2枚で498円という超激安サーロインステーキの秘密を探ってみた
世界的な経済の悪化によって食生活を切りつめている人も少なくないとは思いますが、つい先日、スーパーに買い出しに行ったところ「牛サーロインステーキ2枚(冷凍品) オーストラリア産 498円」という信じがたいほどに激安、というか超激安の牛肉が転がっていたため、「これは何か裏があるぞ……」などというようなわずかな気の迷いを抱く隙もないほどの圧倒的素早さで手につかんでからスーパーのカゴに放り込み、周囲の「ひそひそ……何、あの肉……ちょっと安すぎない?」というような感じで怪しがっている視線を意識することなくシャットアウトし、持てる限りの全力で買って来ました。
上記写真がその実物を焼いているところなのですが、いかがでしょうか。おいしそうに見えるはずです。
というわけで、実際にどんな感じの肉だったのか、その正体は一体何なのか、味はどうだったのか、などをあますところなくフォト&ムービーでレビューしてみます。戦慄の詳細は以下から。
これが買ってきた謎の冷凍サーロインステーキ。2枚で498円のものと、1枚で488円の2種類がありました。
カチコチに凍ってます
これが超激安サーロインステーキ
2枚で498円、なんという安さ。
原材料名を見るとなんだか牛肉以外にいろいろ書いてあります。そう、これはいわゆる「インジェクション加工牛肉」と呼ばれているアレです。
ちなみに、この肉のブランド名は「雪華肉」(せっかにく)となっています。
以下のページで詳しい解説があります。ちょっと読んでみましょう。
雪華肉についてモット知りたい?製品情報 インジェクション 加工牛肉 やわらか加工牛肉 ホンモノの霜降りではありません 回剣猫油断
雪華肉とは、牛肉に、やわらか加工と、霜降り加工を施した牛肉の調味加工製品です。
普通に焼くと硬くて美味しいとは言い難い牛肉を、やわらかくて美味しくなる様に調味加工した加工食品です。(モトモトやわらかい上質の牛肉を、やわらかく加工しても意味がありませんので)
未加熱製品ですので、お客様・ユーザーの元で、用途に応じた加熱調理をしてお召し上がり頂けます。
牛脂ベースのホワイトソース調味液を、インジェクション加工という方法で、肉中に入れて(分散)、肉質をやわらかくします。また、肉の中でホワイトソース調味液が凝固することで、お肉を切った部分が、見た目 霜降り肉の様な感じに見えます。(ホンモノの霜降り肉とは違います。)
ホワイトソース調味液は、牛脂・乳蛋白・クエン酸・しょうゆ・香辛料などを材料にしています。しかし、ホワイトソース調味液がイコール牛の脂ではありません。ホワイトソース調味液の1~3割程度しか牛脂は使っておりません。もし仮に牛脂100%を肉中に入れて加工したら、それを焼いて食べた時に、とてもじゃないですが、脂っこくて食べられません。サラダ油をタレの代わりにして、焼肉を食べている様なものです。口の中がギトギトで宜しくアリマセン。
よって、雪華肉のホワイトソース調味液の約70~90%は水分で出来ているのでございます。霜降り風に加工してあるのに、カロリーが低いのはその為でございます。
普通に焼いてパサパサした牛肉が、雪華肉に加工すると、まろやかでジューシーな牛肉に変身するのは上記の理由でございます。
分厚さはこんな感じで割といい感じ
そしてこれが1枚で488円のサーロインステーキ。
2枚で498円という破格の値段を見たあとだと、こんな値段でもバカ高く見えるからフシギです。
原材料はこんな感じ。味付け加工品となっていますが、実際にはそこまで濃い味はほとんどしないので、ちゃんと下味を付ける必要があります。そのあたりは通常の牛肉と同じです。
薄さはこんな感じ
参考程度に指と比較
2つを比べてみたところ。左が1枚488円、右が2枚で498円
こうやって見ると表面積の差や厚みの差だけにしては納得できない価格差を感じます
