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甘い物は心を広くする?砂糖と人間関係の意外な関連性


砂糖をたっぷり使ったスイーツはダイエットの大敵で虫歯の原因……などと悪者扱いされることもままありますが、砂糖が精神面に与えるポジティブな効果が明らかになりました。

砂糖を摂取することによって、他人に当たり散らしたり、かっとなって怒鳴ったりといった衝動的な行動が抑えられるとのこと。糖尿病にかかった人は怒りの衝動に駆られやすい傾向にあるということも同時に分かったということで、砂糖には人の心を穏やかにする効果があると言えそうです。


実験の詳細は以下から。Feeling angry? Why a spoonful of sugar sweetens your mood | Mail Online

この記事によると、ある人の血中グルコース(脳にエネルギーを供給する、血流中に含まれる単糖)濃度が高い場合、攻撃的な気分を抑えられることが研究者たちによって発見されたそうです。

研究を手がけたオハイオ州立大学のBrad Bushman教授は「攻撃的な衝動を自制し、回避するためには多くのエネルギーが必要となりますが、例えば甘いレモネードを飲んで血中のグルコース濃度を上げると、脳にエネルギーが提供されるため、自制することができるようになります」と述べた上で、「この発見は単に医学的好奇心を満たす発見としての意味だけでなく、それ以上の価値を持つものだ」としています。

公表された2つの論文によると、Bushman教授とその共同研究者はいくつかの実験を行う中で、体内のグルコースの新陳代謝や消化が困難な人であればあるほど、周囲に対して寛容ではなく、攻撃的であるということが分かったということです。

研究の一環として、62人の大学生にグルコースの値の不安定さを解消するために3時間断食させた上で、対戦相手のいるコンピューターを用いたテストで、どれだけ反応時間がかかるのかの測定が行われました。参加者のうち半分には砂糖の入ったレモネード、そしてもう半分は糖分の無い人工甘味料を使ったレモネードが与えられました。


グルコースが参加者の体内に吸収され、血中グルコース濃度が上がるまで8分待った後、参加者には、「目の前にいない対戦相手と自分のどちらがより早くボタンを押せるか」という内容で25回対戦し、反応が遅かった人には装着しているヘッドホンから大音量のホワイトノイズが流されるというルールが伝えられました。

対決の初めに、参加者は相手が負けた場合にヘッドホンから流されるノイズのボリュームを60デシベルから105デシベル(火災報知器と同レベル)まで設定することができると伝えられましたが、実は参加者は必ず25回の対戦のうち12回勝つように設定されていて、どちらが勝つかはランダムで決められていました。

対戦相手への攻撃性は「対戦前に選択したノイズの音量」によって測定され、砂糖が入ったレモネードを飲んだ参加者の音量は平均4.8、人工甘味料入りのレモネードを飲んだグループは平均6.06の音量を選択したとのこと。つまり砂糖入りのレモネードを飲んでグルコースを摂取した参加者は、摂取していない参加者よりも攻撃的に振る舞わなかったという結果が出ています。

Bushman教授は「私が知っている限りでは、血中グルコース濃度を上げることで実生活における攻撃的な振る舞いを抑えられる可能性を示した最初の研究です」としています。しかしながら、肥満など別の問題が浮上してしまう可能性もあるため、砂糖を摂取することがいらだちを抑えるための万能薬と考えられるべきではないかもしれません。

しかしこの結果は、ついカッとなって周囲に当たってしまうような人には、自制心を働かせることで、自らの攻撃的な衝動を無視することができるため、精神力を押し上げる方法として有効なのではないかと考えられています。

また、このような調査結果は雑誌「Personality and Individual Differences」で最近公表された、Bushman教授とケンタッキー大学の教授による異なる一連の研究でも確証されており、彼らは参加者にタイプ2の糖尿病の症状の数とその強さを測定するのによく用いられているチェックリストを埋めるよう指示したそうです。

チェック項目には「足の感覚がなくなる」「夜間に息切れを起こす」「全身に疲労を感じる」といった症状があるかどうかという問いが含まれていますが、別個に行われた3つの研究すべてを見てみると、平均より高いレベルで糖尿病の徴候を持った人々が他人の違反を許さず、厳しい対応をしたということです。

ここ最近、主に糖尿病によって、グルコースをうまく新陳代謝できない人々の数が急速に上昇していますが、Bushman教授は「糖尿病は単に患者自身にだけ有害な病気ではないかもしれません。患者をとりまく人間関係、しいては社会に悪影響をおよぼす可能性があります」と懸念しています。

また、彼は「グルコースが正常に新陳代謝できれば、自制心を持つことができるので、いさかいのない平和な社会に一歩近づくかもしれません」とも語っていることから、糖尿病が精神面に与える影響が明らかになることで、糖尿病患者の治療に対して新たな切り口からのアプローチにつながることも期待されそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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