メモ

のどや舌のガンの原因にも、性行為により感染するHPV(ヒトパピローマウィルス)について知っておくべきこと


「ガンは感染しない」という思いこみに警鐘が鳴らされています。一般にガンには遺伝などの要因が大きく予防は難しいのが現状ですが、予防できたはずの性感染症が原因で将来発ガンしたら後悔するのは必至。正しい知識を持つことが重要です。

接触感染性のヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)はガン抑制遺伝子を分解することにより発ガンに寄与します。HPVが子宮頸癌(しきゅうけいがん)の原因になることは比較的広く知られているかもしれませんが、口腔癌(こうくうがん)や舌癌(ぜつがん)などにも関与することや、手や口による性行為でも感染するということはあまり知られていないようです。「男には関係ない」と思っていた男性も多いのではないでしょうか。

詳細は以下から。Sexually Transmitted HPV Linked To Certain Head & Neck Cancers

ニューヨーク州バッファローのRoswell Park Cancer Institute(ロズウェル・パーク癌研究所:RPCI)の研究者たちは頭頸部癌(とうけいぶがん)の予防のため若い男女へのHPVワクチン接種の必要性を主張しています。

頭頸部癌(唇・口腔・鼻腔(びくう)・副鼻腔・咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)などに発生するガンの総称)のうちのいくつかはHPV16(HPVの型の一つ)と強く関連しているという証拠が増えつつあります。HPVは現在最もまん延している性感染症の一つで、アメリカでは推定70%の男女が一生に一度はHPVに感染するとされています。

ヒトパピローマウィルス(HPV)の電子顕微鏡写真。


RPCI頭頸部外科長のThom Loree医学博士によるとHPV16が関与したガンは主に舌の根元や扁桃(へんとう)軟口蓋(なんこうがい)に発生するそうです。過去10年間でRPCIでは咽喉(いんこう)のガンの症例が3倍に増えたとのこと。

RPCI所属外科医のSaurin Popat医学博士によると、2007年からRPCIでは治療されるすべての頭頸部癌に対しHPVの検査を行っており、継続中のこの検査のデータと保管された2007年以前のガン細胞の検査結果を総合すると、RPCIで治療される頭頸部癌のうち50~60%がHPV陽性とのことです。

HPVには100種以上の型があり、それぞれに番号がつけられています。そのうち性行為により感染する群(HPV16やHPV18を含む)は性交だけでなく、口・膣・外陰部・陰茎・肛門・指のいずれかの皮膚と粘膜との接触によっても感染するそうです。子宮頸癌のほとんどがHPV16およびHPV18に起因することがわかっています。またHPVは外陰部・膣・肛門・陰茎・会陰(えいん:外性器と肛門の間)における発ガンに関与することもあるそうです。

正常な頸部細胞(左)とHPVに感染した細胞(右)。


風邪に特効薬がないように、HPVにも特効薬はありません。HPV感染の多くは一過性でウィルスは自然に排除されるのですが、感染期間中にほかの人へ受け渡されるという点も風邪と似ています。一度感染して自然治癒しても免疫記憶は形成されず、何度も感染します。

一部の人では症状のないままHPVに感染した状態が長期間、時に数十年も続く場合があり、この期間中には感染者はそうとは知らずにほかの人へHPVをうつすことになります。この「沈黙の」慢性的HPV感染により発ガンのリスクが高まるそうです。

アメリカでは2006年に子宮頸癌や尖圭(せんけい)コンジローマの予防のため、HPV6・11・16・18のワクチン「Gardasil」の9歳から26歳の女性への接種が認可されました。ただし男性への接種はまだ認可されていません。HPVが関与するガンの予防のための男性へのワクチン接種は現在FDA(アメリカ食品医薬品局)により審査中で、2009年6月に結果が出る予定です。

Loree博士やPopat博士を含むRPCIの医師たちは、ワクチンを男性にも認可するに足る説得力のある論拠はそろっていると考えています。「ワクチンの副作用はごくわずかで、大きな利益が期待できます」とPopat博士。「咽喉癌の患者は本格的な治療を数ヶ月間受けねばならず、その後4ヶ月から半年の回復期を要します。しゃべったり物を飲み込む能力に影響を受けます。一般的に予後は良いですが、つらく長い道のりです」

米国癌協会によるとアメリカでは推定3万5310例の口腔・咽頭のガンが毎年新たに診断され、そのうち2万5310例は男性とのことです。年に7590人(うち男性5210人)がこれらのガンで亡くなります。喫煙・かみたばこ・大量飲酒が依然として頭頸部癌の主因です。

今日までの検証結果に基づき、Loree博士は「HPVワクチンの接種率が増えれば、子宮頸癌と咽喉癌は減るはずです」と言います。「すべての人が喫煙やあらゆる形態でのタバコの使用をやめ、HPVワクチンを接種すれば、頭頸部癌を撲滅することができるでしょう。わたしは仕事にあぶれますが」

なお、HPVワクチンは日本では未認可ですが、医師による個人輸入で接種可能で、個人輸入を取り扱っている医療機関に申し込めば合法的に受けることができるそうです。HPVの予防にはコンドームの使用が有効とされていますが、上述のように手や口・肛門などからも感染するため完全ではありません。自覚のないままパートナーにHPVをうつすことは、手や性器を石けんでよく洗い清潔に保つことによってある程度避けられるようです。

HPVに感染しても多くの場合は免疫により自然に排除されるとのことなので、日ごろから免疫力を高めておくことが重要かもしれません。

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