「孤独な人」は変わった考え方や話し方をする傾向があることが研究で確かめられる
孤独な人は世界の感じ方が他の人とは異なることや、孤独の感じ方には遺伝子が関与していることなどが、これまでの研究でわかってきています。脳スキャンとアンケートを組み合わせた新しい研究により、孤独を感じている人は考え方やその表現方法が普通とは異なる可能性が突き止められました。
Loneliness corresponds with neural representations and language use that deviate from shared cultural perceptions | Communications Psychology
https://www.nature.com/articles/s44271-024-00088-3
Lonely individuals tend to think and talk in an unusual way, study finds
https://www.psypost.org/lonely-individuals-tend-to-think-and-talk-in-an-unusual-way-study-finds/
アメリカ・コロンビア大学の心理学者であるティモシー・W・ブルーム氏らは、「孤独な人は社会で一般的に受け入れられている共通認識から逸脱した心象を形成しているのではないか」との仮説を検証するため、合計1003人が参加した2つの実験を行いました。
最初の実験では、平均年齢20~21人の参加者80人を2グループに分けて、磁気共鳴機能画像法(fMRI)により脳の活動を調べつつ、自分自身、知人、および5人の著名人の性格特性を評価してもらいました。
性格特性の評価は、各人に対する形容詞がどのくらい当てはまるかを5段階評価もしくは二者択一で回答させる方法で収集しました。
また、著名人は以前行われた別の研究で知名度と文化的な重要度が高いと特定されたジャスティン・ビーバー氏、エレン・デジェネレス氏、キム・カーダシアン氏、バラク・オバマ氏、マーク・ザッカーバーグ氏が選ばれました。
by Anthony Quintano
この実験で、「UCLA孤独感尺度」で測定した参加者の孤独度と、各参加者の脳スキャンのデータを比較したところ、孤独な参加者は孤独感が少ない参加者に比べて、有名人を評価している際の脳の反応が他の参加者の脳反応とあまり似ていないことがわかりました。
この結果から研究者らは、「孤独な人は有名人について考える際の思考方法が変わっていることを示唆している可能性が高い」と指摘しました。
2つ目の実験では、AmazonのクラウドソーシングサービスであるAmazon Mechanical Turkを通じてオンラインで募集された、平均年齢40歳の参加者923人が対象となりました。
この実験で参加者らは、ハリソン・フォード氏やキアヌ・リーブス氏など大衆文化で活躍する著名人10人について、どのくらいよく知っているかを自分の言葉で説明するよう求められた後、各著名人との親近感や、各著名人の性格特性の評価についての測定を受けました。
この実験で、研究チームが参加者らの文章をテキスト分析にかけたところ、孤独度が強い参加者が書いた文章は他の参加者が書いた文章との類似性が低い傾向があることがわかりました。また、孤独な人は著名人に対する自分の認識が不正確であったり、周りの人と共有できていないと感じたりする傾向が強いことも判明しました。
研究チームは論文に「私たちの研究結果は、著名人についての認識に関する時代精神、つまり特定の文化で共有されている共通の認識からの逸脱と孤独との間に関連性があるという証拠を提供するものです」と記しました。
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