で、解凍したのがこれ。
この記事を書く際に気づいたのですが、解凍する際には「冷凍から冷蔵庫に移して、真空パックの一部を切って空気を入れて解凍」した方が良かったらしい。
真空パック状態のまま解凍すると、解凍するに従って肉の水分(調味液)がパックの圧力で肉から少しずつ出てしまうとのこと。パッケージに書いておいて欲しかったかも……。
結果、こんな感じで肉の水分がかなり出てしまうことに。なんてこったい。
横から見たところ。解凍前よりもさらにぺったんこになっていることがわかります。
泣いていても仕方ないのでとりあえず取り出してみました。
実際に手で触ってみるとこの超激安の方は手で持っても形が崩れたりしません。
一方、こっちのちょっと高い方は手で持つとふにゃんふにゃんで、自重でちぎれるんじゃないか?というほどやわらかい。よく見ると周囲にサーロインっぽく脂身も巻いてあり、こっちの方が芸が細かい。
ミックスペッパーとか塩とかをふりかけて味を調えます
この肉を真空パックから取り出して気づいたのですが、一般的な肉よりもニオイはほとんどしません。見た目がやたら生々しく、触った感じもふにゃんふにゃんなのですが、ニオイはそこまでしつこくないです。
まずは超激安の2枚から焼いてみることに。
じゅじゅー。
ひっくり返してみた。豚のショウガ焼きに見えてきた……。
しかしながら香りは完全に牛肉。コショウの香りと混じり合い、非常にナイスな感じに。
ひたすら焼き続けます。通常の牛肉と違って、中の水分が命なので、強火でまずは表面を焼いて中の水分が漏れないようにしてから中までじっくりと火を通すわけです。レアとかで食べる肉ではないのでよく火を通すという点だけは注意が必要です。
かなり焼いてみたのですが、柔らかさはこの通り、健在です
できあがり
断面はこんな感じです
引き続き、残ったちょっとだけ高級な方も焼いてみることに。
じゅじゅ~
先ほどとは違い、こっちはステーキっぽい感じがします
脂の量がこっちはすさまじい
焼き上がり。焦げているのではなくて、前に焼いた2枚のカケラが焦げたものがくっついているだけ。
断面はこうなってます
かなりジューシー
というか段違いにこっちの方がジューシーでうまく焼けました
肝心の味についてですが、いぶかしげな顔でこちらをうかがっていた編集部員を捕まえて食べさせてみたところ、
編集部員C:安い方はちょっとあまりにも露骨すぎるのでは……高い方もあんまりよくないけどまだ食べられる味。
編集部員D:どっちもおいしいとは言えないが、高い方がちょっとだけマシ
編集部員F:高い方はまだまともな味、安い方はチンジャオロースーとかに入っている細切り牛肉みたいな感じがする
編集部員B:安い方もそれなりにおいしいですね、高い方はもう段違いにウマイですね!!これが……ステーキなんですね!!
という感じに。
個人的には安い方はさすがにそれなりの味と食感でした。食感が割と硬めで、同じように味付けしたはずなのになぜか味のノリが悪い感じ。対して2倍近い価格の高い方はあともうちょっと分厚ければ「サーロインステーキ」として通用しそうなレベル。最大の差はジューシーさ。周囲に脂身を巻くだけのことはあり、全体的に「いかにもサーロインステーキ」といった感じがするので、知らない人なら確実にだまし通せるレベル。おそらく分厚さがもっとあれば、「安いけどそれなりにおいしいステーキ」として外食で出てくるぐらいの味と食感を再現できそうです。ぶっちゃけ、この高い方で十分戦えます。
ちなみに一昔前の「インジェクション加工牛肉」と比べると段違いに進歩しているので、お弁当屋さんとか外食でこれを出されても、よっぽどでないと見破ることはできないのではないかと。今もなお進化している最中らしいので、最終的には寸分違わないレベルに到達するのかもしれません。
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