アリは追い越し厳禁&一定速度での移動で交通の流れをスムーズにしていることが明らかに
「アリの行列」という言葉があるように、アリは前のアリについていくように列をなして移動します。行列を作るアリたちがなぜぶつからず、間隔を空けず整然と移動できるのかについて、土木・環境工学の専門家が突き止めました。
ANTi-JAM solutions for smart roads: Ant-inspired traffic flow rules under CAVs environment - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590198225000107
Traffic jams? Study reveals ants' secrets to smooth traffic flow
https://phys.org/news/2025-01-traffic-reveals-ants-secrets-smooth.html
トレント大学のマルコ・ウォリアーズ氏らは、アリの行列が高速道路の車列と似たような列を作ることに目を付け、アリの行動にヒントを得た交通制御システムを使用することで交通量が多い場合でも渋滞のリスクを回避できるのではと推測。アリの行列をビデオで撮影して、アリたちがどのように移動しているのかを調査しました。
以下は、ウォリアーズ氏らが撮影したアリの行列です。
Traffic jams? Study reveals ants' secrets to smooth traffic flow - YouTube
ウォリアーズ氏らはアルゴリズムを利用した深層学習ベースのアプローチを行い、ニューラルネットワーク等を用いた方法で動画内のアリを検出、追跡、分類しました。この分析のおかげで、個々のアリの動きを追跡し、その軌跡、速度、流れ、密度をマッピングすることができました。
分析の結果、アリの行列は車列と違ってほとんど「詰まり」を起こさないことが判明。詰まりを起こさない主な理由は、「ほぼ一定の速度で動くこと」、「複数のルートを使うこと」および「追い越しを行わないこと」だとウォリアーズ氏らは考察しました。
特に「追い越しをしない」という点は顕著に見られ、1匹のアリが経路を外れて後続のアリに追い抜かれることはあっても、並んで歩いているアリが無理やり前のアリを追い越すようなことは決してなかったといいます。
また、アリたちは複数の「小隊」を作り、その隊列内で歩速を合わせていることも確認されました。一方、単独行動するアリは、先行する小隊が発する強烈なフェロモンを感知すると隊列に追いつこうとして速く移動しました。
ウォリアーズ氏らはアリの行動を自動車にも応用する案を示し、「ほかの自動車や道路と通信してスマートな運転を行う『協調型自動運転車』に、アリの行動が当てはめられると考察します。アリがフェロモンをやりとりするように自動車間で情報を共有し、各車両の速度を一定に保ち、車両の速度を高速道路で許容される最高速度に等しい値に設定し、平均車間距離を小さくすることで人為的に隊列を形成することができます」と述べました。
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in サイエンス, 生き物, Posted by log1p_kr
You can read the machine translated English article It is clear that ants are prohibited fro….