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スイス連邦でのGoogleストリートビューをめぐる裁判でGoogleが敗訴、プライバシー保護強化を命じられる


2011年3月にGoogleストリートビューの撮影車が無線LAN経由で個人情報を収集していたことに対し、フランス当局が10万ユーロ(約1150万円)の罰金を科したのも記憶に新しいところですが、今度はスイス連邦で行われた、Googleストリートビューに関する裁判でGoogle側が敗訴となりました。

「個人情報保護の観点から問題がある」と原告側の主張のほとんどが認められた判決が下され、Googleはプライバシーの保護を強化するために、手作業でのぼかし加工などの対応をするよう命じられました。また、病院をはじめとしたプライバシーの保護が特に必要となる施設周辺については、通常以上の処理が求められています。

Googleに下された判決の内容は以下から。ストリートビューの個人情報の保護を求める裁判で、Googleが敗訴。- swissinfo



Swiss Court Says Google's Street View Breaks Privacy Rules - PCWorld Business Center



スイス連邦行政裁判所は4月4日、連邦情報保護・透明性維持担当課のハンスペーター・テュール氏が要求していた個人情報保護対策の大部分を認めました。

テュール氏は2009年9月、Googleに対してストリートビューにおけるプライベートの保護を改善するよう要求したのですが、Googleが提案を実現する段になってその大半を拒否したため、ベルンにある連邦行政裁判所に提訴するに至ったとのこと。

裁判所はGoogleに対し、テュール氏の要求のほぼすべてを満たすよう命じる判決を下し、このためGoogleは人の顔や車両のナンバーを完全に認識できないようにするための手作業修正を行なう義務を負うこととなりました。

現在も自動処理で人の顔や車のナンバープレートにぼかしを入れる処理を行っていますが、情報保護・透明性維持担当課によると、自動的にぼかしが入っている顔は全体の約98%だということ。それでは対応が不十分な部分について、手作業でぼかしが入れられることになりそうです。また、市民が特定の場所にぼかしを入れるようGoogleに直接要求することも可能だということです。


特に問題となったのは、ドメスティックバイオレンスの被害者の女性が避難する「女性の家(Frauenhaus)」や学校、裁判所、社会福祉当局、病院など、デリケートな事情を伴う施設の周辺映像。これらの施設に関係する写真はプライバシーが完全に守られねばならず、顔だけではなく肌の色や服装など個人の特徴も取り除かれなければならないと訴えられていました。

さらに、録画計画やネット上での画像公開については、これまで行われていたGoogleマップのスタートサイトでの発表に加え、地元の新聞紙上での告知も必要となるということ。また、普段「普通の通行人」が覗くことができない中庭や前庭も映してはならないとの指示が加えられました。

今回の判決によると、誰もが自分が写った写真に対する権利を所有しているため、根本的に本人の承認なしに写真に撮られることがあってはならないとのことで、ストリートビューなどのように人物の撮影が目的でなく、風景の一部として写り込む場合にも適用されるといいます。

一方で、Googleのグローバル情報保護担当ペーター・フライシャー氏は「スタート以来、スイス人の4人に1人がストリートビューをすでに利用しています。何百万もの人にとって非常に有用なサービスであるはずなのに、今回の判決が下って非常に落胆しています」とコメントしています。この件に関しては、Googleがローザンヌにある連邦最高裁判所に上訴する可能性もあるということです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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