取材

「UQ WiMAX」の現行サービスはイー・モバイルの42Mbpsサービスよりも高速であることが明らかに


下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsの高速通信サービス「UQ WiMAX」を展開するUQコミュニケーションズが先日、2012年ごろの導入を予定している下り最大330Mbpsの次世代通信サービス「WiMAX 2」についての説明会を行いました。

説明会ではUQ WiMAXの現状や将来の展望などの解説が行われましたが、その中で同社が提供している現行の「下り最大40Mbps」のサービスはイー・モバイルが10月に開始する予定である「下り最大42Mbps」のサービスよりも高速であることを明らかにしたほか、エリア整備が順調に進んでいることや、当面帯域制限を行わないつもりであることについて言及しました。

数字の面ではイー・モバイルの方が有利に見えますが、はたしてどういうカラクリがあるのでしょうか。詳細は以下から。
先日報道関係者向けに行われた「UQコミュニケーションサロン」。新製品発表会などではなく、技術に関するレクチャーなどを目的としたイベントです。


第1部ではUQコミュニケーションズ 代表取締役社長 野坂章雄氏がプレゼンテーションを行いました。


現在のUQ WiMAXの加入者状況。2010年9月末で33万ユーザーになる見通し。


加入者が利用しているWiMAX機器の比率。モバイルWiMAXルーター「WiMAX Speed Wi-Fi」やWiMAXパソコンの売れ行きが良く、今後主流になる見通しです。


基地局数は順調に増加。2010年9月末には1万1000局に達する見込みで、2011年3月までに1万5000局の開局を目指しています。


iPadやiPod touchなどの無線LAN搭載製品を利用するには「WiMAX Speed Wi-Fi」のスピードが大いに役立つとのこと。


冬商戦に向けて「WiMAX Speed Wi-Fi」のバリエーションは増える予定です。


WiMAX内蔵パソコンについては、10月1日から最大2ヶ月間WiMAXサービスを無料で利用できる(「UQ Flat」契約時)上に登録手数料も無料になる「WiMAX PC バリューセット」が提供開始されます。


2段階制料金プラン「UQ Step」は最低料金が12ヶ月間0円となり、上限額も4600円に。


9月1日から展開されている「WORLD WiMAX」は、2011年3月までアメリカで無料で通信できるようになるというもの。


イー・モバイルが10月から開始することを告知している「DC-HSDPA」方式を使った下り最大42Mbpsについても言及。UQ WiMAXの現行サービス(下り最大40Mbps)よりも高速に見えますが……?


実はそもそも速度比較の前提条件が異なるとのこと。UQ WiMAXはエラー訂正を施した上での通信速度で、イー・モバイルを含めた携帯電話各社が表記している通信速度はエラー訂正を施していない状態での速度だそうです。


もし両方を「エラー訂正無し」の状態で比較した場合、UQ WiMAXの通信速度は48Mbpsとなり、イー・モバイルのサービスよりも高速であるということに。ちなみにモバイルデータ通信においてエラーが発生しないということは無いとされており、エラー訂正を加味した実効速度はUQ WiMAXの方が有利となります。


続いては帯域制限の例をピックアップ。各社が300万パケット(約366MB)以上の通信を行ったユーザーに対して帯域制限を導入していますが、UQ WiMAXは当面帯域制限を実施しません。


そして最新規格「IEEE802.16m」によって時速350km以上の環境で下り最大330Mbpsを実現する「WiMAX 2」のデモが世界で初めて「CEATEC JAPAN 2010」のUQコミュニケーションズブースで実施されることを告知しています。


第2部ではUQコミュニケーションズ ネットワーク技術部長 要海敏和氏が「WiMAX 2」などを解説。


「IEEE802.16m」を採用した「WiMAX 2」により、光回線並みの高速大容量通信や伝送遅延の更なる短縮、時速350kmでの通信、現行のUQ WiMAXとの互換性の確保、ネットワークキャパシティの向上などが図れるそうです。


同社が掲げる「高速大容量通信」は、ユーザーからのアクセスが1つの基地局に殺到してもパフォーマンスの低下が少なく済むというもの。都市部などでは非常に重要な技術であると思われます。


高速大容量通信がさらに進むと、あらゆるコンテンツやネットサービスなどをワイヤレスで利用できるようになります。


「WiMAX 2」は従来規格との互換性を備えることで、サービス開始直後で「WiMAX 2」を使えないエリアでも現行のWiMAXを利用できることが大きなポイント。


今年12月からNTTドコモがサービスを開始する下り37.5Mbpsの第3.9世代携帯電話サービス「LTE」よりもWiMAXは約2年先行。次世代規格の導入もWiMAXの方が先になります。


第1部のプレゼンテーションで取り上げられたイー・モバイルの「DC-HSDPA」を採用した下り最高42Mbpsサービスとの比較についてもさらに言及。


WiMAXはDC-HSDPAがサポートしていない、伝送をマルチ化することでパフォーマンスを向上する「MIMO技術」を採用。


そして「OFDMA」と呼ばれる無線通信方式をサポートすることで、伝送効率を向上させているところもポイント。


DC-HSDPAがサポートする無線通信方式「CDMA」と比較すると圧倒的に優位になるそうです。


また、無線通信ではエラー訂正が必須。


WiMAXのデータ通信速度はエラー訂正符号を除いた、データ信号の伝送速度のみで計算されているのに対して、DC-HSDPAはLTEなどは実環境では非現実的なエラー訂正符号率でデータ通信速度を計算しているため、実効的な速度はUQ WiMAXの方が高いという結論に。


UQ WiMAXと同じエラー訂正符号率で通信速度を計算した場合、DC-HSDPAは下り最大35Mbps、LTEは下り最大31.3Mbps(一部地域では62.5Mbps)となります。


最後にユーザーにとって最も気になる帯域制限について。ヘビーユーザーがネットワーク容量を占有している状態が、そう遠くないうちにUQ WiMAXにも訪れると見込まれます。


通信サービスで行われている規制の内容。特定のアプリケーションを利用できなくなることや、特定のコンテンツへのアクセスがブロックされる状況は非常に困りますね……。


この問題に対する課題が無線リソースの枯渇などですが、WiMAXは周波数の利用効率が高く、無線容量が大きいことなどが他社に対する優位点となっています。


UQ WiMAXの目指すところ。徹底して高速化を追求し、システムの容量拡大を推進。帯域制限は当面見送り、ユーザーの声を大切にしてより魅力的なサービスへと進化させるとしています。

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in 取材,   モバイル, Posted by darkhorse_log

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