全身がモザイク処理された意味深な写真アート「Off」「Off II」
風景写真に通りすがりの人が写り込んでしまった場合にモザイク処理をかけることもありますが、あえて全身をモザイク処理して、まるで人間だけが風景から浮き上がっているかのように見せている写真が紹介されていました。
「Off」「Off II」という2つの作品はアーティストのJohan Rosenmunthe氏が作り出したもので、人物以外の部分は極力写真加工をせず、アナログとデジタルの差異を明確にする手法を取っています。
詳細は以下から。Home : Johan Rosenmunthe
こちらは2009年に公開された「Off」。人物部分はモザイク処理がされていますが、周りの景色は極力加工を省いていて、霧の立ちこめる中に立ち尽くす人間の孤独を表しているのだとか。
警官のような服装の人物が荒野に立ちつくしています。
広い道路のど真ん中に、老夫婦とおぼしき人物たちが。周囲の状況とあわせて見ていると不安な気分になってきます。
霧立ちこめる森の中で仁王立ち。
太陽を仰ぎ見ているのでしょうか。
草原の真ん中に、まるで舞台衣装か何かのように鮮やかないでたちの女性が。モザイクと霧の効果で輪郭がぼやけています。
よく見てみると、こちらをカメラで撮ろうとしているようにも見えてきます。
これまでのものよりモザイクが荒くなり、何となく昔のゲームのドット絵のような感じに。
洋服の黒と霧の白のコントラストが強く、人物像が浮かび上がって見えます。
唐突に顔のアップ。モザイクの粒子も粗く、一番人間が写っているという感覚が得られるような気もします。
ここからは今年2010年に発表された「Off II」。作者とインターネットだけで繋がっている友人たちの写真の人物部分だけをモザイク処理したということ。人物にモザイクをかけたことで、インターネット上にいる誰かというあいまいな存在が表現されています。
おそらくプロフィール写真か何かに使われているようなアップの写真も、モザイクをかけてしまうと幾何学模様に見えます。
石垣を前に腕組みをしているようです。
背の高いコンクリート壁を前に立ち尽くすモザイクの人影は、ゲームの1場面に見えてしまいます。
胸のあたりの白いものは社員証か何かでしょうか。見えないことでかえって色々と勘ぐってしまいます。
木材の散らばる林の中での1枚。
民族衣装らしきものに身を包んだ人々。一番左が子どものようです。
パネルのようなものを持って立っているため、よりエッジがある感じに。後ろに伸びる影にもモザイクがかかっています。
家族写真にしては遠景の写真ですが、バックもフレーム内に収めるためなのでしょうか。
妙に力の入ったポーズ。
子どもが岩によじのぼっています。
電車のドアからのぞく女性らしき人影。
モザイクの効果なのか、後ろ姿に何らかの意味があるのではないかと考えてしまいます。
子どもと紳士、そして明らかに立ち入り禁止区域内という不思議な取り合わせ。
どうして四つんばいになっているのかが気になって仕方ありません。
「Off」「Off II」ともに、モザイク処理されている人物像はディスプレイから離れれば離れるほど鮮明に見えるようになるため、人間同士の距離感を表しているようで何だか意味深です。
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