型愛着傾向が強い人ほど「慎重さ」を使う人が多かったとのこと。一方で、自己評価の魅力度はどの戦略を使うかの予測に結びつかず、神経症傾向もいずれの戦略とも有意な関連が見られなかったそうです。

PsyPostはこの調査の限界として「参加者が女子学部生に限られる点」「現代の西洋的環境で自由恋愛を前提にしている点」「実際の行動観察ではなく『やりそうか』という自己申告に基づく点」を挙げており、それぞれの戦略が実際にどの程度うそを見抜けるのかの効果検証は今後の課題だとしています。

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in サイエンス, Posted by log1b_ok

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