中国で「傘シェアリングサービス」が開始されるも3カ月で30万本が行方不明になる事態
日本でもカーシェアリングや自転車シェアリングサービスが徐々に広まりつつあり、「モノ」は個人で所有するものから多人数で共用・シェアするものという概念が少しずつ浸透してきているといえます。そんな中、中国のスタートアップは雨傘をみんなでシェアする「傘シェアリングサービス」を新たに始めたのですが、わずか3か月間で30万本の傘が元に戻らず、行方不明の状態になっているようです。
Chinese umbrella-sharing firm remains upbeat despite losing most of its 300,000 brollies | South China Morning Post
http://www.scmp.com/news/china/society/article/2101722/chinese-umbrella-sharing-firm-remains-upbeat-despite-losing-most
Chinese umbrella-sharing startup loses most of its 300,000 umbrellas in three months - The Verge
https://www.theverge.com/tldr/2017/7/10/15947590/chinese-umbrella-sharing-startup-lost-300000
このニュースは中国の日刊紙「South China Morning Post」などが報じたもの。深センを拠点とするスタートアップ「E Umbrella」は2017年4月、1000万元(約1億7000万円)の予算を投じて傘シェアリングサービスを国内11の都市で開始しました。ユーザーがサービスを利用する際にはスマートフォンのアプリを使い、まず19元(約320円)のデポジットを支払います。するとアプリに傘をアンロックを解除するコードが送られてきて利用できるようになります。そしてその後、利用した時間に応じて30分頃に0.5元(約8円)の利用料を支払います。
傘は街中の至る所に置かれ、必要に応じて誰でも使える状態になっているとのこと。特に「返却場所」といったものは設置されておらず、ユーザーが使いたいときに近くにある傘を手に取り、使い終わった時にはその場に放置することで「返却」すればOKという仕組みになっています。
しかし、実際にはサービス開始から約3カ月で30万本もの傘が返却されない状況になっているとのこと。その理由についてE Umbrellaの設立者であるZhao Shuping氏は「自転車ならどこにでも置いて返却することができる。しかし、傘は返却するためのバーやフェンスが必要だから」と語っています。
中国では今年に入り、スマートフォンアプリを使って自転車をシェアする「自転車シェアリングサービス」が爆発的な成功を収めています。このサービスがいわゆる「レンタルサイクル」と違う点は、使い終わったらどこに乗り捨ててもOKという点にあります。つまり、わざわざ使い終わった後に返却ステーションまで行く必要がなく、使いたいときに使いたい場所で利用できるという便利さがウケて、中国各地で同様のサービスが続々と登場しています。
そんな自転車シェアリングの成功を目の当たりにして、「街中にあるものは全てシェアリングできるようになる」と見込んだのが、E UmbrellaのShuping氏というわけです。傘シェアリングビジネスの収益性には疑問を呈する声も上がっており、すでに30万本が戻らぬ傘となってしまったわけですが、このサービスの可能性に狙いを定めているShuping氏は強気の姿勢を崩していないとのこと。失われた傘を補充するためには一本あたり60元(約1000円)の費用が発生するとのことですが、Shuping氏は2017年末にかけてさらに3000万本の傘を中国の各地に投入してサービスの拡大を図る予定とのことです。
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