デザイン

電子書籍版ハリポタの表紙デザインがいかに作り込まれているのかがわかるボツデザイン集がすごい


グラフィックアーティストのOlly Moss氏はハリー・ポッターシリーズの世界が楽しめるウェブサイトPottermoreから依頼を受けて2015年に電子書籍版ハリー・ポッターのカバーを手がけています。そのMoss氏が、Pottermoreの許可が下りたということでボツになった表紙デザイン案集を公開。物語を下敷きにどのように表紙が作り込まれていったのかがわかり、ハリー・ポッター好きに留まらず、装丁好きにとっても非常に興味深いものとなっています。

HPPITCH.pdf - Google ドライブ
https://drive.google.com/file/d/1Im8XGVXoY9ApNdkxZbFVrRBBnH4sysqm/view

These 'Harry Potter' ebook covers were never released (but should have been)
http://mashable.com/2017/11/28/harry-potter-covers/#9P7XLfZmdaq9

Finally got permission to post this. Here's the original brace of ideas I sent in for the Harry Potter book covers. https://t.co/tRUQx6svsx pic.twitter.com/IR2pF2Hyqh

— Olly Moss (@ollymoss)


2015年に電子書籍版の表紙として選ばれたのは「Optical Illusions(錯視)」をコンセプトにしたシリーズ。このシリーズは、電子書籍リーダーで小さなサムネイルを見ると「物語の中の象徴的なアイテムが描かれている」だけに見えるのですが、フルスクリーンにすると隠れたイメージが浮かび上がるというもの。


これがシリーズのデザイン画。よく見ると、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の表紙はシリウス・ブラックが動物となった時のシルエットを描いており、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の表紙は不死鳥の中にホグワーツが、そして「ハリー・ポッターと死の秘宝」の表紙に描かれたハリーの傷にはヴォルデモートが隠れています。


電子書籍版ハリー・ポッターにはここからアクセスすることが可能です。

そして、実際には表紙として選ばれなかったデザイン案の1つが以下。シリーズを通してホグワーツを同じ構図で描いたものですが、色合いが変化すると共に、それぞれの作品の象徴的なアイテムが描かれています。


「ハリー・ポッターと賢者の石」にはホグワーツ特急、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」にはロンとハリーが運転した空飛ぶ車、アズカバンの囚人には守護霊が描かれ……


「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」は冬、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」は夕暮れ、「ハリー・ポッターと半純血のプリンス」は夜、など、季節や時間帯ごとに情景が変化しているのも見応えがあります。


また、紋章をテーマにしたクラシカルなデザインもありました。これは、小さなサイズ&白黒でもそれぞれの本の見分けがつくように、という意図に基づいたもの。


それぞれの表紙にハリー・ポッターの象徴である雷が必ず組み込まれているのがユニークな点。


わかりやすいものもありますが、一瞬「雷はどこに……?」と迷ってしまうものも。


そして、以下はハリーの横顔を描いた「シルエット」というシリーズ。


ハリーの横顔のシルエットの中には、作中の印象的なシーンが描かれています。1作目の賢者の石と、3作目のアズカバンの囚人で、ハリーの幼さが抜け成長していっているのがシルエットだけでもわかります。


最終章である死の秘宝では、1作目でうつむきがちだったハリーがまっすぐ前を見ているというシルエットとなっていました。


また、表紙ではないのですが、イラストも公開されています。一見するとハリーがダンブルドア校長とダイアゴン横町を歩くノスタルジックなイラストなのですが、よく見ると建物の屋根に切り取られた空には雷マークが隠れています。


なお、Moss氏はこの他にも映画作品のポスターを複数手がけており、作品はウェブサイトで公開されています。その中には隣のトトロや……


千と千尋の神隠しといったジブリ作品もありました。


そのほかのMoss氏の作品は以下のウェブサイトから見ることが可能です。

Olly Moss — Harry Potter
http://ollymoss.com/

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in デザイン, Posted by darkhorse_log

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