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ミラーレスカメラを買う時に知っておきたいこと基礎ガイド

By Kārlis Dambrāns

デジタルカメラの中でも、シャッター部分にミラーを装備しない「ミラーレスカメラ」は、本体のコンパクトさや手軽さ、シンプルさが評価されて人気を集めています。その一方で、やはり本格派を目指す人ならミラー式のデジタル一眼、という構図が存在しているわけですが、近年はミラーレス一眼の性能向上が激しくなってきています。そのような状況でミラーレスカメラはどう考えて選べばよいのか、そんなポイントについてカメラやコンピューター、音響映像機器を扱うメディア「explora」が解説しています。

Mirrorless Cameras: A Buying Guide | explora
https://www.bhphotovideo.com/explora/photography/buying-guide/mirrorless-cameras

まずは、ミラーレス一眼カメラと、コンパクトデジカメ(コンデジ)との違いから。ミラーレス一眼カメラの特長はなんといってもレンズを交換できるところにあります。コンデジだと本体にズームレンズが装着されていたとしても、やはり撮影できる内容には限界があるもの。そんなときでも、対象物や狙いたい画にあわせたレンズを選べるレンズ交換式のミラーレスカメラは表現の幅が大きく広がり、さらには自分のテクニックも機材によってどんどん磨かれるというメリットも。


レンズを交換できるメリットとあわせてよく語られるのが、絞り調整による「ボケ」の表現です。以下のサンプルは絞り値F/0.9とF/11という極端な違いを比べたものですが、絞り値が小さい(=絞りを開く)ほど背景にボケが現れ、被写体をうまく浮かび上がらせることができています。一方、F/11まで絞ると背景までピシッと撮影できますが、写真としては記録写真のような雰囲気が現れることも。また、光量が減るために、全体の明るさが落ち気味になる傾向もあります。


次に、ミラーレス一眼とデジタル一眼の違いが示されています。ミラーレス一眼のメリットは、鏡そのものが存在しないためにセンサーとレンズをマウントする基準面「フランジ」の距離が短いという点が挙げられます。これにより、ミラーレス専用のレンズに加えて、デジタル一眼のレンズも使えるというメリットがあるとのこと。いわゆるレンズの資産を活かすことができるという大きなメリットがあり、古いレンズにも対応できるという利点がありますが、やはり実際にレンズを購入する際には、互換性をよくチェックした方がいいのはいうまでもありません。


古いレンズや、他社製のレンズを装着するために「アダプター」を使用するケースもありますが、この場合はフォーカスや絞りがオートで設定できなくなるケースがあることも要注意です。


レンズと同じぐらい重要なのが、センサーの大きさです。一般的に、デジタル一眼がいわゆる「フルサイズ」のセンサーを搭載し、コンデジには最も小さいクラスのセンサーが使われます。ミラーレス一眼の場合は、一般的にフルサイズよりも1サイズ小さいセンサーが使われる傾向にあり、「APS-C」や「マイクロフォーサーズ」といった規格がよく用いられています。中にはミラーレス一眼でもフルサイズのセンサーを使っている機種もありますが、やはりセンサーが大きくなるとレンズも大きくなり、それだけ価格もアップしてしまうので、手軽さも重視されるミラーレス一眼には1サイズ小さなセンサーが使われることが多いようです。


センサーの規格を比較するとこんな感じ。一般的にセンサーが大きいほど、多くの光を取り込むことができるので、画質面で有利だとされています。


ミラーレス一眼の場合、写す像を確認するビューファインダーの見え方が大きく変わる点も考慮しておく必要があります。ミラー式のカメラの場合は、実際の風景を鏡とレンズを通して見る仕組みですが、ミラーを持たないミラーレス一眼の場合は、電子的に像を映すEVF (Electronic ViewFinder:電子ビューファインダー)が搭載されています。EVFにはメリット・デメリットが存在します。その1つが、実際の対象物と見えている像に時間的なタイムラグが生じることで、これが原因で撮影のタイミングを外してしまうことも。しかし、技術開発が進むにつれタイムラグの問題は解消されつつあり、高機能モデルになるとその影響がほとんどわからないものも存在します。


逆に、EVFのメリットはミラー式ファインダーにはない機能をプラスできるところ。その1つが、以下のようにフォーカスが合っている場所を強調表示する機能。これにより、カメラマンはどこにフォーカスが合っているのかを確実に見極められるので、より安心して撮影を行うことが可能。これ以外にも、露出が明るすぎて「白飛び」が発生していることを画面に表示させる機能も便利な機能の1つです。


