需要低下にあえぐタバコ農家に活路、殺虫剤としてのタバコの有用性が注目される
健康への配慮や社会的な嫌煙ムードを受けて世界的にタバコの需要が減るなか、打撃を受けるタバコ農家を救うため、科学者たちはタバコの新たな用途を模索しています。
タバコには、小規模ながら数百年前から天然の除虫剤として園芸家などに用いられてきた歴史がありますが、近い将来工業レベルでタバコを原料とした農薬が製造されるようになるかもしれません。カナダの化学者たちによる研究で、殺虫効果のある成分の効率的な抽出法が判明し、タバコ由来の農薬に現在使用されている化学農薬の代替として十分な除虫効果があると示唆する実験結果も得られたそうです。
詳細は以下から。Tobacco and its evil cousin nicotine are good as a pesticide
タバコを水につけた自家製の殺虫剤は、数世紀にわたり園芸家に用いられてきた歴史があります。タバコを原料とした農薬産業は、タバコ農家の新たな収入源となるほか、現在使われている化学農薬を置き換える、環境に優しい代替品を提供することもできます。
ウェスタンオンタリオ大学工学部化学工学科のCedric Briens教授らは、タバコの葉から農薬を製造する方法を研究し、「バイオオイル」と呼ばれる殺虫効果のある油を得るには、真空熱分解で温度はセ氏482度ほど、蒸気の滞留時間は5秒程度が最も効率がよいということを発見しました。
この方法で得られたバイオオイルを、急速に既存の農薬への耐性をつけ北米でのジャガイモ生産に多大な被害をあげているコロラドハムシなどを含むさまざまな害虫や、11種のカビ、4種のバクテリアなどに対し試したところ、実験の対象となったすべての昆虫に有効な殺虫効果が認められたほか、バクテリア2種とカビ1種に対しても、増殖を止める効果が確認されたそうです。オイルからニコチンを除去しても殺虫効果はあったとのこと。
すべての微生物に有効なわけではないが数種には効くというこのオイルの性質は、既存の農薬よりも選択的な微生物除去を可能とする利点となるかもしれないとも示唆されています。
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