取材

「原作ラストシーンに向けて作る」「飛鳥了を描く」と湯浅政明監督が語った「DEVILMAN crybaby」に永井豪も「早く見たい」と期待大


2017年3月16日に、永井豪さんのデビュー50周年記念作品として「DEVILMAN crybaby」の制作とNetflixによる全世界190カ国独占配信が発表されました。AnimeJapan 2017の中で行われた同作のイベントには原作者の永井豪さんと湯浅政明監督が登壇。永井さんは湯浅監督作品で4月7日公開の「夜は短し歩けよ乙女」と5月19日公開の「夜明け告げるルーのうた」を見た上で、この監督ならば「デビルマン」を作るのにぴったりだと太鼓判を押しました。

DEVILMAN crybaby | 公式サイト
http://devilman-crybaby.com/

イベントMCはニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんが担当。原作者である永井豪さんはデビルマンカラーである緑色のジャケットで登場。湯浅監督もそれに合わせて「DEVILMAN crybaby」シャツで登壇する予定だったそうですが、冷え込んだ日だったためこんな形に。


「デビルマン」の連載開始は1972年。学生運動やベトナム戦争など、新聞を見れば殺伐とした戦いの記事が掲載されているといった時代で、その空気を感じつつも、エスカレートするとどこまで行ってしまうのか、どこかでストップをかけなければならないのではないかという思いで作品を描いていたという永井さん。当時は何かに乗り移られて描いていたような感じもあって、ゲラを読んだときに「自分がなぜこれを描いたのだろう?」「どこからこんなセリフが出てきたんだろう?」と思ったこともあったとか。


湯浅監督はアニメ版の「デビルマン」を見ていて、マンガも高校生のころに読んだとのこと。高校では美術部の仲間でアニメやマンガの話をしており、そのときにみんなで「デビルマン」や永井さんの短編集を好んでいたとのこと。序盤から悪魔の描写には驚かされたものの、特に後半の展開には衝撃を受けたそうです。今回のアニメ化では、このラストシーンを中心に作品を作ることを決めています。

もともと「デビルマン」はアニメ企画があり、永井さんはストーリーとキャラクター設定を作って東映動画に提供。アニメでは辻真先さんらが脚本を担当しました。アニメーション制作には時間がかかるため、その後、連載が決まって、アニメよりちょっと早くスタートすることに。しかし、1回目からアニメのために渡した設定と違う部分が出てきて、特に飛鳥了についてはアニメのプロデューサーから「そんなキャラクター、いないじゃないですか!」と怒られたそうです。しかし、このテレビアニメは、裏番組として視聴率が最高で50%にも達したというドリフターズが君臨していたために1ケタしか取れなかった枠で放送されたものの、2ケタの視聴率を取るような人気作品となりました。


「デビルマン」はこのテレビアニメののち、1987年・1990年にマンガの展開を比較的忠実になぞったOVA2本が作られましたが、完結には至らなかったため、永井さんは「今回(DEVILMAN crybaby)は完結まで行ってくれるということで期待しています」と語っています。

その期待を背負う湯浅監督。企画会議で「デビルマン」の名前が挙がったときに、みんなが知っている作品であることから、映像化することは難しいとは思ったもののやりたいという気持ちもあったことから手をあげたもの。永井さんによる自伝的マンガ「激マン!」も読み込み、永井さんになりきって、「もし今作るならこうではないか、こうしたいのではないか」というぐらいにまで考えて作っているとのこと。

永井さんは、作品へのオファーについては「意欲のある人が挑戦するならどんな人でもOK」と受け止めていて、自分の作品と違うものができてもまったく気にせず、アニメはアニメ、原作は原作で好きにやりましょうというスタンス。マンガについても、描きたいとオファーがあれば「好きに描いていいよ」と応じてきたそうです。そんな永井さんからの「それぞれの方に個性があり、それを発揮するなら好きに作ることだと思います。いいものができるなら、僕に合わせなくてもいいので、存分にやっていただければ」という言葉に、湯浅監督は「さらにプレッシャーがかかります」と笑っていました。


「DEVILMAN crybaby」は、「デビルマン」という作品が存在している現代が舞台。ティザー映像にも出てくる悪魔側のデザインは「フリップフラッパーズ」で監督を務めた押山清高さんが担当しているとのこと。副題の「crybaby」には湯浅監督の意図が込められていますが、実はその内容は永井さんもまだ知らないのだとか。


そして「デビルマン」の映像化で気になるのは映像表現。今回はNetflixでの配信ということで、テレビであれば許されないような表現でも可能になるため、永井作品のバイオレンスな部分、エロティックな部分を限界まで出す形で作れると湯浅監督は語りました。

湯浅監督の全力っぷりに、イベント中、嬉しそうな表情を何度も見せていた永井さんは、まもなく公開される湯浅監督の映画「夜は短し歩けよ乙女」と「夜明け告げるルーのうた」を見て、デビルマンのシュールな世界を描ける人だと感じたとのこと。


「原作のラストシーンにたどり着くように作る」ということと同時に、湯浅監督が考えているのは「飛鳥了を描く」ということ。湯浅監督はデビルマンを不動明と飛鳥了のバディものであり、また了の物語でもあると捉えていて、これまでの映像作品では了があまり描かれていなかったのではないかと感じたそうです。


永井さんも描いているとき後半になって「本当の主人公は了だ」と感じていたとのことで、改めて「湯浅監督にはコアな部分を理解してもらっている」と満足げな様子でした。


作品規模は「1クールぐらい」。脚本や音楽は出来上がってきていて、キャストも決まっているものの、これはまた後日の発表になるとのこと。配信時期は「来年(2018年)の第1四半期ぐらい」とのことでした。

「僕の方は何のプレッシャーもないですから、一足飛びに来年にならないかなと思っているぐらいです。ただ『早く見たい』と、それだけです(笑)」という永井さんに対して、「永井先生の期待に添えるようないい作品になっていると思います」「僕も早く見たいです」と応じた湯浅監督。

「デビルマン」のコアを理解した湯浅監督によって、原作ラストシーンに向けて作られる「DEVILMAN crybaby」はNetflixで全世界配信(9カ国語吹き替え・25カ国語字幕)です。


『DEVILMAN crybaby』2018年初春、Netflixで全世界独占配信決定! - YouTube

©Go Nagai-Devilman Crybaby Project

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in 取材,   動画,   マンガ,   アニメ, Posted by logc_nt

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