ピントを合わせるオートフォーカス(AF)の仕組みにも違いがあります。ミラーを持つデジタル一眼は、AF専用のセンサーを使って対象物との距離を認識する「位相差検出方式」を使っています。この仕組みだと、フォーカスのズレた方向と量を検知することが可能で、どっちの方向にどれだけフォーカスを動かせばよいのかが一瞬で割り出すことが可能になり、高速AF性能が実現できます。


一方のミラーレス一眼の場合だと、ミラーがないためにAF専用センサーを搭載することができません。そこで考え出されたのが、画像のシャープさ・コントラストを検出することでフォーカスを判定する「コントラスト検出方式」のAF技術です。しかしこの方法だと位相差検出方式のように「どっちにズレているのか」がわからないため、カメラはレンズを遠近両方の方向に動かしてフォーカスを探ります。そのため、AFに時間がかかってしまうというデメリットがあります。また、暗所での精度が落ちるのもこの方式の避けられないところ。しかし、近年では両方式を組み合わせた「ハイブリッドAF」と呼ばれるものも登場しており、AF性能を大きく向上させているケースもあります。


動画撮影機能に関しては、デジタル一眼とミラーレス一眼はほぼ互角といえそう。かつては、ミラーレス一眼のほうが動画撮影にも注力しており、デジタル一眼は「写真専用」という雰囲気もありましたが、近年のデジタル一眼は同じレベルの動画を撮影できるようになっていることから、両者の間に大きな差は認められません。どちらも4K画質での撮影をサポートするモデルが多くなっていますが、やはりここでもセンサーの差は重要になってきます。画質を求めるならセンサーは大きいに越したことはないので、可能な限りセンサーの大きいモデルを選んでおけば美しい動画を撮影可能。AF性能に関していえば、常にフォーカス具合をモニタリングできるコントラスト検出方式を使うミラーレス一眼のほうが、より高速に変化をフォローできる特性が備わっているとのこと。


Wi-Fi機能の有無もカメラを選ぶ時に重要になりつつあるポイントです。撮影した写真を、メディアの抜き差しを行うことなくワイヤレスでスマートフォンなどに転送できる機能は便利なもので、従来は時間がかかった「本格的なカメラで撮影した写真をSNSにアップする」という行為が、Wi-Fiを使うことで簡単にできるようになっています。


以上を踏まえ、ミラーレスタイプのカメラを選ぶとすると次のようなアドバイスになるとのこと。コンシューマー機(入門クラス)のミラーレス機は手軽に使える一方で、ビューファインダーが省略されて背面ディスプレイのみになっているモデルが多いほか、上位機種に比べてセンサーが小さいなどのデメリットがあります。しかし、その分価格が安いというメリットもあるので、このあたりはやはりバランスのとりどころといえそう。


プロシューマー機(セミプロ機)は、従来のデジタル一眼から移行する場合に最も適したモデルといえるとのこと。一般的に、デジタル一眼よりもわずかにコンパクトなボディを持ち、きちんとビューファインダーを搭載するために違和感なく使い始めることができます。また、センサーも必要十分レベルのものが使われているので、画質面で大きなハンデを背負うことにもならない点も重要。プロ機と入門機のはざまで、最もバランスが取れているのがAPS-C規格やマイクロフォーサーズ規格を採用しているプロシューマー機といえそう。


プロ機になると、やはりその性能は「価格相応」というものになってきます。フルサイズのセンサーを搭載し、激しい使用にも耐える強固なボディや耐候性、高速なプロセッサや連写時にデータを一時的にためておくバッファメモリの搭載など、あらゆる現場に対応できる能力を身に付けているのがこのクラスといえます。また、機能の設定項目も非常に細かいところまで用意されていたり、かゆいところに手が届く内容を設定できたりと、プロのニーズに答えられるように考え抜かれているのも、このクラスのカメラが持つ特権といえます。


カメラも道具の1つなので、やはり価格が性能とほぼ比例することは避けられません。結局のところは、道具の仕組みと特性を正しく理解し、自分のニーズと予算のバランスに最も最適なものを選び出すことが重要であり、また醍醐味であるといえるのかもしれません。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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