メモ

60年以上の時を経て公になった、第二次世界大戦中のイギリス空軍機とUFOの遭遇事件


第二次大戦中に偵察任務から帰還中のイギリス空軍機がイギリス海岸線付近でUFO(未確認飛行物体)と遭遇し、報告を受けた当時の首相、ウィンストン・チャーチルはこれを「少なくとも50年は極秘とすること」と指示したとされることが先日英国公文書館により公開された資料により明らかになりました。

戦時中に「大本営発表」として国内外への情報を統制するのはいつの時代、どこの国でも行われていることで、UFOが「ドイツ軍の新兵器なのではないか」と国民を不安にさせることをおそれ秘匿していたというのなら当然のこととも思えます。


しかし関係者の子孫の証言によると、チャーチルは「集団パニックを引きおこし、人々に信仰を失わせる」として機密とするよう指示したそうです。UFO遭遇の事実があったとすれば、「人に信仰を失わせる」ほど衝撃的で、戦争終結までというだけでなく「50年間は伏せておかねばならない」とチャーチルが判断したということになります。

詳細は以下から。UFO files | Newly released files from The National Archives

今回明らかになったチャーチルの指示というのは、チャーチルとアイゼンハワーが、イギリス空軍の偵察機乗員により報告されたUFO遭遇事件について会談した場に同席していたという祖父から、この件について伝え聞いた男性が、1999年に英国国防省に対し、事実関係の調査を求めた手紙によって公になったものです。

この手紙に対する国防省や内閣府からの返信や、手紙に関する業務連絡のFAXなどの公文書も公開されています。手紙の主は1999年当時レスター在住の物理学者であり、UFOマニアではないことを強調していたとのことで、「祖父から伝え聞いた」ということ自体はねつ造ではないと見られています。

1940年、バトル・オブ・ブリテン中の空襲警報を受けてヘルメットをかぶるチャーチル。


今回公開されたUFOに関する公文書は以下のリンクから見ることができ、そのうち「チャーチルがUFO秘匿を指示した疑惑」に関する資料は205~209ページと、273~284ページあたりにあります。
http://filestore.nationalarchives.gov.uk/pdfs/defe-24-2013-1.pdf(PDF、37.9Mb)

画像中の「Section 40」の部分は、個人情報なので塗りつぶされています。


レスター在住の男性は、英国空軍でチャーチルの護衛の任務に就いていた祖父から伝え聞いたという第二次世界大戦中の英空軍偵察機とUFOとの遭遇事件について、遭遇の事実はあったのか、あったとすればいまだに機密扱いなのかを問い合わせる手紙を1999年8月14日に国防省に送りました。男性は物理学と天文学を専門とし、1999年当時は宇宙機熱工学のソフトウェア開発に携わっていたとのこと。


1999年9月20日付けの手紙。その後男性の母との電話でさらに詳しい状況を伝え聞いたので、「手がかりになるかもしれない」と前回の手紙を補足する内容です。


これらの手紙によると、該当イギリス空軍偵察機は第二次世界大戦後半にフランスまたはドイツへの撮影任務からの帰還中に、イギリス海岸線付近で未知の物体に遭遇したとのこと。この未知の物体は金属製で、形状については男性の母は聞いていないとのことですが、偵察機の近くに突然現れるまで、検知することはできなかったそうです。高速で偵察機に近づき、急激に減速して偵察機と並びしばらく並走するように漂ったのち、突然跡形もなく姿を消したとのことですが、並走していた間に偵察機のカメラマンが複数の写真を撮影したとされています。

その後、チャーチルとアイゼンハワーが同席しアメリカで開かれた会議で、専門家は「ミサイルは自分より低速で飛行する航空機に合わせて急激に減速し、また急加速することなどできない。この飛行物体がミサイルであるとは考えられない」と断言し、空想のはるか上を行くような科学技術がなければ、あり得ないできごとだと宣言したそうです。この専門家は戦時中カンブリア地方で勤務していたとのことで、偵察機が物体と遭遇した「海岸線付近」とはイングランド北西部の海岸だったのかもしれません。そして会議に出席していた別の人物が未確認飛行物体(UFOという呼称は1952年にアメリカ空軍が使い始めた)である可能性を提起したところ、チャーチルはこの飛行物体について「すみやかに、少なくとも50年間は極秘とし、公開については未来の英国首相が再検すべきだ」と指示したとのこと。

この会議でのやりとりに同席していた男性の祖父は、この飛行物体には当時地球上のどの国も持っていない技術がかかわっていたはずだと確信するに至ったそうです。

1999年8月14日と9月20日の手紙に対する返信。「国防省としては軍事的脅威によりイギリスが脅かされている可能性がない限りUFOについての調査はできませんが、当時の記録がもし残っていれば、公文書館で閲覧することができるはずです。ただし1967年以前に報告されたUFOの記録は基本的に5年間で破棄されることになっていたので、第二次世界大戦中の記録が残っている可能性は低いです」というような内容です。


10月4日付けの、レスターの男性から国防省への手紙。「もしUFO遭遇の事実があったとすれば50年間は機密扱いで首相により秘匿期限が検討されてきたはずなので、現在も機密となっているかもしれませんが、車両の推進力と制御にかかわる技術の発展につながる物理理論に関心があり、その未確認飛行物体の飛行特性を知りたかったため連絡したのです。個人的には『UFO』が地球外生命体によるものだという考えにはまったく賛同しませんが、物体の飛行特性の記録がもし存在するなら、現在の物理理論の拡張につながるヒントとなるかもしれないと、純粋に物理学的な興味があったのです。ともかく、ご協力ありがとうございました」といった内容。


国防省から手紙を回された内閣府の歴史・記録部門の担当者からの回答。「残念ながらUFO遭遇についてのチャーチルとアイゼンハワーのやりとりの記録は見あたりませんでした。また、この件に関する現在も機密となっている記録というのも存在しないようです。現存する第二次世界大戦中の公文書の大部分は公文書保管所で閲覧可能となっているので、もし公文書保管所でさらなる調査を続けられる場合は、以下のセクションにあたってみるとよいかもしれません」といった内容。


このほかにも、英国公文書館ではUFOに関する膨大な量の公文書を公開していて、以下のサイトから閲覧・ダウンロードすることができます。興味のある人にとっては非常に面白い資料となっているかもしれません。

UFO files | Newly released files from The National Archives

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
警察のヘリコプターがUFOを追跡するムービーなどUFOムービーいろいろ - GIGAZINE

空を飛ぶ何だかよくわからない謎の物体を発見 - GIGAZINE

「100年前UFOが地球を守るため巨大隕石に衝突した」とロシア人科学者が提唱 - GIGAZINE

「宇宙人は何度も我々にコンタクトしてきている」と告白するアポロ14号の宇宙飛行士 - GIGAZINE

宇宙からの電波を遮るためアルミホイルで覆い尽くしたギンギラギンの内装 - GIGAZINE

人間のふりをして地球で暮らす宇宙人の存在を信じる大人は中国やインドに多い - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse

You can read the machine translated English article here.