取材

数年ぶりに林原めぐみさんがイベントに登場、本編映像も流れた「マルドゥック・スクランブル」新情報解禁トークショー


かなり実験的な内容で映像化は困難とみられていたSF小説「マルドゥック・スクランブル」が2010年秋、ついに劇場公開されます。タイトルは「マルドゥック・スクランブル The First Compression 圧縮」と、次回作の製作を大いに期待させるものとなっています。

原作者の冲方丁さんだけでなく、ここ数年はあまり一般のイベントなどに出演していなかった林原めぐみさんが登場。この作品にかける情熱やある“因縁”を、真剣なまなざしで語っていました。


詳細は以下から。マルドゥック・スクランブル

イベントが始まるや否やムービーが流れ、驚きつつもすぐに引き込まれる会場。ものすごいクオリティです。
YouTube - 「マルドゥック・スクランブル」 PVその1 in 東京国際アニメフェア2010


原作・脚本の冲方丁さんと、ヒロインのルーン=バロットを演じる林原めぐみさん。林原さんは自分の番組以外にでるのは数年ぶりということでちょっと緊張しているようでした。


音楽を担当するConischさんも登壇しました。


映像を見た感想を順番にコメント。冲方さんは「とにかくウフコックがかわいいので大満足」だそう。まだアフレコは始まっていないそうですが、林原さんは「映像だけでもうできあがっているため、声を入れるのが正直ためらわれてしまう」とのこと。呼吸や心拍が聞こえてきそうな映像に「声優いらないじゃん!」と思いながらも、バロットの声を胸に秘めてアフレコに臨むそうです。


トーク時間は20分ということで、司会の方が林原さんに「短すぎるんじゃないですか?」と振ったところ、「キュキュッと詰め込みますよ!」と頼もしい返答。


「作品を書く時にはスイッチを切り替えたりしてるんですか?」と聞く林原さんに、「いえ、自然にコントロールできてますね」と涼しい顔の冲方さん。作品内容とはかけ離れたジェントルな物腰です。しかしながら執筆中は「ヒャッホウ!」とエキサイトしてしまう瞬間もあるとか。


さすがにこれはできないんじゃないか、と冲方さんがぼかした部分に「原作通りにしてください!」とリテイクが入ったというエピソードに現場の本気が見て取れます。原作へのリスペクトが非常に高いスタッフによる映像化ということで、冲方さんも10年前の自分をどうリスペクトしていこうかと気合いを入れ直しているそうです。


会場にて配られていた小冊子には林原さんの手によるこれまでのいきさつなどがかなり細かく書かれています。その内容を林原さんが自ら補足もしつつ語ってくれました。実は5年前にこの作品のオファーが来たために全国ツアーをなくしてまで取り組んだのに、なんと製作が中止となってしまった“因縁”があったといいます。


ラジオのパーソナリティなどを長年こなしただけあって軽妙で聞き取りやすい口調ながら、かなり重いことを語っているのが印象的。これまでの経験を感じさせる言葉の重みに、バロットと重なる部分を感じました。


「結婚式まで決まっていたのに離婚届が突然届いたような悲しみ」を感じてバロットを忘れようとした林原さんに、ある日突然再びのオファーが。「私の声はよくも悪くもいろいろなイメージがついていて、それがバロットのイメージを邪魔してしまうのはよくないから、まっさらな人がやるのがいいのではないかと思いました。あと、スターチャイルドがかかわる作品でわたしが主演をすると、ファンのみなさんから『そういうことか』と思われてしまうのではと思ってしまって……」と当時の複雑な心境を切々と語ります。しかし真正面から断りを入れたのにそれでもなおオファーがきたということにバロットとの縁を感じ、今回この役を引き受けたということです。


中止の悲しみをどうしていいか分からなくて、早川書房あてに人づてでなく郵送でファンレターとCDの詰まった小包を送るという驚きの行動を起こした林原さん。冲方さんは「わたしはこういうものです」という手紙の内容に「知ってるよ!」と心でツッコミを入れたということ。


手紙は情熱のあまり誤字脱字が多かったらしく、「逆に気持ちが伝わった」とドS発言をする冲方さんに対し「回収してえー!」と叫ぶ林原さん。


Conischさんは「つらい人生を歩んできたバロットですが悲惨なだけの音にはしたくなくて、彼女の新しい世界に突入するわくわくどきどきとした気持ちを踏まえて製作に臨みました」とコメント。林原さんと冲方さんがとにかく語りまくるので、寡黙なConischさんはちょっと追いつけていなかったようにも見えました。


ほかのキャストはまだまだ考え中とのこと。冲方さんいわく「世の中のあらゆる声を聞きまくっている」状況らしい。


いろいろな試行錯誤によって色や髪型など細部も決められています。たとえば原作でボイルドはスキンヘッドですが、それだと逆さの世界を歩いている場面が映像として伝わりにくいので、原作とは異なり頭髪のあるキャラクターデザインが採用されたそうです。本当に細かく設定が練りに練られています。

バロットの声はもうすでに自分の中にある、と林原さん。しかし、「私はもっとこうしたいという欲がでると、これまで演じてきたキャラをちょっといじっただけの声になってしまって、彼女の気持ちの入った肉声にならないんです」と役作りの苦労もにじませていました。さまざまなキャラクターを演じてきたベテラン声優である林原さんがこの作品にかける気合い、そしてプロとしてのこだわりが強く伝わってきます。


締めのコメント。林原さんは「5年前に出会っていたとはいえ、わたしにとっては久々の新キャラ。ちょこっと事情があって仕事をセーブしていますが、出てきたからには全力でバロットと向き合っていきます」と意気込みを改めて語りました。


冲方さんは「スタッフ一同ここからスタートとなりますので、ぜひお楽しみください」と一言。


スタッフの指示がなければ予定時間など度外視してしまいそうな勢いだった司会の方をはじめとして、会場は静かな熱気につつまれており、作品自体への愛と映像化に対する期待とか渦巻いていました。


出演者が退場したあと、別バージョンの本編映像が流されました。同じカットも少し含まれていますが別バージョンなので、その1と見比べてみてください。出版社を横断したものすごい勢いの書籍展開も予定されているなど、今後の展開にも期待できそうです。
YouTube - 「マルドゥック・スクランブル」 PVその2 in 東京国際アニメフェア2010

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in 取材,   映画,   アニメ, Posted by darkhorse_log

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