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菅直人首相が東京都の青少年健全育成条例改正案に対し公式ブログで「日本のアニメを世界に発信することも重要」


第94代内閣総理大臣である菅直人首相が自らの公式ブログ「菅総理官邸ブログ(KAN-FULL BLOG)にて、東京都の青少年健全育成条例改正案とそれに抗議して東京国際アニメフェア不参加を表明する出版社が相次いでいる件に対して、「日本のアニメを世界に発信することも重要」と書いています。

詳細は以下から。
アニメフェアへの影響懸念 性描写規制で首相 - 47NEWS(よんななニュース)

公式ブログの該当エントリーは以下。

菅総理官邸ブログ(KAN-FULL BLOG): 先を見すえて


今回の東京都の青少年健全育成条例改正案と東京国際アニメフェアについての箇所は以下のようになっています。

もう1つ、ジャパン・ブランドに関わる話。今、青少年健全育成に関連して『東京国際アニメフェア』の開催を心配する声が上がっている。青少年育成は重要な課題。同時に、日本のアニメを世界に発信することも重要。『国際アニメフェア』が東京で開催できない事態にならないよう、関係者で努力して欲しい。

なお、集英社は東京国際アニメフェアについて、以下のように表明しています。

時事ドットコム:自社漫画のアニメ化作品も出展拒否=都の漫画規制に抗議-集英社

 集英社の鳥嶋和彦専務は13日、都内で開かれた漫画新人賞授賞式で、来年3月の東京国際アニメフェアへの参加を拒否するだけでなく、同社刊行の漫画を原作とするアニメ作品の出展も認めない方針を表明した。過激な性描写のある漫画やアニメを販売規制する東京都青少年健全育成条例改正への抗議の一環。
 同社刊行の漫画が原作の「ナルト」「ワンピース」などのアニメは海外でも人気が高い。
 同専務は新人漫画家らに「ぜひ石原慎太郎(都知事)をぶっ飛ばすような漫画を」と訴えた。茨木政彦同社第3編集部長も「萎縮しないで好きなものを描いてほしい。面白ければジャンプは全部載せる」と呼び掛けた。

このまま行くと、次の東京国際アニメフェアは閑古鳥が鳴き、東京都自体が各出版社などからボイコットされる日もそう遠くなさそうです。

ちなみに東京都の石原慎太郎都知事は東京国際アニメフェアに角川などが不参加を決めた件について「勝手に自分で決めれば?条例に関係あるか分からない。ご自由に」と発言、さらに「テレビなんかでも同性愛者の連中が出てきて平気でやるでしょ。日本は野放図になり過ぎている」「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」「それをことさら売り物にし、ショーアップして、テレビのどうのこうのにするってのは、外国じゃ例がないね」という感じで、差別主義丸出しの発言を次々と行っています。

これらの発言については、こういう意見も出ています。


石原慎太郎の目指すもの「嫌悪の狙撃者」 - 深町秋生のベテラン日記

まず石原慎太郎都知事の書いた小説、「嫌悪の狙撃者」の後書きで、当時既に政治家であった立場でありながら以下のように書いています。

「嫌悪」こそが今日の人間が生きるための情念である。「嫌悪」だけが、自らを正しく見出し、己の生を生きるための情熱を与え得る唯一の術だ。「嫌悪」の遂行こそが現代における真の行為なのだ。それが遂行される時にのみ、真実の破壊があり、革命があり、創造があり得る。「嫌悪」に発する、精神的に凶悪な思考だけが真に知的なものであり得る、等々、私は私なりにその主題を発展させていったのだが。

そしてこれらを引き合いに出し、以下のような指摘を行っています。

ふつう人間、歳を取っていけばモリシゲ的に丸くなるものだし、いい人ぶりたくもなるものだが、都知事に関してはブレがないように思える。尻を撃ち抜かれた酔っ払いのように、現在も大衆を変わらず嫌悪し、侮蔑し、醜悪でおぞましいものだと考えている。本人だって何度も何度も「お前らはとことんバカで無価値で、虫けらみたいに殺してもいいとさえ思ってるんでございますよ」と懇切丁寧に表明しているにもかかわらず、それでも議員や知事職につかせて、権力を与えるのだから、それを選ぶほうもどうかしているという話ではある。都民というのは度し難いアホ……とまでは思わない。べつに山形で出馬していても、ふつうに当選していただろうから。

