取材

道路を横断できないインドの凄まじい交通事情を生み出す車両や動物たち


道路の真ん中に突っ立つ牛を縫うようにして避ける交通車両。ヒンドゥー教の聖なる存在として崇められる牛は、我が物顔でインドの街を徘徊しています。道を歩けば、けたたましいクラクションに、鼻をつくような排気ガス。牛もさることながら、馬にリキシャ、豚にトラクターと、インドの交通事情はカオスでした。

こんにちは、インド滞在も1ヶ月を過ぎた自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。12億人を超える人々が暮らすインドの道路は、いつもムンムンとした熱気に包まれています。ぶつけないように、ぶつけられないように、神経を尖らせる毎日。でも、ふと思いました。道路では、いったい何が動いているのでしょう。

◆インドの交通量
4月13日 オーライヤ(Auraiya)


4月15日 ファテープル(Fatehpur)


4月17日 バラナシ(Varanasi)


交通量は文字通り「絶え間ない」レベルで、道路の反対側にある店に渡るのも躊躇します。信号機などという文明の利器は見当たりません。代わりに、警察官が交通整理をやっています。一見すると無秩序なのですが、インドの滞在が長くなるに連れ「人(牛)が横断していたら、止まらないが、スピードは緩める」「交差点を曲がるときには、ハンドサインを出す」といった一定のルールが見えてきます。ただ、そのルールが安全かといえば別問題。ぶつかったり、怒鳴り合ったりしているので、くれぐれもインドを歩く際にはご注意を。

◆市街の道路では
大都市を結ぶ高速道路に限れば、町を迂回するバイパスが機能していて、中心には大型車が入って来られません。だからといって油断は禁物。街の中では、悠々と歩く牛に立ち止まり、バイクのクラクションに急かされ、安宿を探して右往左往しました。そんな、市街の道路で見かけた車両はというと……。

まず、自家用車を持てる層は限られているので、一般の人たちの足となるのがバイク。2人乗り、3人乗りは当たり前。お父さん、お母さん、子ども2人と一家4人が1台のバイクに乗っているのも、インドの日常だったりします。


オートリキシャやトゥクトゥクと呼ばれている三輪タクシー。小型ならタクシーとして、中型ならミニバスとして、荷台をつけると貨物車として、インド人の生活には欠かせない模様。たまに見かける電動オートリキシャは、エンジンの音なく、静かにスーッと走っていきます。


インドを走る自家用車は、やけに真新しい車両が多くて、周囲の景色とマッチしてない気も。スズキ製の小型車、タタ製の普通車、マヒンドラ製の大型四駆が人気です。


路上で商売するための屋台も、道路の上を動いています。かなりスローなペースなので、隙をみては追い抜かないといけない相手。


たくさんの子どもたちを詰め込んでいたミニバス。


トラクターも、市街を駆け抜けています。農業機械だけではなく、荷台を付けて輸送車両としての役目も果たしていました。


庶民の足として自転車も活躍。日本のママチャリを頑丈にしたようなシティサイクルが定番です。


サイクルリキシャと呼ばれる人力タクシー。お客さんを乗せて、えっちらおっちらと汗を流していました。


大量の敷布団が積載された自転車。人だけでなく、荷物も運びます。


チリンチリンとベルを鳴らしてアイスクリームを売る移動販売の自転車もあります。


◆路上の動物たち
インドに来る前から、街を歩く牛のイメージはあったのですが、それ以外の動物たちが歩き回ってるのは予想外でした。人間と家畜の生活圏が混在。そもそも、牛が街で暮らしているのですから、細かいことは気にしないかもしれません。次のような動物たちが、インドの道路上を賑わしてくれます。

ヒンドゥー教の聖なる存在として、大切に扱われる牛さん。インド人の生活に溶け込んでいます。


重い荷物を運ぶ牛車としての役割も。


牛さんより、更に奔放に動きまわる豚さんたち。一直線に天を衝くたてがみが、ワイルドさを引き立てていました。


野良犬も多いのですが、インド人相手に疲れているのか、元気がない様子。南米のように追いかけられることがほとんどなくて、助かっています。


犬かと思えば、山羊でした。飄々とした姿で、突っ立っています。


気弱そうな顔をして、路上に立っているロバ。


パッパカ、パッパカ、心地良いリズムを刻んで、街を駆け抜けていく馬車。


そして、数回しか見てないのですが、インド西部ではラクダが街を歩いていました。人の背丈を優に超える巨体ですから、近くを通るとドキッとさせられます。


写真は撮ってないのですが、鶏や鴨も道路の脇で遊んでいたりします。ただ、これは他の国に比べると少ないという印象。そして、犬は山ほど寝そべっているというのに、猫の姿は全然見かけませんでした。不思議で仕方がないのですが、何か理由があったりするのでしょうか。

◆郊外の道路では
中心街と幹線道路では走っている車も変わってきます。インドの人と物を運ぶ大型車の数々。道路が狭いときは、常にヒヤヒヤしながら、ミラーで後方を確認していました。対向車が来ていても、そこのけそこのけと爆音のクラクションを鳴らして、猛スピードで追い抜いてきます。バイパスのない幹線道路だと、これらの大型車も市街に突入するので、かなり高い確率で交通渋滞に巻き込まれました。

町と町を繋いでいく、年季の入った古い大型バス。


大型トラックですが、運転席の頭上にも、収納スペースが拡張されていました。


大型の農業車両。追い抜かれても、道路が穴だらけになると一気にスローダウンするので追いつくことができる、なんだかツンデレのような相手。


インド式のダンプカーで土砂や石を積んでいますが、荷台を傾けることはなく、積み下ろしは人力でやっていました。貨物トラックとしても、いろんな荷物を運んでいます。


大型トラックの荷台に載せられた、オーバーサイズの荷物。


◆道路でみかけた日常
3歳ぐらいの男の子が1人で大型バイクに跨りハンドルを握っていました。その理由は、お父さんが近くで買物をしているから。満員になったオートリキシャでは、男は車外にしがみつかないといけません。お父さんが前から引っ張り、お母さんが後ろから押す大八車の荷物の上に、ちょこんと座った2人の子どもに、思わずにんまり。毎日の生活に欠かせないからこそ、道路で繰り広げられる日常は、ハッとさせられることが多いのです。

停止中にもかかわらず、先を急いで隙間に流れ込むバイクの大群。


大型トラックの積載方法も斬新です。


スナック菓子が溢れだした軽トラックの荷台。


交差点を曲がるときに見かけるハンドサイン。


幹線道路を歩いていた牛の大群。


インド定番のサトウキビジュースを売る屋台は、なんと自走していました。サトウキビを絞るエンジンに、ゴムバンドをかけると走り出します。


大型バス同士が狭い道をすれ違い。どちらも譲ることなく、運転手同士で怒鳴り合っていました。


自転車も大事な運送手段。対向車線から走ってくる重い荷物をつけた自転車に、もしかしてチャリダーと期待しますが、普通のインド人が駆け抜けていきます。


車が通り過ぎるのを大人しく待つ牛。


ぶつかって壊れてしまうのか、バイクのミラーは畳んであります。もしくは、ミラーは存在しない。ミラーの代わりに、クラクションを鳴らして、注意し合っています。


たくさんのサイクルリキシャが行き交う交差点。


◆インドの交通事情をムービーで見てみる
まずは、小さな町の交差点(ロータリー)の様子を定点撮影してみました。

インドの小さな町の交差点を次々と駆け抜ける交通車両 - YouTube


行き交う車両を撮影したのがこちらのムービー。とにかく車、自転車、歩行者などが絶え間なく行き交うので、先ほど書いた「横断を躊躇する」というのがどういうことなのかがわかってもらえると思います。

インドの路上を絶え間なく交通車両が行き交う - YouTube


このような感じで、インドの路上は毎日賑わっています。ありとあらゆるスピードがひとつの道路を使用するので、どうしても混雑しがち。アフリカだと車両が少なく、南米なら乗用車が多いので、インドの「人」「車」「牛」が絡みあう交通事情は、世界で最もカオスな気がしました。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   乗り物,   動画, Posted by logc_nt

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