「NOといえる人」「裕ちゃんの兄」「文壇の重鎮」と、ぼんやり支持する理由はあるのだろうけれど、そうして「慎太郎知事がんばって」と応援している人間に対しても「け、くだらねえ。死ね、カス」というのが、彼の変わらぬ信念なのだと思う。暴言を吐いて新聞記事になってもさっぱり懲りないところを見ると。もしかすると「こうまでお前らをディスってるのに、それでも選ぶお前らって救いがたいバカだね」とさえ考えてるのかもしれない。やっぱりおれの考えは正しかったのだと。

ひょっとすると都知事の考えがいまいち世に伝わっていないから、彼はいつまでも大物政治家で、都政を好き放題にやっていられるのかな、と考えた時期もある。なんたって彼の文章ときたら長ったらしくて読みづらいし、文学なんてたいして読まれはしないものだし。メディアはなにをしている、と怒りに駆られたものだった。彼の実像をちゃんと伝えるべきだろうと。

しかし最近はそうでもなくて、彼のパンク宣言は充分に、都民や国民なりにきちんと伝わっていて、ちゃんと理解されたうえで選ばれているんじゃないかと思うときがある。寛容や隣人愛やリスペクトよりも、嫌悪と拒否と侮蔑の王国にしたいと、積極的な意志でもって都民(というか国民)は、彼の政治に加担しているのではないかと思う。あの渋谷でライフルを無差別にぶっ放した少年のように。

もはやそれほどまでに、閉塞や苛立ちによって病的に侵食されているというか。そんな時代や空気が、都知事を都知事たらしめているような気がする。改めて読み返して、そんなことを思った。

なお、過剰な行きすぎた規制が何を滅ぼすのかということについては具体的事例として台湾の事例がわかりやすいです。

Togetter - 「都条例についで、台湾の表現規制歴史を書いてみた」

1960年頃、台湾の漫画界が輝く時代があった。人気漫画は実撮劇場作品になれるぐらいの、良い時代、らしい。

が、1966年に台湾政府が「編印連環圖畫輔導?法」、人呼んで「漫畫審査制度」を可決しました。

曰く、国家政策と法律を反してるもの、倫理道徳を破壊するもの、少年児童の心身健康を妨げるもの、習俗を妨げるもの、迷信を宣伝するもの、国家社会に他の影響を与えるもの。これらは漫画のイラストと文字に存在してはいけない。

犬は喋らない。ロボットの能力は制限されるべき、自由意識と言葉を持つべきではない。武器は現存のそれを超えてはならない、核やレーザー、ガスなど強力すぎる武器を使っていけない。etc…

一度輝いた台湾漫画界は、この制度に縛られて、やがて消滅しました。

それから十数年、1980年頃、日本の漫画が海賊版のかたちで輸入されて、詳しい原因はわからないですが、何故が台湾漫画ほどきびしい審査を受けてなかった。

それからの数年間、日本の漫画が子供の間で大ブーム。ドラえもん、ドラゴンボール、シティハンター、電影少女、らんま、ダイの大冒険……などなど。

そのブームの中に、台湾人オリジナルの漫画がなかった。

1987年、審査制度はようやく廃止されたが、焼け野原同然の台湾漫画界は一からやり直すしかなかった。

1992年、著作権法修正條文の実行により、海賊版漫画が姿を消し、代わりに日本からライセンスをとって、正規ルートから翻訳された日本漫画が現れました。

この正規日本漫画の流れに乗って、台湾漫画も歩き出して、各漫画週刊にて連載し始めました。一時それなりに盛り上がりました。

が、台湾漫画が何年も経たない内に数が減っていき、生き残ったのは日本の漫画だけになりました。

そしてさらに十数年が過ぎ、漫画アニメといえば日本産、という現状になりました。

滅んでからでは何もかも遅すぎる、ということです。

なお、同じ知事でも「マチ★アソビ」で積極的にアニメのイベントをサポートしている徳島県知事だとこんな感じです。

好きなマンガは「サーキットの狼」「リングにかけろ」という徳島県知事が初音ミクとツーショット撮影

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in メモ,   マンガ,   アニメ, Posted by darkhorse

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